フォードのジム・ファーリーCEOは投資家に向けて、収益性のある完全自律走行車の実現には程遠いと話した。
Photo provided by Ford Motor Co.
- フォードは完全自律走行車開発の優先度を変更する。
- ジム・ファーリーCEOは、自律走行車の大規模な開発はまだまだ先だと語った。
- このシフトは、フォードがフォルクスワーゲンと出資した自動運転のスタートアップ、アルゴAIを清算することを意味する。
フォードは、完全自律走行車開発の取り組みにブレーキをかけた。
「収益性の高い、大規模な完全自律走行車の開発は、まだまだ先の話だ」とジム・ファーリー(Jim Farley )CEOは2022年10月26日、第3四半期の決算発表と同時にリリースした書面で述べた。同社はレベル4の先進運転システム(ADAS)の実現について楽観視しているが、ファーリーCEOは「フォードがその技術を自分自身で開発する必要性はない」と話した。
レベル4は完全自律式で、人間のサポートなしでほとんどの道路を走行できる。テスラをはじめとする自動車メーカーはその開発を競っている。だが、商業化にはまだそこには到達していない。
フォードはもともと2021年までにレベル4のADASを実現するつもりだったが、ファーリーCEOは「状況は変わった」と述べた。
この方針変更は、フォードがフォルクスワーゲンと共同出資したロボタクシーサービス「アルゴAI」を終了させることを意味する。フォードは、同社に投じた税引前の金額で27億ドルを償却する。
アルゴAIは2022年5月、自律走行タクシーのサービスをフロリダ州マイアミとテキサス州オースティンで展開すると発表していた。
「我々が行っているあらゆることで、『顧客にとって何が最良か?』を常に問いかけている」と、ファーリーCEOは語った。同社は、代わりにレベル2と3の自律走行車に注力する。
「レベル2とレベル3のアプリケーションの開発はフォードにとって必要不可欠で、同時により安全にできる」
フォードは、ハンズフリー技術のBlueCruiseやリンカーンActiveGlideが該当するレベル2や、レベル3への取り組みにアルゴAIのエンジニアを雇用する予定だ。
同社はInsiderが通常の営業時間外に求めたコメントに対して、まだ回答していない。
フォードは、第3四半期の決算を公表した最新の自動車メーカーだ。2022年第3四半期の売上は394億ドルだったが、アルゴAIに投資した税引前の金額で27億ドルを損失計上したことから、8億2700万ドルの純損失となった。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)