ライカ監修スマートフォンの第2弾が11月18日にソフトバンクから発売される。
撮影:小林優多郎
ソフトバンクは11月10日、ドイツの老舗カメラメーカー・ライカ(Leica)監修のスマホ「Leitz Phone 2(ライツフォン・ツー)」を発表した。
11月18日からソフトバンク独占で発売予定。一括購入時の価格は22万5360円(税込)。
Leitz Phone 2は、ライカ監修スマホの2代目。2021年6月に発表された前機種「Leitz Phone 1」から引き続き、シャープが製造を担当している。
Leitz Phone 1と比べてどんな違いがあるのか。実機でのファーストインプレッションをお送りする。
すっきりとしたデザインになった2代目ライカスマホ
Leitz Phone 2の正面。ロック画面の時計のフォントはライカのレンズやカメラでお馴染みのもの。
撮影:小林優多郎
Leitz Phone 2は2022年7月発売のシャープ製スマホ「AQUOS R7」がベースになっている。
そのため、いわゆるカタログスペック的な部分であるSoC(クアルコム製の最上位機種向け「Snapdragon 8 Gen 1」)、5000mAhのバッテリー容量、12GBのメモリー、6.6インチのPro IGZO OLEDディスプレイといったところは共通している。
明確な違いは、内蔵ストレージが256GBから512GBに倍増している点と本体のデザイン、そしてカメラの機能や絵づくりにあると言っていい。
背面のデザインは、白い光沢感のある素材。カメラとトレードマークの「レッドドット」が中央に揃ったデザインによって、かなりすっきりした印象になっている。前機種にあった、いわゆるFeliCaマーク(モバイル非接触IC通信マーク)すらなくなっているのには驚いた(おサイフケータイ自体にはきちんと対応している)。
撮影:小林優多郎
特に外観は、背面が白く(カラー名はライカホワイト)光沢を帯びた素材を採用しているため、Leitz Phone 1より高級感が増している。
全体的には、かなりスクエアな「板感」のある印象を受ける。これは、ディスプレイ形状の変更によるところが大きい。
AQUOS R6からR7で、ディスプレイ形状が左右側面まで回り込んだ「エッジ形状」からフラットな形状に変更された。これによって、Leitz Phone 1から2も同様の形状に変わった。
画面はフラット形状に変更されているため、左右の側面にはライカのレンズにも採用されているデザイン兼滑り止めの「ローレット加工」が施されている。
撮影:小林優多郎
エッジディスプレイはより大きな画面表示と持ちやすい横幅を両立できるメリットがある。
ただ、アプリのボタン位置などによっては意図しない操作を誘発する要因となりうる。ライカ担当者によると「Leitz Phone 1ではフラットなディスプレイを望むユーザーの声があった」としている。
同梱するカバーとカメラカバーを付けているところ。
撮影:小林優多郎
なお、純正ケースと磁石を内蔵したアルミ製のカメラカバーは、全機種同様に同梱される。
スマートフォンとしては大きめとなる1インチのセンサーを搭載している。
撮影:小林優多郎
カメラ性能のアップデートを探る
最大のアップデートとなるのは、やはりカメラだ。
カメラもスペック自体はR7と変わらず、1インチの約4720万画素センサーを搭載。レンズもF値1.9・35mm換算で広角19mmの「非球面レンズ搭載7枚構成のズミクロンレンズ」になっている。
センサー性能の強化により、AQUOS R6とLeitz Phone 1で登場当初に不満点として挙げられていたフォーカス速度は改善。撮る時のストレスは減っている。
Leitz Phone 2の持ち味はどこかと言われれば、独特の絵作りによる撮影体験にある。
カメラアプリには通常撮影とは別に「Leitz Looks」という撮影モードが搭載されている。
撮影:小林優多郎
Leitz Phone 2では、独自のカメラモード「Leitz Looks(ライツルックス)」が大幅アップデートされている。
具体的には、Leitz Phone 1のLeitz Looksはいわゆる「モノクロ」モードだった。人によっては「エモい」、カメラ好きにとっては「ライカっぽい」と感じる白黒写真を撮るためのものだ。
Leitz Looksでモノクロ設定にして撮影。
撮影:小林優多郎
一方で、Leitz Phone 2のLeitz Looksは、ライカの3種類のMレンズを「インスパイア」したエミュレーターと、オリジナルとモノクロを含めた4種類のエフェクトを自由に組み合わせられるようになっている。
1インチセンサー搭載なので背景ボケが元々きれいだが、Leitz LooksでMレンズをエミュレートするとかなり印象が変わってくる。
撮影:小林優多郎
こちらは夜間のバーの小物を撮ったもの。
撮影:小林優多郎
4種類のエフェクトはいわゆるインスタグラムのフィルターのような色調に作用するものだが、3種類のエミュレーションレンズでは画角やボケ感も大きく変わるので、相当にこだわってつくられている印象がある。
ロマンあるカメラと22万円超という現実
カメラ体験という意味では、カメラアプリに加え新しいウィジェット「ゴールデンアワー」も追加された。これは現在地の「夕暮れ付近の景色が金色に輝く時間帯=ゴールデンアワータイム」を一目で確認できる。
撮影:小林優多郎
短い時間ではあるが、Leitz Phone 2のカメラを使ってみたざっくりとした印象は「どんな被写体でももエモくなる」だ。
撮った写真を見るとなんだか、いつもより「味のある」写真になっている気がして、自然とSNSなどでシェアしたい気持ちになる。
特に合計12種類の組み合わせのあるLeitz Looksは奥が深く、作例は載せたもののまだまだ試し足りないというのが正直なところだ。
そんな写真に「夢中」にさせてくれるLeitz Phone 2だが、22万5360円(税込)という価格設定には、思わず夢から覚めるところはある。
Leitz Phone 2の価格。
撮影:小林優多郎
ベースモデルであるAQUOS R7の価格が18万9360円(税込、ソフトバンク直販価格)。Leitz Phone 1が発表当時18万7920円(税込、一括購入時)だったので、2ではついに20万円の大台を超えた。
ソフトバンクの「新トクするサポート」によって、実質半額となる11万2680円まで軽減させることは可能。
ただその場合は、購入額を48回に分割し、25カ月目に端末を返却することが条件となるため、2年後の利用スタイルをイメージする必要がある。
それに、多くのユーザーにとって実質負担額である11万2680円もスマホとして気軽に手が出せる金額とは言えない。
ちなみに、Leitz Phone 1の売れ行きについて、ソフトバンクのモバイル事業推進本部 パートナービジネス統括部 統括部長を務める廣川耕一郎氏は「(実数は非開示だが)カメラのファンが購入していた印象。また、実店舗で触って機種変更をするお客様も多くいた」とBusiness Insider Japanの取材に対して回答している。
今回もメインターゲットは「カメラ/写真好き」であることは変わらないだろうが、20万円を超えたという事実がどう響くだろうか。
(文、撮影・小林優多郎)