アメリカン・エキスプレス(American Express)が大物デジタル人材を経営幹部に迎えた。
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アメリカン・エキスプレス(American Express、アメックス)がテクノロジー担当の経営幹部をヘッドハントした。データおよび機械学習を主に担当する。Insiderの独自取材で分かった。
内情に詳しい関係者によれば、サチン・デヴァンドは移籍直前まで共同購入型クーポンサイト「グルーポン(Groupon)の最高技術責任者(CTO)を務めていた。
11月1日にアメックスに入社したデヴァンドは、エグゼクティブバイスプレジデント兼ユニット最高情報責任者(CIO、デジタル・データ・人工知能/機械学習担当)に就任する。
インド工科大学ボンベイ校を経てジョージメイソン大学で修士号(コンピューターサイエンス)を取得したデヴァンドだが、金融企業で働くのは今回が初めてではない。
リンクトイン(LinkedIn)のプロフィールによると、2017年6月から2021年1月までの3年半強は金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)に在籍。同社の消費者向け金融サービス「マーカス(Marcus)」部門のマネージングディレクター兼CTOを務めた経歴がある。
タッチ決済(コンタクトレス決済)やQRコード決済、モバイルウォレット(スマホ決済)など、現金以外の決済手段を提供するアメックスのデジタル戦略において、推進の原動力となるのはデータだ。
と言うのも、銀行との協業を通じて決済ネットワークを提供するビザ(Visa)やマスターカード(Mastercard)といった競合と異なり、アメックスはグループ内に銀行機能を有し、決済ネットワークとクレジットカード発行の両方を手がけている。
そのため、顧客への還元から不正利用の防止までさまざまな面で有効活用できる、いわゆるエンドツーエンドのデータセットを社内に有する。それが同社の決定的な強みというわけだ。
グルーポンCTOとしての実績
デヴァンドは前職のグルーポン時代、オートメーションの促進と技術スタックの合理化に注力した。
グルーポンの自社ブログ(6月20日付)によれば、同社のプラットフォームが「あまりに大きく、あまりに複雑」で、新たなプロダクトをスピード感をもってローンチさせる上で障害になっていることを指摘。
改善策として、社内データセンター機能の75%近くをクラウド環境に移行させるなど、半年ほどの短い在籍期間ではあったものの際立った実績を残した模様だ。
(翻訳・編集:川村力)