- メタは、同社のReality Labsのメタバース事業が2023年にはさらに赤字になると警告した。
- 2022年、同社はこの取り組みに100億ドル以上を使う勢いだ。
- 同社の株価は2016年以来の低水準に落ち込んだ。
メタ(Meta)は、ウォール街がコスト削減を強く望んでも、メタバース構築のための巨額の支出をやめるつもりはないようだ。
昨年、社名をフェイスブック(Facebook)からメタに変更した同社は2022年10月26日に発表した第3四半期決算で、メタバース全般を扱う部門のReality Labsでは今年90億ドル(約1315億円)以上の損失を出しており、第3四半期だけでも約40億ドル(約585億円)の損失を計上していることを明らかにした。この部門は2021年に100億ドル(約1460億円)の損失を出しており、同部門の支出は増え続けるとメタは述べている。
「2023年のReality Labsの損失は、前年比で大幅に拡大することが予想される」と同社は述べている。
メタは同時に、2023年以降のある時期に、「長期的に会社全体の営業利益を成長させるという目標を達成するために、Reality Labsへの投資の『ペース』を上げる」と発表した。
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOはアナリストとの電話会議で、新しいバーチャルリアリティ(VR)ヘッドセットの発売とメタバースに取り組むエンジニアなどへの給与支払いによって、2023年のReality Labsへの支出が増加すると述べた。
メタの株価は時間外取引で18%下落し、2016年以来の低水準になった。
メタバースに多額の投資を続けるという宣言は、同社の主要株主であるアルティメーター・キャピタル(Altimeter Capital)が「Time to Get Fit(健全になる時)」と題した公開書簡を同社に送り、コスト削減を求めた数日後に発せられた。書簡では、特にメタバースへの支出を年間50億ドル(約730億円)に制限するように要請していた。
アルティメーターの書簡が公開される数日前、ウォール街のアナリストたちは、メタバースとメタの主要製品であるHorizon Worldなどの開発速度が遅く見えることを問題視していた。ザッカーバーグが構築しようとしている没入型デジタル世界の主要な部分はアバターだ。今のところ、アバターはまだ初歩的なものに見え、先日の開発者会議で披露したようなことはまだ実現されていない。
「ザッカーバーグ船長はメタバースという未知の世界に向かってメタという船を操縦し続け、自分自身を再発明するために何十億ドルも、何百億ドルも、つぎ込もうとしている」とミラボー(Mirabaud)のTMTリサーチ責任者のニール・キャンプリング(Neil Campling)は述べている。
(翻訳・編集:Toshihiko Inoue)