Meta Angelsの買収をニューヨークで祝うアレクサンドラ・カヴラコス、ランディ・ザッカーバーグ、アリソン・ダウニー。
Assemble
仮想通貨の世界は男性が圧倒的に多いことで知られる。「男子校」とも言われ、時に女性やノンバイナリーの人々を嫌うようなところもある。
だが、3人の女性がそんな状況を変えようとしている。メタ(Meta)のCEOマーク・ザッカーバーグの姉で、以前Facebookで市場開発ディレクターを務めていたランディ・ザッカーバーグ(Randi Zuckerberg)と、アレクサンドラ・カヴラコス(Alexandra Cavoulacos)、アリソン・ダウニー(Allyson Downey)だ。3人は数年前、新規参入者が冷たくあしらわれることが多いWeb3の空間に足を踏み入れ、そこで意気投合した。
ザッカーバーグは、Web3コミュニティHugを共同創業した。同じ頃、キャリアマッチングプラットフォームThe Museの共同創業者であるカヴラコスと、製品レビュー会社ステラー(Stellar)のCEOであるダウニーは、1万個のNFT(非代替性トークン)のコレクションを中心としたコミュニティであるMeta Angelsを立ち上げた。
今、3人が手を組もうとしている。Insiderの取材に応じたザッカーバーグとカヴラコスによれば、Hugなどの親会社でザッカーバーグが設立したアセンブル(Assemble)が、Meta Angelsの買収を進めているというのだ(買収条件は明かさなかった)。
カヴラコスはCOOとしてアセンブルに参加し、ダウニーは同社の顧問に就任する。HugとMeta Angelsは今後も別々のコミュニティとして運営されるが、いずれは運営を一つにし、両グループの会員向けに相互特典を設ける予定だという。
事業に参画した理由をカヴラコスはこう語る。
「私たちは同時期にWeb3に参入し、共に創業者として事業を始めました。力を合わせればもっと大きなものをつくれると思ったんです」
Meta Angelsは、NFTコレクションに加え、1万人を超える会員向けにプロフェッショナルなネットワーキングコミュニティとアドバイスフォーラムを提供している。このコミュニティには「Wishing Well」という機能があり、会員がさまざまな要望を投稿できるようになっている。カヴラコスによると、この機能を通じて仕事を見つけた会員もいるといい、ザッカーバーグもHugを共同創業したデビー・スーンとはMeta Angelsを通じて知り合った。
ザッカーバーグはアセンブルで、仮想通貨に特化した企業を少しずつ傘下に収めることを目指している。カヴラコスは、アスク(Ask)、アンジー(Angi)、ケアドットコム(Care.com)といったインターネット企業を傘下に持つコングロマリット、IACに自分たちの取り組みをなぞらえ、「Web3のIAC」をつくると言う。
「ランディ(・ザッカーバーグ)はこの分野で面白い帝国を築きつつあります」(カヴラコス)
現在「仮想通貨の冬の時代」であることを考えると、多くのWeb3スタートアップにとっては生き残りを賭けて統合の道も視野に入れる必要が出てくるとザッカーバーグは言う。
ザッカーバーグはInsiderに対し「プライベート・エクイティ(PE)投資」を目指しているわけではないと言うものの、他のWeb3コミュニティをアセンブルの傘下に入れる可能性は探っているという。
ザッカーバーグは、仮想通貨スタートアップが持つ技術が成熟し、多くの人々に使われるようになるには数年かかると見ている。しかしそれも覚悟の上での挑戦だ。かつて所属していたFacebookではライブストリーミング機能を立ち上げ、何年もかけて普及させた。その経験になぞらえて、ザッカーバーグはこう話す。
「メインストリームになるまでに何年もかかるような業界でも、怖さはまったく感じていません」(ザッカーバーグ)
(編集・大門小百合)