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終わりが見えない… ロシアによるウクライナ侵攻は今後どのように展開するのか、専門家が解説

ウクライナ国旗

Metin Aktas/Getty Images

  • ロシアによるウクライナ侵攻は、終わりが見えない状況が続いている。
  • 専門家はプーチン大統領が「深入りし過ぎている」ため、明確な成功なしにロシア軍が撤退することは考えづらいと話している。
  • 考え得る今後の展開や、両者にとっての勝利がそれぞれどのような形になるのか、見ていこう。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから約8カ月が過ぎたが、終わりはまだ見えない。これまでに数万人の兵士が命を落としたり、怪我を負うなどし、複数の都市が瓦礫と化し、数百万人が難民になった。ロシア軍が占領した地域では、ウクライナ人に対する拷問や残虐行為が行われた疑いもある。

東部や南部の一部を占領されながらも、ウクライナは周囲の予想以上に善戦し、ウクライナを数日で制圧できるだろうと考えていたプーチン大統領率いるロシア軍にしばしば屈辱を与えてきた。

また、ロシアの攻撃をかわすだけでなく、組織化された大胆な反撃を行うことで、ウクライナは東部や南部の領土を取り返している。

とはいえ、ロシアにはまだ使うことのできる破壊的な軍事力がある。ここ数週間は、ウクライナのエネルギーインフラをミサイルやドローンで攻撃している。

第二次世界大戦以来のヨーロッパ最大の戦争は消耗戦に入ったように見えるが、考え得る今後の展開を見ていこう。

停戦

戦略国際問題研究所(CSIS)国際安全保障プログラムのダイレクター、セス・ジョーンズ(Seth Jones)氏によると、戦争が膠着状態に陥れば何らかの交渉が行われ、ロシアとウクライナの一時的な停戦につながる可能性がある。

「ただ、それは恐らく終わりということではなく、少なくとも一時的に活発な戦争の状態が落ち着き、さまざまな要素によって激化したり、鎮静化したりする凍結された紛争に近いものになるだろう」とジョーンズ氏は話している。

ウクライナ軍

ウクライナ軍。

Metin Aktas/Anadolu Agency/Getty Images

ジョーンズ氏は1990年代に起きた2度のチェチェン紛争をその例に挙げた。一度は1996年に停戦が成立したものの、3年後には再び紛争が勃発した。

このシナリオでは、ロシアはアメリカやその他の西側諸国がウクライナ侵攻やウクライナ支援への関心を失うことを期待できる。

「そうすると力関係は最終的にロシアに有利となり、2月に理想としていた形で領土を取り返すことができるだろう」とジョーンズ氏は話している。

和平協定

ロシアによるウクライナ侵攻は和平協定で終結する可能性もあるが、ロシアとウクライナでは目指すところも、自分たちの正当な領土に対する見方も異なることから、合意は難しい。

「プーチンは深入りし過ぎている。明確な成功なしにこの戦争から身を引くには、彼は今、政治的にも軍事的にもあまりに多くの資本を投入している」とジョーンズ氏は言う。

プーチン大統領が何を「成功」と受け取るかは不明だが、ドネツク、ルハンスク、ザポロジエ、へルソンの一部が手に入れば、それを自身が意図した目標と見なし、満足するかもしれないと、ジョーンズ氏は話している。

ただ、和平協定でウクライナが何を譲歩するかは難しい問題だ。ジョーンズ氏はウクライナの指導者にとって、自国の領土を手放すことは「政治的自殺」に近いと指摘している。

ロシアの勝利

ウクライナ侵攻を始めた時、ロシアの目標はウクライナという国を完全に支配することだった。

この目標をロシアが達成するのを防いだことで、ウクライナはすでに大きな勝利を収めたと認識することが重要だと、ジョーンズ氏は言う。

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