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- コメリカバンクによると、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るには高いハードルがあるという。
- インフレ率の鈍化に加え、その他の条件も満たさなければならないと、同行のチーフエコノミストは言う。
- その他の条件には、住宅価格と家賃の下落、賃金の伸びの鈍化、求人数の減少、失業率の上昇が含まれるという。
コメリカバンク(Comerica Bank)のチーフエコノミスト、ビル・アダムス(Bill Adams)は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めから脱却するには、インフレ率の鈍化に加えていくつかの条件を満たす必要があると指摘している。
11月2日に発表されたメモでは、住宅や中古車価格など一部のセクターでインフレが冷え込む一方で、サービス業の価格は「やっかいな」もので昨年から上昇していると指摘している。
インフレの勢いが増していることは、FRBが金融引き締めを終了するためのハードルをさらに高くしているとアダムズは付け加えている。
「FRBが利上げの幅を小さくするだけでなく、本当に方針を転換するには、コアインフレ率の低下、住宅価格と家賃の下落、賃金上昇率の低下、求人数の減少、失業率の上昇を確認し、2023年に見込まれるインフレ率の鈍化が2024年の再上昇につながらないことを確信する必要がある」
このメモは、FRBが11月2日に、大方の予想どおり、4回連続で基準金利を0.75%引き上げたことを受けてリリースされた。
また、FRBが「累積的な引き締め」と金融政策が経済に与える影響のタイムラグを考慮するとする項目を政策発表に加えたことは、中央銀行が利上げ幅を縮小し、2023年初頭にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.5%から5%の間で一旦停止する可能性が高いことを示唆するものだった。
しかし、FRBのパウエル議長がその後の記者会見でタカ派的な発言をしたことで、株価は下落し、投資家は逃げ惑うことになった。
特に、パウエル議長はインフレが持続していることから、最終的なFF金利の水準はこれまでの予想より高くなる可能性があると述べた。
アダムスは、現在の高いインフレ率の重要な要素はエネルギーであり、FRBの検討材料になるだろうと述べている。
「さらに、暖房が必要な季節にエネルギー価格が再び高騰するリスクも、FRBが利上げを終える前にインフレ率が低下していることの証拠を求める理由だ」と結論づけている。
(翻訳・編集:Toshihiko Inoue)