予備役の部分動員令で招集された兵士が、ウクライナで戦うための訓練を受ける様子。2022年10月21日、ロシアのロストフにて撮影。
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- ウクライナに配備されたロシア軍の兵士たちが、ロシア国防省に苦情を訴えたとThe Insiderが報じた。
- Telegramに投稿された動画の中である兵士が語ったところによると、彼らは装備も与えられず、「犬のように」戦場に放り込まれたという。
- プーチン大統領は9月に予備役の部分動員令を発表したが、招集された兵士の中には、訓練もなく、装備も与えられていないと言う者もいる。
ウクライナで戦うために招集されたロシア兵によると、彼らは弾薬も与えられず、指揮官もおらず、何のために戦場に来たのかすら分からないという。
この主張は、6名のロシア兵がメッセージアプリのTelegramで拡散されている動画の中で述べたもので、ロシアの独立系メディア、The Insiderの報道で取り上げられた(The Insiderはロシアの報道機関で、Insiderとは関係はない)。
彼らは何の指示も与えられず、装備も不足しているということを、動画を通してロシア国防省に訴えている。
彼らはロシアのクラスノダール地方出身で、プーチン大統領が2022年9月21日に予備役の部分動員令を発表した後、すぐに招集されたという。
The Insiderが報じたところによると、訓練を終えた彼らは「ウクライナのどこかの戦場に、犬のように放り出された」と話しているという。
また、戦闘服のほか、AK-47や銃剣は与えられたものの、弾薬はなかったとも述べている。
「情報もなければ指示もない。仲間がどこにいるのか、さらには彼ら(敵)がどこにいるのかも分からず、我々は非常に不安定な状況に置かれている」とある兵士は述べている。
「無線機も弾薬も、何ひとつない。医療品もだ」と彼は付け加えた。
「この状況を当局に見てもらいたい。これが普通だと言えるのか」
Insiderは、この動画を独自に確認することはできていない。
このレポートはプーチン大統領が予備役の部分動員令を発表してから1カ月以上経ってからのものだ。他にも、動員された兵士に適切な訓練が行われず、装備にも問題があることが指摘されており、今回の報道内容と一致している。
Insiderが10月22日に報じたところによると、キングス・カレッジ・ロンドン軍事倫理センターの名誉研究員であるマリーナ・ミロン(Marina Miron)は「動員された人の中には、何の指導も訓練も受けずにウクライナに送られた人もいるようだ」と語った。
プーチン大統領は10月14日、動員された約1万6000人の兵士がすでにウクライナでの戦闘に参加していると述べた。多くの専門家が、彼らは事実上、砲撃の餌食にされていると結論づけている。
ロシア軍では装備の不足も問題となっており、ある兵士は自分で装備を買わざるを得なかった。ガーディアンが10月20日に報じたところによると、その兵士は「装備は何ひとつ提供されなかった。軍隊には何もない」と語ったという。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)