※本記事は、2021年5月1日に掲載した記事の再掲です
映画『ハリー・ポッター』シリーズでは、エマ・ワトソンがハーマイオニー・グレンジャーを演じた。
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『ハリー・ポッター』シリーズを通じて、ハーマイオニー・グレンジャーは親友のハリーとロンにとっての"理性の声"だった。ただ、賢い魔女には頭脳とウィット以上のものがあった。
作者のJ・K・ローリング氏は、ツイッターやインタビュー、公式サイトなどを使って、魔法の世界やその登場人物について、7冊の本を超えた新たな情報をシェアしてきたことで知られる。
『ハリー・ポッター』の大ファンでも知らないかもしれない、ハーマイオニーに関する事実をいくつか紹介しよう。
ラストネームが「グレンジャー」でなかった可能性も
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ハーマイオニーはマグル出身なので、そのラストネームはホグワーツのクラスメイトに比べてやや伝統的だ。
だが、「グレンジャー」は作者の最初の選択ではなかった。
Wizarding Worldの2015年の記事で、ローリングは『ハリー・ポッター』のために思いついた最初の40人の登場人物の名前を明かしていて、ハーマイオニーのもともとのラストネームは「パックル」だった。
ハーマイオニーには妹がいた可能性も
ハーマイオニーの家族についてわたしたちが知っているのは、彼女がひとりっ子で両親は歯科医ということだ。
だが、グレンジャー家はもう少しで"4人家族"だった。
2004年のBBCのインタビューで、ローリングは「ハーマイオニーには妹がいるという設定にするつもりでしたが、一度も出て来なかったし、もう手遅れだと感じたんです」と話している。
両親はシェイクスピアにちなんで「ハーマイオニー」と名付けたが、ギリシャ神話とも関係している
1999年のローリングのラジオインタビューによると、ハーマイオニーの両親は娘の名前をシェイクスピアの『冬物語』に登場するシチリアの王妃ハーマイオニにちなんで名付けた。
『ハリー・ポッター』シリーズに出てくる他の名前とは違い、『冬物語』のハーマイオニとハーマイオニーの間にはあまり相関はない。
ただ、ハーマイオニはしばしば機転が利き、すばしっこいことで知られるギリシャ神話に登場する神「ヘルメス」の女性版とされていて、若い魔女(ハーマイオニー)とよく似ている。
初期の読者は「Hermione」をどう発音したらいいのか分からなかった
映画が公開される前、最初の何作かを読んだ多くのファンたちは、「Hermione」をどう発音したらいいのか分からなかった。
「ものすごくよく聞かれました。多くの人が『ハーミーワン』と言っていて、かわいらしいと思いました。最初から『ハーミーワン』と発音するのだと言っておけば良かったです」とローリングは1999年の同じインタビューで語った。
これが理由で、ローリングは4作目の本にハーマイオニーがビクトール・クラムに自身の名前の発音の仕方を教えるシーンを盛り込んだ。
クラストップの成績を誇るハーマイオニーも、全てにおいて優秀なわけではなかった
ハーマイオニーは占い学の授業が好きではなかった。
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ハーマイオニーはほぼ全てのことにおいて優れた、優秀な生徒として知られている。スネイプ先生からは「鼻持ちならない知ったかぶり」とまで呼ばれた。
しかし、ハーマイオニーにもいくつかの弱点がある。
『ハリー・ポッターと賢者の石』では、ハーマイオニーが魔法使いのチェスが得意でないことをわたしたちは知った。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、占い学の授業が得意でないことも知った。そしてシリーズを通じて、ハーマイオニーはほうきに乗って飛ぶのがあまり得意ではなかった。
組分け帽子はもう少しでハーマイオニーをレイブンクローに入れるところだった
大半のファンは、ハリーがホグワーツで組分け帽子を被った時、自分をスリザリンに入れないよう帽子にお願いしたことを知っているだろう。
しかし『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、ハーマイオニーは自分も帽子の意思決定プロセスを知っていたと明かしている。
テリー・ブートとの会話の中で、ハーマイオニーは「組分け帽子が私の寮を決めるとき、レイブンクローに入れようかと真剣に考えたの。でも、最後にはグリフィンドールに決めたわ」と話している。
ハーマイオニーが使った魔法の一部は違法
ハーマイオニーはシリーズを通じて基本的に規則を重んじる人間だったが、法律に違反する必要を感じたこともあった。
例えば『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、ホークラックス(分霊箱)を探す旅に必要なもの全てを自分のバッグに入れておくために、検知不可能拡大呪文を使った。
Wizarding Worldによると、こうした呪文の私的な使用は違法で、学校のトランクや家族のテントといったものを製造するためにのみ、使用が認められているという。
『ハリー・ポッターと賢者の石』でも、ハーマイオニーはホグワーツ特急に乗っている時、学校が始まる前にいくつかの呪文をすでに試してみたとロンに語っている。しかし、わたしたちはのちに、未成年の生徒がホグワーツの外で魔法を使うことは許されていないと知る。
愛の妙薬からハーマイオニーは3つ目のにおいを感じていた
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スラグホーン先生が世界一強力な愛の妙薬「アモルテンシア(魅惑万能薬)」について授業で教えた時、ハーマイオニーは「何に惹かれるかによって、一人一人違った匂いがします。私の場合は刈ったばかりの芝生と新しい羊皮紙、それから… 」と説明した。
