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「貯蓄から投資へ」で大失敗… 欲と恐怖に駆られた私は、初歩的なミスを犯した

ジェニファー・シソン氏。

本記事の筆者ジェニファー・シソン氏。

Jennifer Sisson

  • 本記事の著者ジェニファー・シソン氏は、長年の夢だったイタリア旅行の資金を積み立てていた。
  • しかし、旅行をする前にコロナ禍が勃発。そのため、貯めた旅費は高利回りの普通預金口座に預かり入れたという。
  • とはいえ、まだ金利が低いと感じたので、株式市場に投資して資産を増やそうと考えた。だが、それが間違いのもとだった。

私は今までずっと、いつかイタリアに行くことを夢見ていた。子供の頃、父が2年間の布教活動や出張でイタリアに行った時の写真を、よく古い手持ち式のスライドで見せてくれていたのがきっかけだ。彫刻やフレスコ画、美しい建築に魅了された私は、ミケランジェロの伝記小説『ミケランジェロの生涯 苦悩と歓喜(原題:The Agony and the Ecstasy)』を愛読した。さらに高校2年生の時、ヨーロッパ史の授業でルネサンスを学んですっかりはまり、イタリアは私にとって「死ぬまでに一度は行きたい国」ナンバーワンになった。

イタリアに行くために実際に貯金を始めたのは35歳の時だった。当時、我が家の家計は非常に厳しい状況だったが、ある日ふと周囲を見回し、子供の頃からの夢を叶えるために今貯金を始めないと一生イタリアに行けないまま終わってしまうと感じたのだ。とても怖くなった私はコーヒーが入っていた空き缶を見つけ、手持ちの小銭をその中に入れ、「イタリア資金」と書いたラベルを貼った。

その直後、安定した収入が得られる仕事が見つかりテキサスに引っ越し、家計も落ち着き始めた。空き缶に小銭を貯め始めてから数年後、貯金は約1200ドル(約18万円)になり、夫と2人でイタリアに行くのにほぼ足りる分の航空会社のマイレージとホテルのポイントも貯まった。

その時点で私はすでに空き缶貯金の中身を高利回りのネット銀行の普通預金口座に移していた。金利は1.05%と、当時私が見つけた普通預金の中で最も高い金利を得ていた。

イタリア行きの日程を決め、滞在プランを作り、子守りの手配も済ませた矢先、パンデミックが起きてしまった。

高リターンを見込み、貯めていた旅費を投資に費やした

イタリアでコロナ患者が急増しているというニュースに、私は夫と相談し、2021年に行けることを願って旅行を延期することにした。時間が経つにつれてロックダウンやさまざまな制限がしっかり定着し、快適に海外に行けるようになるのは、かなり先になるだろうと感じた。

私がイタリアに行きたくてうずうずしていた間、株式市場は前例のないレベルに上昇していた。私の個人退職勘定(IRA)は飛躍的に増えたが、イタリア資金は使われることなく預金口座で虚しく眠ったままだった。

自分だけが利益を得ることなく取り残されているのではないかという不安に駆られた私は、「たった1%の『高利回り』の預金口座に預けているだけなんてばかばかしい。証券口座に預ければ株式市場で2桁のリターンを得られるのではないか? そうすればコロナ禍が収束してイタリアに行った時、ジェラートを食べたりして現地で使えるお金が格段に増えるのではないか」と考えた。その当時は完全に理にかなっていたが、すぐにその判断がいかに短絡的だったかを思い知った。

私は高利回りの預金口座に入れていたイタリア資金を証券口座に移し、パンデミック中に成長していたテスラ(Tesla)やピンタレスト(Pinterest)、IT系への投資に特化した資産運用会社アーク(ARK)などの株や上場投資信託(ETF)を複数買った(これを書いている今も自分の過ちにうんざりしている)。

株式市場が暴落し、イタリア資金の半分を損失

コロナ禍に設けられたさまざまな制限が解除され始めた頃、私は再びフライトやホテルを検索し始めた。ところが証券口座を確認すると、残高が当初の半分に減っていた。コロナ禍が収束した後、私が貯金の大半を投資したIT系の株が暴落したのだ。2021年2月から2022年10月までの間に、私は665ドル(約10万円)を失った。ジェラート何個分の損失になるだろうか。

私は短期の貯蓄を証券口座という長期的な貯蓄の口座に移すという初歩的なミスを犯したのだ。オプション取引をしている両親を持ち、パーソナルファイナンスのライターを職業としている私には、言い訳のしようもない。長く見ても2〜3年後に使うと分かっていた旅行資金を、少なくとも5年は保有するよう設計された成長株に投資してしまったのだ。「強欲」と「恐怖」という、投資する時に絶対に惑わされてはいけない2つの感情によって私は軽はずみな決断をしてしまった。

私は現在、(この先数年でうまくいくと本当に信じている)証券を売却して損失を減らすか、迫り来る不況に直面して株式市場がさらに落ち込み、イタリア資金がどんどん減っていくのを見守るかという苦渋の決断を迫られている。どちらの選択肢をとるか今だに結論を出せていない状況だ。

金利が上昇しているにもかかわらず、いわゆる高利回りの普通預金口座は2年前よりも若干魅力的なだけだ。私が利用していたネット銀行は現在、貯蓄に対して2.7%の利率を提供しているが、今年現時点までの8%のインフレ率では利益など微々たるものだ。

しかし、高利回りの預金口座には1つ重要な利点がある。お金が失くなる心配がないという点だ。2桁のリターンは狙えないとしても、それを失うこともないのだ。短期的な貯蓄においては、利益を生むことより損失が出ないことの方がはるかに重要だ。

たとえリターンが小さくても、今後イタリア旅行の資金は絶対に高利回りの預金口座に預けるつもりだ。少なくても空き缶貯金よりはアップグレードしている。

[原文:I thought I'd earn more by keeping my money in the stock market than a savings account, but I couldn't have been more wrong

(翻訳・小森谷美江子、編集・長田真)

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