台湾に本社を置く大手ハイテク企業フォックスコンは、アップルの主要サプライヤーだ。
Ceng Shou Yi/NurPhoto via Getty Images
- COVID-19の感染が拡大する中、中国の河南省鄭州市にある世界最大のiPhone工場から従業員が大挙して逃げ出したという。
- その様子を撮影した写真や動画がネットで拡散されている。
- フォックスコンは「秩序ある帰還」のために、帰宅を希望する従業員のための交通手段を手配していると述べた。
中国でCOVID-19の感染が拡大する中、世界最大のiPhone工場では厳しい規制が敷かれたことから、従業員が大挙して逃げ出していると報じられている。
中国中部の河南省鄭州市にあるフォックスコン(鴻海科技集団)の工場では、20万人以上の従業員が働き、世界のiPhoneの大半を製造している。この施設はCOVID-19の流行に見舞われたため「ゼロコロナ」政策に基づく厳しい規制が敷かれ、生活環境が悪化したと、フィナンシャルタイムズが5人の従業員の話を引用しながら2022年10月30日に報じている。
ブルームバーグが10月21日に報じたたところによると、食料不足に陥るリスクが不安の種となっているという。関係筋の話として、生産ラインで働く従業員にしか弁当が提供されず、COVID-19に感染した従業員や、会社の寮を出ることを恐れる従業員には、パンやインスタントラーメンなどの簡単な食べ物が提供されただけだと伝えた。
フォックスコンの従業員が工場から脱出する様子を撮影した衝撃的な写真や動画がネットで公開されている。ある動画では、従業員が荷物を詰め込んだバッグを抱え、徒歩で脱出する様子が写されている。
何百人ものフォックスコンの従業員が、中国中部の河南省にある工場から逃げ出していると思われる。これに先立って、労働者が不十分な医療や報告されていないCOVID感染が彼らを高いリスクをもたらしていると報告されていた。
BBCの中国特派員スティーブン・マクドネル(Stephen McDonell)が投稿した動画では、従業員が施設のフェンスを乗り越えて脱出する様子が写されている。
アップル最大の組立工場から労働者が脱走し、ゼロコロナのロックダウンから逃れた。こっそりと抜け出した彼らは、人々をコントロールするために作られたCOVID対策アプリを打ち破り、100キロ以上離れた故郷まで歩いていくのだ。
Insiderはこの動画を独自に確認することはできなかった。
中国や台湾では鴻海(ホンハイ)科技集団とも呼ばれるフォックスコンは「現在の状況下では、鄭州工場で働く20万人以上の従業員の健康と安全を守るための戦いは長期化すると認識している」と声明で述べた。ソーシャルメディアへの投稿については一切言及しなかった。
同社は従業員向けに24時間ホットラインを設置するなど、鄭州工場でのパンデミック防止策を継続的に実施していると述べた。また、感染は収まってきており、生活に必要な物も十分に供給されているという。
また「帰宅を希望する従業員のために、政府と協力して人員と車両を用意し、秩序ある帰宅サービスを本日から提供する」と述べた。同社は、他の工場と調整しながら、生産性への影響を最小限に抑えるとしている。
フォックスコンでの感染拡大は、アップル(Apple)にとって重要な年末商戦に入った矢先に発生した。アップルはすでにドル高とiPhone上位機種の供給難で第4四半期の成長鈍化を警告している。情報筋によると鄭州工場で生産するiPhoneの11月の出荷量は最大30%減少する可能性がある、とロイターが10月31日に報じた。
アップルは、通常の営業時間外に行われたInsiderのコメント要請に応じていない。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)