ハーマイオニーは慌てて、自分が感じた3つ目のにおいを明かさなかった。
ファンサイト「The Leaky Cauldron」によると、2007年のBloomsbury.comとのウェブチャットでローリングは、3つ目のにおいはロンの髪の香りだったと明かした。
「誰もがその人特有の髪の香りを持っているでしょう?」とローリングは付け加えた。
映画化にあたって、ハーマイオニーの外見はエマ・ワトソンに合わせて変更された
エマ・ワトソンは映画『ハリー・ポッター』でハーマイオニーを演じたことでよく知られているが、ワトソン演じるハーマイオニーの外見は必ずしも原作で説明されているものとはマッチしない。
具体的には、ワトソンの髪はそれほどモジャモジャではなかったし、ワトソンの歯はそれほど大きくなかった。
映画の製作陣は、後者について原作に近付けようと、最初の映画でフェイクの歯を使おうとしたが、うまくいかなかった。
監督のクリス・コロンバスは、クルーがワトソンにフェイクの歯を付けてもらうつもりだったが、フェイクの歯を付けて撮影できたのは結局、1シーンのみだったと2016年にポッドキャスト『Entertainment Weekly's Binge』で語った。
「ああいう大きなフェイクの歯を口に入れたまま、残りの映画で演技はできないと気付いたんだ」とコロンバスは話した。
ミドルネームが途中で変わった
当初、ローリングは複数のインタビューで、ハーマイオニーのミドルネームは「ジェーン」だとコメントしていた。
しかし、『ハリー・ポッターと死の秘宝』に出てくるダンブルドアの遺言状では「ハーマイオニー・ジーン・グレンジャー」となっていて、どこかの時点で変更されたようだ。
「ジェーン」というミドルネームをドローレス・ジェーン・アンブリッジに与えてしまったので、ローリングが変更したのだと報じられている。
ハーマイオニーにとって最大の恐怖は学業での失敗
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で生徒たちは、見た人が最も恐れるものに変化する魔法生物のボガート(まね妖怪)に出会う。
ハーマイオニーは、ルーピン先生の授業でボガートに対面することはなかった。しかし、本ではその後 —— 闇の魔術に対する防衛術の試験の後 —— ハーマイオニーが自分と対面したボガートが何に変化したかを明かしている。
「マ、マ、マクゴナガル先生が!先生が、私、全科目落第だって!」
失敗、中でも学校での失敗がハーマイオニーにとって最大の恐怖であることは明らかだ。
第二次魔法戦争の後、ハーマイオニーは両親の記憶を復元することができた
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『ハリー・ポッターと死の秘宝』の冒頭で、ハーマイオニーは「オブリビエイト」という呪文を使って両親の自分に関する記憶を消し、第二次魔法戦争のクライマックスで2人の安全を守るためにオーストラリアへと送った。
The Leaky Cauldronによると、2007年の同じウェブチャットでローリングは、戦争が終わった後「すぐに」ハーマイオニーが両親の記憶を復元し、イングランドに連れ戻したと明かしている。
ダンブルドアの死後、ハーマイオニーはダンブルドアの部屋から本を盗んだ
いくつかの違法な呪文に加えて、ハーマイオニーは本に関して規則を曲げることもした。
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、教師のサイン入り許可証が必要なホグワーツの図書館の閲覧禁止の棚を使うために、ハーマイオニーは ロックハート先生にサインをさせた。
そして、ダンブルドアの葬儀の後にはもう一歩踏み込んで、ハーマイオニーは校長が自身のオフィスに隠しておいたホークラックスに関する図書館の本を盗んだ。
ハーマイオニーは『ハリー・ポッターと死の秘宝』でこれを認めている。
「それが… 簡単だったの」
「呼び寄せ呪文を使ったのよ。『アクシオ』って。そしたらダンブルドアの書斎の窓から飛び出して、まっすぐ女子寮に来たの」
ハーマイオニーのパトローナス(守護霊)は作者にとって特別な意味を持っている
ハーマイオニーのパトローナスはカワウソの形をしている。
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守護霊の呪文は強力な防衛呪文の1つで、パトローナスを呼び出すには幸せな記憶を思い浮かべる必要がある。
それぞれのキャラクターのパトローナスは、異なる動物の形をしている。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、わたしたちはハーマイオニーのパトローナスはカワウソだと知った。そして、ローリングは2015年のツイートで、カワウソは自分の好きな動物だと明かしている。
ハーマイオニーは結局、魔法大臣になった
ローリングは2007年、ハーマイオニーが魔法省の魔法法執行部で「かなり上」のポジションに就いたと『Today』に語った。
『ハリー・ポッターと死の秘宝』でハーマイオニーは、この分野でキャリアを積みたくないとの考えを示していた。魔法法に興味はないかとルーファス・スクリムジョール大臣に尋ねられると、ハーマイオニーは「世界にとって何か良いことをしたいと思っている」ので興味はないと答えていた。
ただ、2016年にシリーズに加わった舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』によると、ハーマイオニーは最終的にキングズリー・シャックルボルトの後任として、魔法大臣になった。
[原文:15 little-known facts about Hermione Granger even die-hard 'Harry Potter' fans may not have heard]
(翻訳、編集・山口佳美)