渋谷駅に設置されたマナーの向上を呼びかける看板。
撮影:高橋真紀
外国人観光客の来日が始まり、コロナ感染者数の減少なども相まって多くの人出が予想される2022年の渋谷ハロウィン。
渋谷区は2022年、ハロウィン対策費に5800万円を計上し、路上飲酒禁止・酒類販売自粛要請の呼びかけや警備体制の強化などに取り組んでいる。
ハロウィン本番は10月31日だが、その直前の金曜日夜から、ハロウィンの「前夜祭」は始まっている。翌朝の路上はごみだらけ……という光景を思わず想像してしまうなか、10月29日(土)の早朝5時の渋谷にやってきた。
渋谷区の編集部で働く一人として、路上清掃のボランティアに参加してみたのだ。
ハロウィン「前夜祭」明け、早朝の渋谷で見た光景
10月28日、金曜日の夜の渋谷で仮装する人。
撮影:三ツ村崇志
皆さんは「渋谷ごみゼロ大作戦」というプロジェクトをご存知だろうか。渋谷区と「ハロウィンごみゼロ大作戦 in 渋谷 実行委員会」が共催し、ハロウィンの翌日などにごみ拾いの清掃活動を続けている。8回目を迎える2022年は10月29日(土)〜11月1日(火)の早朝から8時まで行われる。
私がボランティアに参加したのも、この活動だ。
ハロウィン本番を控え、渋谷駅周辺の路上には、マナーを呼びかけるサイネージが街の至る所に掲出されている。
撮影:高橋真紀
あれ、思ったよりゴミが少ない? それには理由がある
10月29日(土)の早朝5時、少し警戒しながら来たものの、人通りはいつもと変わらない「金曜日オールナイト明けのちょっと気だるい渋谷」という雰囲気だった。
5時39分。ドンキ前もこの人通り
撮影:高橋真紀
この日、「渋谷ごみゼロ大作戦」のステーションがあるのは、センター街内の宇田川交番がある広場だった。
ごみを拾いながら仮装コスチュームなどのハロウィン系グッズを道端で見つけた場合は、協賛企業の1社である楽天が設置しているリユースボックスに入れれば、使えるものを捨てずに済む。回収されたアイテムたちはフリマアプリ「楽天ラクマ」で販売され、売上金は渋谷区の清掃活動や美化活動に充てられる。
拾ってきたごみはスタッフが一つひとつきちんと分別している。
撮影:高橋真紀
運営スタッフの方によると、土曜の朝には2名ほど飛び入り参加してくれたボランティアの方がいたそうだ。
飛び入り参加者のうち一人の男性は、深夜2時すぎからごみ拾いをスタートしたと言い、話しかけたときすでに3時間以上続けていた。「人手は土曜日(の夜)のほうが多いと言われているので、明日も来ようと思います」(20代・男性)
ハロウィンらしく、マントを纏いタワシ?を連れてごみ拾いに参加する人も。
撮影:高橋真紀
トング、軍手は貸してもらえる。袋はハロウィン仕様。
撮影:高橋真紀
袋とトング、軍手を受け取ったらごみ拾いスタート。仕事帰り通るたびにポイ捨てがひどいと感じていたスポットに向かってみる。が、ほとんど空き缶やペットボトルのごみが落ちていなかった。
6時15分。ビールやチューハイの空き缶が転がっている道玄坂もご覧の通り。
撮影:高橋真紀
捨て口までぎゅうぎゅうに溢れがちな渋谷のゴミ箱だが、この日散らかっているゴミ箱は見られなかった。
撮影:高橋真紀
空き缶などはなかったが、タバコの吸い殻はたくさん落ちていた。
撮影:高橋真紀
喫煙所の囲いに沿って、ずらーっと缶やビン・ペットボトルが捨てられているのをよく見る場所。
撮影:高橋真紀
ナイトクラブやミュージックバーが並ぶエリア。
撮影:高橋真紀
街がキレイなのは、拾ってくれている人たちがいるから
自動販売機やゴミ箱、喫煙所など、普段はごみで溢れて汚れている印象のスポットもこの日はほとんどがきれいな状態だった。
しかし、それは「街行く人がごみを捨てていない」という意味ではない。この時間にも一生懸命ごみ拾いをしている方たちがいるからだ。
道玄坂のごみ拾いをする「渋谷ごみゼロ大作戦」のスタッフたち。中には渋谷区の職員もいる。
撮影:高橋真紀
集められた空き缶とペットボトルの一部。細い路地にこれだけのごみが捨てられているということだ。
撮影:高橋真紀
2022年に入ってからも、渋谷駅周辺のコンビニ近くには常にたくさんの人が滞留している。
こうした風景は、飲食店が営業していなかった緊急事態宣言の頃に「路上飲み」をする人が増え、若者を中心に新たな遊び方として定着した。コンビニの前には酒の空き缶やタバコの吸い殻が山のように捨てられていて、残念ながら道玄坂近辺ではお馴染みの光景になりつつある。
朝6:20頃。始発は走り始めている時間だが、道玄坂上のコンビニ前には若者がたむろしていた。
撮影:高橋真紀
まるでテーブルように置かれている。
撮影:高橋真紀
夜中にどんな風に集まっていたのか、なんとなく想像もできる。
撮影:高橋真紀
運営スタッフによると、一番多いごみはやはり空き缶。ハロウィンシーズンに限ったことではないが、街中を歩くと隙間や何かの上に並べるようにして捨てられている光景をよく目にする。
送水口の脇の隙間に立てられた空き缶。
撮影:高橋真紀
横断歩道の周辺で仲間と会話しながら置き忘れてしまったのだろうか?
撮影:高橋真紀
翌朝の日曜朝は、ずっとゴミの量が多かった
もっとも、この週末で人出が予想された土曜の夜の翌朝は、ごみの量もこんなものではなかったようだ。
「ハロウィンごみゼロ大作戦 in 渋谷 実行委員会」の中島悠さんは、
「人出が多いと予想していた30日(土)の翌朝(日曜朝)は、やはりごみの量も多かった。
具体的な数で表現はできないが、常にごみが持ち込まれひっきりなしに分別用の袋を付け替えたほど。しかし、飛び入りも含め(ボランティアは)前日の倍以上の方が参加してくれたので、最終的には土曜日の朝と同じくらいきれいになりました。参加してくれた方には感謝しています」
と話した。
ハロウィン本番は10月31日(月)の夜。翌朝の渋谷の街をごみが覆い尽くすようなことがないように願いたい。
路上に散らばった食べ残しを鳩が突いていた。
撮影:高橋真紀
(文、撮影・高橋真紀)