2028年に開業するホテルのイメージ図と、ドーチェスター・コレクションCEOのクリストファー・カウドレー氏
撮影:横山耕太郎,提供:Dorchester Collection
2027年度に東京駅前に建設され、日本一の高さとなる予定の高さ390メートル、地上62階建ての「Torch Tower(トーチタワー)」。
その53階〜58階(予定)に、アジア初となるウルトララグジュアリーホテル・Dorchester Collection(ドーチェスター・コレクション)が、2028年に開業すると発表された。
Torch Towerを含む周辺の開発を手掛ける三菱地所と東京センチュリーが11月8日、記者会見で明らかにした。
2027年度に竣工予定の「Torch Tower」のイメージ図。
提供:三菱地所設計
ホテルはタワーの上層階に作られる。
撮影:横山耕太郎
ドーチェスター・コレクションはロンドンなど、欧米に合計9の超高級ホテルを展開。
日本で開場するホテルの宿泊料金については「具体的な価格は未定」として明言しなかったものの、三菱地所の担当者は「日本をリードするホテルとして、トップレートの価格となる」としており、高い部屋では「1泊100万円」レベルの超高価格も予想される。
「極上のオーラを提供」
「東京駅前に位置しする東京の玄関口。都市観光の核という役割も非常に重要で、ホテルはまさにその象徴としての位置づけです。この場所でしかできない唯一無二の体験や、極上のオーラをこのホテルは提供できるものと確信しております」
三菱地所社長の吉田淳一氏は、記者会見の冒頭でそう力説した。
ドーチェスター・コレクションは、ロンドン、パリ、ミラノ、ローマ、ロサンゼルスの5都市で9つのホテルを運営。2023年には中東エリア初のホテルをドバイでオープンすることも決まっている。
ロンドンにあるThe Dorchester。
提供:Dorchester Collection
ロンドンにある「ザ・ドーチェスター」は、イギリス王室も利用したホテル。ウェブサイトには1948年、当時の女王エリザベス2世とフィリップ陛下が参加したイベントの写真が掲載されている。
一流スターが宿泊したというThe Beverly Hills Hotel。
提供:Dorchester Collection
またビバリーヒルズに建つ「ザ・ビバリーヒルズホテル」は、マリリン・モンロー、エリザベス・テイラーなど一流スターが宿泊したことでも知られているという。
パリでは1泊126万円も
パリのLe Meurice。
提供:Dorchester Collection
「ウルトララグジュアリーホテル」と言われるだけあって、値段も高級だ。
パリにあるドーチェスター・コレクションのホテル「ル・ムーリス」の宿泊料について、2022年11月8日午後4時30分時点の料金を調べてみた。
公式ウェブサイトで、2022年11月12日から1泊(大人2人)で検索すると、最も安く予約できる35平方メートルのスーペリアルームの宿泊料は、1700ユーロ。1ユーロ=145円で計算すると、24万6500円と超高級だ。
また同じ日程で予約できる98平方メートルのヘリテージ・スイート・パークビューは1泊4800ユーロ(69万6000円)。
予約可能だった部屋のうち、最も高級だった160平方メートルのプレジデンシャル・アパートメントは8700ユーロ(126万1500円)。1泊100万円を超えていた。
日本で建設予定のホテルについては、全110室を予定しており、レストランやスパ、プールなども設置されるという。ホテル名は未定。
日本で建設予定のホテルの車寄せ。
提供:Dorchester Collection
ロビーのイメージ図。
提供:Dorchester Collection
客室内のイメージ図。
提供:Dorchester Collection
寝室のイメージ図。
提供:Dorchester Collection
「日本のトップ水準に近い価格に」
ドーチェスター・コレクションの担当者は「既存ホテルは競争優位性が高く、マーケットのトップいる。日本の価格については未定です」とした。
一方で三菱地所の担当者は
「日本を代表するホテルとして日本のトップ水準に近いものになる。他国のホテルとは様々な条件が異なるため単純な比較はできないものの、日本一の高さのビルということもあり、他国と比べても価格が高めになる可能性はある」
と話す。
ちなみに、東京駅エリアの最高級ホテルの一つ「アマン東京」の宿泊料を調べてみると、2022年12月1日に1泊した場合を調べると、最も安い71平方メートルのデラックスルームで22万円。最も高い157平方メートルのアマンスイートは1泊55万円だった(11月8日時点での金額)。
「東京には大きな機会が残っている」
記者会見で放送された動画の一部。
撮影:横山耕太郎
一方で日本のホテル業界の現状については、世界の観光都市と比較すると、超高級ホテルが少ないという指摘がある。
ドーチェスター・コレクションのクリストファー・カウドレーCEOは、東京での競合ホテルについては「私たちが新しいスタンダードを設定したい。競合についてはコメント控えたい」とした上で次のように話した。
握手を交わす三菱地所・吉田淳一社長(左)とドーチェスター・コレクションのクリストファー・カウドレーCEO。
撮影:横山耕太郎
「国際的なホテルが増えるとその都市への訪問者が増えるのが通例で、ロンドンでもパリでもそうだった。東京には大きな機会が残っている。これからも東京は成長すると確信しています」
また三菱地所社長の吉田氏は、こう話した。
「日本がこれから人口減少社会に入っていく中で、観光業が一つの大きな起爆剤となってくる。
これまでの訪日客は圧倒的に東アジア、特に中国の方が圧倒的に多かった。これからフランスなど観光大国に追いつけ追い越せという流れで考えると、アジア以外のグローバルなお客様を誘客できるブランドが非常に大切になってくる。Torch Towerの計画は唯一無二唯。このエリアにしかできないことをやりたいという強い気持ちがあります」
(文・横山耕太郎)