KDDIが新たなボーナス制度を導入する。賞与算定に用いるKPIの3割をESGの達成度にし、役員報酬だけでなく社員の賞与にも反映するという。
カーボンニュートラルの達成度がボーナスに
KDDIがESG達成度と連動する新たなボーナス制度を発表しました。
撮影:今村拓馬
新たな賞与制度の対象になるのは、KDDIの社員約1万人だ。
会社の業績(成長率)に加え、データセンターのカーボンニュートラルに向けたCO2排出削減量や、働きやすい職場の実現を目指す社員エンゲージメントスコアの維持向上など、8つのESG指標に基づき賞与を決定する。
KDDIでは2020年度から組織のサステナビリティ目標の達成度と、役員報酬や社員の賞与を連動させてきた。これまで賞与算定のKPIとしては1割程度だったESG項目を、2022年度からは3割まで引き上げる。
広報担当者によると、2020年度以前の賞与算定のKPIは事業の利益に関するものが主だったが、サステナビリティ経営に全社員で取り組む意識を醸成していくことが重要だと判断したからだという。
KDDIの新たな賞与制度。
提供:KDDI
ESGへの取り組みを役員報酬のみならず社員のボーナスにも反映する動きは、ソニーグループや花王が先行している。花王は個人が目標値を定めるのに対し、ソニーグループは組織ごとに目標を設定する。KDDIはソニーグループと類似した形で、経営目標と人事評価をボーナスに連動させる。
KDDIでは年に2回のボーナスがあり、新制度に基づく賞与は2023年6月支給のものから反映されるという。
ESGと連動する賞与制度にして以降、KPIを達成するための自発的な取り組みを行う部署も増えてきたという同社。
ESG目標と賃金を連動させる動きは広がるのか、そしてその効果は。今後の行方を注視したい。
(文・竹下郁子)