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子どものワクチン接種や「インフルエンザ」との同時接種は?冬に向けた新型コロナ、ワクチン最新事情

自治体から、追加接種のお知らせが届き始めている。

自治体から、追加接種のお知らせが届き始めている。

撮影:三ツ村崇志

新型コロナウイルスのワクチンの「追加接種」が始まっている。

追加接種用の新しいワクチンの登場や、11歳以下の子どものワクチン接種。冬を意識しはじめるこの時期には、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの併用に関する疑問も尽きない。

この記事では、インフルエンザワクチンとの兼ね合いをはじめ、ワクチン接種の最新状況について公的情報をまとめた。

新型コロナワクチンの追加接種は、12歳以上の全員が対象に

現在進められている追加接種では、ファイザーとモデルナが開発した「従来株」と「オミクロン株」の2つの株に対応した(2価の)mRNAワクチン(以下、オミクロン株対応ワクチン)を接種することができる。対象となるのは、少なくともワクチンの初回接種(1回目、2回目)が済んでいる12歳以上だ(モデルナの2価ワクチンは18歳以上)。

11歳以下の子どもや、1回目、2回目の接種がまだ済んでいない人は対象外となる。

現在、各自治体から追加接種のお知らせが届き始めている状況だが、オミクロン株対応ワクチンの供給が始まる前に自治体から届いた3回目や4回目(高齢者や基礎疾患を有する方が対象)の「ワクチン接種券」でも追加接種をすることができる

なお、10月19日に開催された厚生労働省の専門部会において、3回目以降のワクチン接種の間隔を、従来の5カ月以上から3カ月以上へと短縮する議論が了承されたとNHKなどが報じている。今後、必要な手続きが完了次第、接種間隔が短縮される見通しだ。

オミクロン株への「重症化予防効果」を期待

ファイザーが開発した、BA.4とBA.5のオミクロン株に対応したワクチン。

ファイザーが開発した、BA.4とBA.5のオミクロン株に対応したワクチン。

REUTERS/Hannah Beier/File Photo

厚生労働省によると、オミクロン株対応ワクチンの追加接種によってオミクロン株に対して従来のワクチンを上回る重症化予防効果が期待されるとともに、持続期間は短い可能性があるものの感染予防効果や発症予防効果も期待されているという。

なお、10月20日付けの東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議の資料によると、東京都で流行している新型コロナウイルスは95%以上が「BA.5」というタイプのオミクロン株だ。

実は、日本で追加接種を進めているオミクロン株対応ワクチンには、「従来株とBA.1のオミクロン株」に対応したワクチンと、「従来株とBA.4-5のオミクロン株」に対応したワクチンの2種類がある。

現状を考えると、「従来株とBA.4-5のオミクロン株」に対応したワクチンを接種した方が良いと思う人が多そうだが、厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aは、

「BA.1、BA.4-5は、いずれもオミクロン株の種類(亜系統)です。

BA.1対応型であっても、BA.4-5対応型であっても、オミクロン株の成分を含んでいるため、現在流行の中心であるオミクロン株に対し、従来の1価ワクチンを上回る効果が期待されています

と説明している。

また、確かに現状流行している株はBA.5ではあるものの、これから先に流行するタイプはまた異なる可能性もある。

厚生労働省の同Q&Aには上記の説明に続いて、

「従来株とオミクロン株の2種類の成分があることにより、誘導される免疫も、より多様な新型コロナウイルスに反応すると考えられるため、今後の変異株に対しても有効である可能性がより高いことが期待されています」

と、対応するオミクロン株のタイプに関わらず接種する意義があるとしている。

なお、5歳〜11歳に対しては従来型のワクチン接種が進められている。また、生後6カ月〜4歳を対象にしたワクチンについても、10月5日にファイザー製のワクチンが薬事承認された※。自治体にもよるが、最速で10月24日から接種が始まる見込みだ

※生後6カ月〜4歳を対象にしたワクチンは、決められた間隔で合計3回接種が必要。

インフルエンザワクチンとの同時接種もOK

10月20日、16時半頃の渋谷スクランブル交差点。コロナ禍では同じ場所から幾度となくこの風景を眺めてきたが、確実に出歩く人の数は増えてきているように感じる。

10月20日、16時半頃の渋谷スクランブル交差点。コロナ禍では同じ場所から幾度となくこの風景を眺めてきたが、確実に出歩く人の数は増えてきているように感じる。

撮影:三ツ村崇志

水際対策の緩和や自宅療養期間の短縮、感染者の全数把握方法の変更、岸田文雄首相による人が密になっていない屋外での「マスク原則不要論」のアナウンスなど、日本の感染対策も確実に緩める方向にシフトしている。

そこで懸念されるのが、ここ2年、新型コロナウイルスの流行下ではまったくと言っていいほど流行がみられなかった「インフルエンザ」との同時流行だ。

直近10年のインフルエンザの流行状況。新型コロナウイルスの流行が始まって以降、インフルエンザはほとんど流行しない状況が続いている。

直近10年のインフルエンザの流行状況。新型コロナウイルスの流行が始まって以降、インフルエンザはほとんど流行しない状況が続いている。

提供:国立感染症研究所

この時期になると、従業員に対してインフルエンザワクチンの集団接種を実施するような企業もある。

気になるのは、インフルエンザワクチンとオミクロン株対応ワクチンを同時期に接種して良いかどうかだ。

一般的に、複数のワクチンを接種する場合には、ワクチンの種類によっては次の接種までに一定の期間をあけなければならない場合もあるからだ。

厚生労働省によると、

「オミクロン株対応ワクチンは、従来の新型コロナワクチンと同様に、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能です。インフルエンザワクチン以外のワクチンは、オミクロン株対応ワクチンと同時に接種できません。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間以上あけて接種してください」

と、インフルエンザワクチンに限定して、同時接種が可能だとしている。

新型コロナウイルス用のワクチンとしてmRNAワクチンが登場した当初は、これまで使用実績がなかったこともあり、mRNAワクチンの前後にワクチンを接種する場合は、原則として13日以上の間隔をあけるとしていた。

しかし、2022年7月22日に実施された第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、諸外国などの事例から知見が溜まってきたことを踏まえて、インフルエンザワクチンとの同時接種に限定して接種間隔に関する規定が廃止されることとなった。

なお、インフルエンザワクチン以外のワクチンを接種する場合は、引き続き13日以上の間隔をあけることとしている。

(文・三ツ村崇志

●参考

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A

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