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死ぬまでデザイナーでいるために、「経済的自立」を果たすには? ミレニアル世代の家計診断 ヨウジさん編 #1

どんな環境でも柔軟に生きたい、経済的にも自立したい——。連載「ミレニアル世代の家計診断」では、そんなふうに考えるミレニアル世代読者の家計診断をFPとともに行います。

今回登場するのは、仕事と生活の枠組みを取り払った働き方を実現したいというデザイナーの男性。そのために、マネープランはどのように対応させていけばいいのでしょうか?

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デザイナーのヨウジさんは、新しい働き方「ワークライフインテグレーション」を目指している。

imtmphoto/Getty Images

  • デザイナーのヨウジさんは、「死ぬまでデザイナーでいたい」と考えているが、そのために仕事一辺倒になるのは違うと思っている。
  • そこで、生活を充実させることで、仕事の成果にもつなげる、新しい働き方「ワークライフインテグレーション」に注目している。
  • だが、それを実現するには、どんなマネープランが必要なのか悩んでいる。

「ワークライフバランス」を超えた、「ワークライフインテグレーション」がにわかに注目され始めている。

どちらもより良い人生を手に入れるための考え方だが、「ワークライフバランス」は仕事と生活のバランスをプラスマイナスで調整するような、あくまで二項対立で捉えたもの。ある意味、毎日定時にオフィスへ出向いて勤務するという、旧来の働き方が前提となっている。

それをさらに昇華させた「ワークライフインテグレーション」は、仕事と生活を統合するところがミソ。つまり、時間や空間に囚われない裁量労働やリモートワークなど、仕事と生活の枠組みを取り払った、新しい働き方が前提となっている。

「仕事一辺倒になるのは違う」

都内のメディア企業でデザイナーをしているヨウジさん(仮名:32歳)も、そんなワークライフインテグレーションの実現を目指している。

「会社での仕事は面白いし、同僚のことも好きだ。自分自身、死ぬまでデザイナーでいたい。将来的には、社会や後世に影響を与えるような仕事もできればと思っている。ただ、そのために、『仕事一辺倒』になるというのは違う」

そのようなヨウジさんの理想のワークスタイルは、仕事と生活を明確に切り離すことなく、なだらかなグラデーションでつながっていること。つまり、ワークライフインテグレーションだ。

「自分のなかでワークライフインテグレーションとは、仕事と生活がいい意味で溶け合い、影響を与え合うイメージ。デザインという行為は、料理や掃除などを通した日常の眼差しに大きく影響される。だから、生活が仕事に侵食されてしまっては、元も子もない」

とはいえ、ヨウジさんは、すぐに現在の会社を辞めようとも思っていない。その一方、どうせ仕事をするなら、自分の関心のあることをやっていきたいという想いもある。

「いまの会社は副業が認められている。なので、個人的に興味のあるデザインの仕事を受けながら、やるべきこととやりたいことのバランスをはかる方法もあると思う」

「サブスクへの出費は減らせない」

ヨウジさんは、現在賃貸マンションに、アパレル会社勤務のパートナーと暮らしている。近い将来、結婚も考えているという。

ヨウジさんの月収は、手取り約32万円。自分の家計は、マネーツリー(MoneyTree)で管理している。パートナーとはまだ、今後のマネープランについて深く話し合っているわけではない。

「彼女とは家賃を折半しているほか、『(2人で使った費用については)自分が今回払ったら、次は相手が払う』という形でなんとなくバランスをとっている。パートナーの収入は細かいところまで知らないが、自分のほうがやや多いので、自分が多少余計に負担するようにしている」

通常の月ごとの収支は、今までは「あればあるだけ使っていた」。そのため、ほとんど預金は出来ていないが、最近昇給したこともあり、ギリギリでプラスになっている。とはいえ、ライブが好きなので、複数チケットを購入した月は、マイナスになることもあるという。

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取材をもとにBusiness Insider Japan作成

サブスクリプションサービスへの出費も少なくない。

「アドビのソフトは当然、会社で負担してもらっている。だが、個人でもお布施のつもりで課金している(笑)」

また、ライブ用の推しグッズを保管するための「レンタルストレージ」、睡眠時間を削ってまでも視聴する「動画配信サービス」などにも出費。他人にはムダに思われるかもしれないが、どれも自分のアイデンティティに関わるものばかりなので、やめるわけにいかない。

「たとえ、使用頻度が少なかろうが、健康とトレードオフになろうが、それらを失うと、自分の中身が消えてしまうような感覚がある」

「相続した資産をどう活かすか?」

ヨウジさんの現状の資産は、定期預金が約80万円。さらに、親から相続した投資信託3本と外貨MMFが約500万円、そして、兄と折半して登記している、実家の土地と家屋だ。

「投資信託と外貨MMFは両方、親が店舗型の証券会社で作った口座を相続したもの。実家が地方にあるため、店舗の担当者に連絡するのが面倒で、相続して以来、何もしていない。全体的にプラスになっているので基本的には問題ないとは思うが、このままでいいのかという思いもある」

実家には、今誰も住んでいない。そのためヨウジさんは、年に数回、掃除がてら様子を見に行く。この家をリノベーションして賃貸に出すという選択肢もあるが、「自分が生まれ育った実家には思い入れもあり、いまは誰かに貸すことは考えていない」と、ヨウジさんは話す。

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ただ、両親がかつて喫茶店を経営していたこともあり、ヨウジさんは「現実味があるかどうかは別として、実家を事務所にして、昼間はそこでデザインの仕事、夜は喫茶店やバーをやってみるのもいいかなと思っている」と明かす。

自分は計画的に物ごとを進める性格ではないと、自己分析をするヨウジさん。

「デザイナーをやめるつもりはないが、無理な仕事はしなくても生活できるような収入を確保できたら……。加えて、将来に向けて十分な貯蓄をするにはどうしたらよいか? 預貯金よりは投資のほうがいいという話を聞いたりもしているので、実際どうなのか教えてほしい」


【ミレニアル世代の家計診断 ヨウジさん編 #2】では、本記事の内容を前提に、ファイナンシャルプランナーの西山美紀氏とともにヨウジさんの家計診断を行う。「ワークライフインテグレーション」に対して、マネープランはどう対応させていくべきなのか?

(文・滝口雅志、連載ロゴデザイン・小川いずみ、編集・長田真)

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