溜まりに溜まったNetflixのドラマを(週末にまとめて)観ることが幸せだと思う人がいるかもしれないが、それだけでは「何かが欠けている」と感じることはないだろうか。そんな時はキルケゴール、ソクラテス、ソロー、孔子のような人々の“知恵”に触れてみるといいかもしれない。
1787年、ジャック=ルイ・ダヴィッドによって描かれたソクラテス
Art Gallery ErgsArt - by ErgSap Follow/Flickr
バートランド・ラッセル
数学と科学、論理を愛したバートランド・ラッセルは、柄にもなく、彼が素通りしても問題ない「愛」のようなものにまで関心を示した。「幸せは本能的な愛の感情に身を任せることで見つかる」という彼の考えは正しいように思える。現代科学も彼の味方のようだ。
用心深いのもいいが、愛に用心していてはおそらく真の幸せはつかめない。
Mike Nudelman/Business Insider
フリードリヒ・ニーチェ
蓄えたヒゲが有名な“ニヒリスト”のニーチェに言わせれば、幸せとは環境に左右されることなく、個人がコントロールできるもの。ニーチェは、力(または力の欠如)が個人の人生経験に及ぼす影響についてたびたび執筆した。「人は抵抗することで主体性を取り戻すことができる。その自我の意識が幸福につながる」と説いた。
幸せとは力があると感じることである。抵抗を乗り越え、成長を感じることだ。
Mike Nudelman/Business Insider
ジョン・スチュアート・ミル
ジョン・スチュアート・ミルは歴史上初めてとも言っていい自由主義思想の熱心な信奉者だった。幸福を論じる上で彼は、古代ギリシャ人の叡智を援用した。身の回りに物を溢れさせるよりも、目的を持って物を使うことを信条とした。ジェレミー・ベンサムの唱えた功利主義の擁護者でもあった。
私は欲望を満たすよりも、抑えることで幸せを見つけることを学んだ。
Mike Nudelman/Business Insider
ソクラテス
偉大なる哲学者の1人であるソクラテスにとって、幸福とは報酬や賞賛から得るものではなく、個人が自分自身に与える内部的な成功から得られるものだった。
いいかい? 幸せの秘訣はさらに多くを求めるのではなく、より少なきを楽しめる能力を磨くことにあるのだよ。
Mike Nudelman/Business Insider
孔子
孔子の幸福に対する考えは今でも人類に大きな影響を及ぼす。最近の認知行動療法の研究にも、孔子の思想の影響が見られる。人々の思考や感情、行動の関係性を認識する上で、孔子は大きな影響力を発揮する。なお、儒教の教えによれば、幸福とは自己実現の「夢」を持つことにあるという。
いい思考に耽れば耽るほど、きみの世界、そしては世界全体がよくなるだろう。
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セネカ
投資家のナシム・タレブ(Nassim Taleb)やマーケティングの専門家ライアン・ホリデイ(Ryan Holiday)のような現代の“哲学オタク”たちに愛されるセネカはストア学派の哲学者で、心理学者が「ローカス・オブ・コントロール」(統制の所在)と呼ぶ概念を信じていた。外部に“統制の所在”を置く人は、外部要因が自分の行動を支配すると感じるが、その一方で、セネカが考える幸せな人は、“統制の所在”を内部に置く。
人の一番の幸せは内面か、手の届く範囲にある。賢者はどんな状況であろうと自身の現状に満足し、持たないものを願うことはない。
Mike Nudelman/Business Insider
老子
英語ではシンプルに「老いた人」と訳される老子の本当の正体を知るものは少ない。しかし、「今を生きる」という老子の思想は、時を超えて人類に大きな影響を及ぼしてきた。心理学者の多くは“その教えの効果”を支持する。いくつかの研究によると、今、完全なる集中を要する活動、例えば、「いい会話」「クリエイティブな仕事」「セックス」などを行なっている時に、人は最も幸福を感じると老子は指摘する。
もし落胆しているのならば、あなたは過去に生きている。もし不安ならば、あなたは未来に生きている。もし平穏ならば、あなたは今を生きているのだ。
Mike Nudelman/Business Insider
セーレン・キェルケゴール
キェルケゴールの教えは「幸せとは今を生き、今を楽しむことで得られる」というもの。自分の置かれている境遇を「問題」として捉えるのでなく、(将来につながる)「経験」として考えることで結果的に人は、人生の充実感を得られるようになる。
人生は、解かれるべき問題ではなく、経験されるべき現実である。
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ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
超越論的哲学を支持し、「市民的不服従」(奴隷制度とメキシコ戦争に抗議するため、人頭税(*)の支払いを拒否した)の提唱者であるヘンリー・ソローは、幸福に対してとても受け身なアプローチを採用した。『ウォールデン――森の生活』(原題『Walden』)で詳しく述べたように、ソローは世間一般の慣習を捨て、いわゆる“惰性的な生活”を避けた。あらかじめ計画された行為ではなく、自然に忠実な行動に身を捧げることで、人として無限の幸福を得られると考えたのだ。その考え方は、他の思想家の「今を生きる」というメッセージとも響き合う。
(*)人頭税:納税能力に関係なく、すべての国民1人につき一定額を課す税金
幸福はまるで蝶のようだ。 追えば追うほど遠くに去るが、他のことに注意を向けると、いつの間にか優しく肩の上にとまっている。
Mike Nudelman/Business Insider