Gas app screenshots
- アメリカでは高校生向けの新しいアプリが、「BeReal」や「TikTok」を抑えて、現在アプリストアで1位を獲得している。
- このアプリ「Gas」は、ユーザーが投票を通じて友人やクラスメートに匿名で賛辞を送ることができる。
- だが、Gasは人身売買に利用されているといううわさがあり、アカウント削除の原因となっていることから、アプリ開発者はそのデマを払拭しようとしている。
高校生向けの匿名アプリがアメリカのApp Storeで1位を獲得した。しかも、驚くことに有害さはまったくない。
10代の若者の間で爆発的な人気を誇るこのソーシャルネットワークは、Z世代がよく用いる「Gassing someone up」という言葉にちなんで「Gas」と名付けられた。つまり、誰かの「承認欲求を満たしてあげる」ということだ。
位置情報と連絡先情報をアプリに同期させると、1時間ごとに更新されるさまざまな「友人に関する投票」に匿名で投票できるようになる。その内容は友好的な褒め言葉から、軽い愛の告白まで、いろいろな種類があり、投票してもらえると受信トレイに「炎」が送られる。
このアプリは、ニキータ・ビアー(Nikita Bier)(「tbh」というほぼ同じアプリの開発者。このアプリはFacebookが2017年に買収したものの数カ月後に閉鎖された)、イザヤ・ターナー(Isaiah Turner)、元Facebookエンジニアのデイブ・シャッツ(Dave Schatz)によって開発された。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、現在は12の州でしか利用できないが、近々全米に展開する予定だという。
「Gas」のスクリーンショット。
Gas app screenshots
10代向けの匿名ソーシャルメディアアプリの中には、これまでに炎上したものがいくつかある。Gasと同様に位置情報に基づくアプリ「Yik Yak」は、ネットいじめの温床になったとして論争になり、2017年に閉鎖された。またユーザー同士が匿名で質問や回答ができるアプリ「Ask.fm」は、複数の10代の自殺に関連していた。
しかし、GasのユーザーはYik YakやAsk.fmと異なり、あらかじめ用意された賛辞にしか投票できず、ダイレクトメッセージの機能もない。
開発会社によるとこのアプリは「自分自身をよりよく感じられる場所」を作り、「あなたを愛し、賞賛する人々がいる」ということをユーザーに示すために、あえてこのように設計されたという。
「Yik Yak」や「Ask.fm」とは異なり、「Gas」のユーザーはあらかじめ用意された賛辞にしか投票できず、ダイレクトメッセージの機能もない。
"Gas" app screenshots
現在、このアプリは別の種類の論争と戦っている。人身売買に関与しているといううわさが「TikTok」や「Snapchat」を通して広まっているのだ。ビアーによると、このデマにより1日で3%のユーザーがアカウントを削除したという。現在このアプリに関連するGoogle検索では「is gas a sex trafficking app(gasは性的人身売買アプリか)」というクエリが上位を占めている。
「Gasアプリに関するこの人身売買のデマは、一人歩きしている」と、ビアーは10月21日にツイートしている。
「インストール後にバンが家の外に現れた理由を尋ねるユーザーからのメッセージを受け取った」
ガスアプリは人身売買に関与していない。@nikitabier、これはあなたのユーザーにとって有益な情報源になるかもしれない。https://nofiltr.org
GasのDAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は100万人で、1時間に3万人のユーザーを獲得しているとビアーがツイートしたときには、Gasがtbhのような一発屋にならないとどうして分かるのかと、あるユーザーが問いかけた。それに対してビアーは「正直言って、どうでもいい」と答えた。
「最高なのは、10代の若者たちからこのアプリがメンタルヘルスや自尊心を高めてくれたというメッセージをもらうことだ」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)