ハンズが新戦略発表。「店長独自」から「全国共通」の店づくりへ転換

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ハンズの新しいロゴ。漢字の「手」を表現している。

撮影:竹下郁子

東急不動産ホールディングスからホームセンター大手のカインズ(ベイシアグループ)の子会社となったハンズ。新たなロゴを発表する会見では、業績の低迷が続いている同社の今後の戦略も語られた。

「独自」から「共通・定番」へ路線変更

ハンズの会長も務めるカインズの高家正行社長は、26日に開いた記者会見で「新生ハンズ」が目指す7つの価値として「アガル楽しさに出会う」などを発表。

2022年3月31日で東急不動産ホールディングスとの資本関係がなくなって以降、この半年間はハンズとカインズ、それぞれの店頭で互いの人気商品を販売するなどしてきたと振り返った。

ハンズは「東急ハンズ」時代、特にコロナ禍以降の業績が低迷しており、2022年3月期は47億円の純損失を出している。

今後の改革として高家氏があげたのは、小売業の肝であり、東急ハンズの特徴だった「棚割」(商品の陳列、構成など)だ。

これまでの東急ハンズの棚割は店長が店ごとにこだわりを持って作り上げていたが、これからは「共通」の棚割に基づいた店づくりをしていくという。

「店ごとの趣向を凝らした店舗作りがハンズの特徴だった。それによって人材が育ったり、地方独自の商品を扱うなどさまざまなメリットや強みを生んできたと考えている。

しかし今後は定番の売り場を作り、ハンズのどの店に行っても、我々が届けたい価値を伝えられるようにしたい」(高家氏)

カインズのPBインフラを活用

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カインズ社長で、ハンズ会長の高家正行氏。26日の会見(東京・品川区)にて。

撮影:竹下郁子

加えて、PB(プライベートブランド)商品開発にも力を入れる。PBといえばカインズの強みであり、その数約1万3000点、売り上げの約4割を占めるとも報道されている(日経ビジネス2021年9月24日)。

ハンズもPB展開はしているが、独自の商品よりもメーカーと組んでいるものが多いそうで、

「ハンズよりカインズのほうがPB開発の規模やスピード感、必要なインフラが整っている。一方で、商品提案力はハンズの強みだ。双方を活用していきたい」(高家氏)

と語った。

今回の買収は「カインズとハンズが1つの色に融合していくのではなく、それぞれの特徴をより際立たせていくためのもの」と強調した高家氏。

都市部を中心に店舗を持つハンズと、郊外に大型の店舗を持つカインズ。互いの店舗網は補完性が高い。

また朝食を例にあげ、平日に素早く効率的に作る調理器具を提供するのがカインズで、休日にゆっくりと、そのプロセスすら至福になるようなこだわりのキッチングッズを提供するのがハンズだとも説明する。

「日常の暮らしを良くしたいという価値観は同じだが、店舗立地の違い、お客様の層の違いなどもあり、家事1つとっても、カインズとハンズでは全く異なるアプローチができる。

新生ハンズの方向性については議論を積み重ねてきた。変えるべきでないものと、社会の変化に伴い新しい価値を作っていくべきものとある。単純に過去に戻ることはしない」(高家氏)

古参ファンの期待に応えつつ、新たな客を取り込むことができるか。従業員数約2200人を抱えるハンズの挑戦が始まった。

(文・竹下郁子

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