Zoomは年次イベント「Zoomtopia」を11月9日(日本時間)から開催している。
出典:Zoom
ウェブ会議ツールのZoomは、年次イベント「Zoomtopia 2022」を11月9日(日本時間)から米カリフォルニア州サンノゼで開催し、複数の新機能を発表した。
機能の中には、「ウェブ会議アプリ」としてのZoomを強化するものだけではなく、今までZoomではできなかった機能も含まれる。
まるで「仕事のためのスーパーアプリ(1つのアプリに多ジャンルの機能備えている)」と言える内容になっている。
発表された新機能の中でも、ビジネスに活用できる2つのトピックを解説する。
仮想コワーキングスペースをつくる「Zoom Spots」
Zoomのウェブ会議は、「ミーティングのために会議室に入る」感覚で使えるものだ。即時もしくは予定を決めて、「部屋」であるURLにアクセスして会話を始められる。
しかし、テレワークが当たり前でなかった頃と比べると体験はやや異なる。同じフロアにいたチームメンバーとは、突発的に相談や雑談が始まったはずだ。
そんな体験の差を埋められる可能性があるのが、同社が「バーチャルコワーキングスペース」と称する新機能「Zoom Spots」だ。
従来のZoom Meetingsより手軽に使えることを意識したZoom Spots。
出典:Zoom
Zoom Spotsと既存の「Zoom Meetings」を比べると、ビデオや音声通話ができるという意味ではあまり違いはないが、UIが大きく異なる。
Meetingが長方形のパネルを表示している(音声発信時は名前だけが大きく表示される)のに対し、Spotは小さな正方形で表示される。
話をしているメンバーはその正方形でサークルを作るかのように表示される。別に話しているメンバーがいれば、別のサークルとして表示される。
つまり、相手が話しかけていい状況なのか一目でわかるというわけだ。
Zoom Spotsは縦型のUIもサポートする。
出典:Zoom
また、Spotは細長いウィンドウでの表示もサポートしているため、ながら作業にも使える。作業を開始して話しかけていいときはSpotにログインしておく……というような使い方も想定できる。Spotは2023年初頭に登場予定だ。
メールとカレンダーがZoomにやってくる
Zoomアプリに「カレンダー」タブが追加され、Zoomでの会議や別の予定などをチェックしやすくなる。
出典:Zoom
さらに、地味に便利そうなのが「メール」と「カレンダー」のサポートだ。
Zoomの会議やウェビナー(ウェブでの講演会など)を設定する際、予定やメールをチェックするシチュエーションは多々ある。
そんな時、別のアプリにいちいち切り替えずにZoomアプリ内でメールもカレンダーも読めてしまえば楽だろう、というのがこの新機能だ。
余談だが、こうしたさまざまなアプリの切り替えは、作業中の集中を断絶させ生産性を落とすことから「Toggle Tax」や「Toggling Tax」(いずれも、トグル税)と言われている。
Zoomアプリはメール機能もサポートされる。対象ユーザー同士であればE2Eの暗号化も施される。
出典:Zoom
実際の機能は「Zoom Mail and Calendar Clients (beta)」と「Zoom Mail and Calendar Services (beta)」の2つに機能わかれている。
Clientsはその名の通り、外部を含めたメールやカレンダーサービスを参照・操作するクライアント機能。
そして、ServicesはそのClientsで使用できるZoom純正のメール・カレンダーサービスとなる。
Zoom Mail and Calendar Services (beta)は、中小企業向けの機能として位置付けられており、このサービス契約者同士であれば、メールでエンドツーエンドの暗号化通信が可能。
メール用のストレージ容量は、月額14.99ドル(日本では月額2000円)のZoom ProもしくはZoom Unitedプランのユーザーが15GB、月額19.99ドルのZoom One Business以上では100GB。
また、カレンダーでは外部のユーザーがカレンダーの空きスロットをチェックできる予約機能も提供される見込みだ(競合としてはCalendlyなどが挙げられる)。
メールとカレンダーに関する機能は、ベータ版として日本時間11月9日から順次提供開始予定だ。
(文・小林優多郎)