イーロン・マスク氏の迅速かつ大規模な経営改革に賛否両論が渦巻く中、ユーザー数は急増して過去最高を更新した。
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米実業家のイーロン・マスク氏がツイッターの買収を完了させ、経営トップに就任して以来、同社の従業員や広告主たちはこれまでのところ混乱と不安しか感じていない。が、ユーザーは気にも留めていないようだ。
Insiderが入手したモバイルアプリ調査分析会社アップトピア(Apptopia)の最新データによれば、マスク氏が経営権を正式に掌握してからの数日間で、ツイッターの1日平均ダウンロード数と1日平均ユーザー数は大幅に増加した。
11月の1日平均ダウンロード数(8日まで)は前月比28%増の水準、その前の9月との比較ではほぼ1.5倍の46%増の水準で推移している。
1日当たりのダウンロード数は11月3日に63万6770件を記録。5月以降(後述)では最高の数字で、6月の1日平均ダウンロード数に比べて倍増した。マスク氏が従業員の大量解雇に着手したのはまさにその夜だった。
3日後の11月6日、1日当たりのダウンロード数が55万5070件と引き続き高い水準で推移する中、デイリーアクティブユーザー数(DAU)は過去最高となる2億4540万人を記録した。それ以前の最高記録は、6月8日の2億4330万人だった。
マスク氏は翌7日、「買収発表以来、ツイッターのユーザー数は世界中で大幅増を記録している」とツイート。
前日6日のツイートでは、アカウントが本物であることを示す「青色の認証済みバッジ」をサブスクリプションサービス「ツイッター・ブルー(Twitter Blue)」の限定特典に含める改革案を打ち出した理由について、「ツイッター上で人々がより活発に交流したくなるようなインセンティブが絶対に必要なんだ!」と明らかにした。
ただ、新たにツイッターを使い始めたユーザーがマスク氏の望み通りに今後も活用を続けるのか、現時点では何とも言えない。
その点、アップトピアのバイスプレジデント(コンテンツ・コミュニケーション担当)アダム・ブラッカー氏は、ここ最近のダウンロード数およびユーザー数の急増の要因を、マスク氏の経営するツイッターで何が起きるか知りたい人々の好奇心と分析する。
「ハイウェイ(高速道路)での交通事故のようなものです。みんな車を止めてひとまず様子を見るでしょう?」
アップトピアの過去データを遡(さかのぼ)ると、ダウンロード数やユーザー数がこれほどの急増を見せたのは、マスク氏が提案した440億ドルでの買収をツイッター側が受け入れた4月下旬以来だ。
先述のように、今回更新されるまでの1日ダウンロード数の最高記録はこの4月下旬のものだった。
ブラッカー氏によれば、マスク氏の買収に絡んで新たに使い始めた人たちを含め、ツイッターユーザーの大半は自ら投稿することなく、他のユーザーの投稿を読んで「いいね!」ボタンを押すだけだという。
そうしたブラッカー氏の見方を裏付けるように、最近のアップストアのレビューをサンプル抽出(11月3日実施)して内容を確認してみると、「イーロンの経営権掌握に感謝する」「イーロン買収後のツイッターは良くなった」など、マスク氏に言及したものが多数見られた。
サンプル抽出時点ではまだツイッターアプリには特段の修正改善は行われていないが、なぜか同様の(マスク氏の買収を評価する)コメントは他にも確認された。
逆にツイッターを使わなくなったユーザーがいるのかどうか、いま確実に言えるのは、もしいたとしても、データに顕著に表れるほどの数ではないということだ。
アップトピアではアプリのアンインストール数はトラッキングしていないものの、デイリーアクティブユーザー数は(マスク氏によるツイッター買収が頓挫しかけた)6月に若干減ってからは増加を続けている。
(翻訳・編集:川村力)