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Amazonが次世代「倉庫ロボ」と実用版「配送ドローン」を初公開…22年内に米国の一部でPrime Air開始

アマゾン BOS27

アマゾンが2021年10月に開設したAmazon Roboticsの研究開発拠点。BOS27はボストン近郊(BOSはジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン国際空港の空港コード)で27つ目に開設した拠点という意味(稼働中の拠点数ではない)。

撮影:小林優多郎

アマゾンは11月10日(現地時間)、新しい倉庫等の物流拠点向けロボット「Sparrow(スパロー)」とドローン配送の「Prime Air」の今後の展開を発表した。

これは同日にアメリカ・ボストンで開かれたメディア向けイベント「Delivering the Future」に合わせたもの。

イベントはアマゾンのロボティクスと配送の研究拠点である「BOS27」で開催。BOS27は2021年10月に開設され、日本のメディアが立ち入るのは今回が初めてとなる。

あらゆる商品を識別して仕分けができるロボットが登場

Sparrowを含む次世代ロボットが動いている様子。

撮影:小林優多郎

Sparrowは、既に各国の物流拠点に配備されている「Robin」や「Cardinal」に続く、第3のアマゾン独自のロボットだ。

Sparrowの見た目は、同じく固定式ロボットアームで、ベルトコンベアから流れてくる商品をピックアップするRobinに似ている。

Sparrow

新型ロボットアーム「Sparrow」。

撮影:小林優多郎

ただし、Sparrowの方がより多くの種類、(具体的には不明だが)数百万個の商品のピックアップに対応しているという。

アマゾンは世界20カ国に、在庫等を保管するフルフィルメントセンター(FC)が400カ所以上、設置している。

Sparrow 持ち上げ

Sparrowが袋状の商品を持ち上げている様子。ロボットアームではあるが、「つかむ」というより先端のバキューム装置で「吸っている」イメージ。

撮影:小林優多郎

Sparrow 画像認識

Sparrowの真骨頂は「箱の中にある商品を取れる」ところにある。ベルコンベアのようにある程度、商品が離れていなくても、カメラやセンサーと機械学習で強化した画像処理技術「目的のものがどこにあるか理解してから」取れる。

撮影:小林優多郎

また2021年の1年間で、約50億個、1日あたり1300万個以上の商品を棚出し、保管、梱包したという。途方もない数の荷物を効率よく捌くことは、同社のビジネスに直接的に影響してくる。

アマゾンはSparrowについて「私たちの物流拠点で初めて、在庫商品を個別に検知、選択、取り扱うことができるロボットシステム」としており、今後の活躍に期待を寄せる。

ドローンで荷物が1時間で届く「Prime Air」も年内に開始

MK27-2

年内にアメリカ国内の2つの地域で開始される「Prime Air」に使われるドローン「MK27-2」。

撮影:小林優多郎

もう一つのニュースはドローンによるものだ。アマゾンは既にプライム会員向け「Prime Air」の実証実験を進めている。今回、新たに

  • 2022年内に、アメリカの2つの地域でPrime Airの本番提供を開始
  • 次世代ドローン「MK30」のデザインや特徴の一部

を発表した。

Prime Airは5ポンド(約2.3kg)までの荷物をドローンを使ってアマゾンの配達拠点から直接、購入者の家に届ける仕組み。

有料のプライム会員であれば追加料金なしで利用できるが、商品はPrime Airに対応したものに限られ、また地域もカリフォルニア州ロックフォードとテキサス州カレッジステーションの送り先のみの対応となる。

荷物の例

Prime Airで運べる荷物は「大きさ(規定の段ボールに入るかどうか)」や「総重量」に制限がある。

撮影:小林優多郎

アマゾンは住んでいる地域や商品によっては、翌日〜2日で配送する「早さ」を売りにしてきた。Prime Airでは「1時間以内に商品を届ける」ことを目標としている。

2022年内に開始されるPrime Airは「MK27-2」と呼ばれる機体だが、イベントでは2024年までに導入予定の新型ドローン「MK30」についても披露された。

MK30

MK30のコンセプトデザインを発表するAmazon RoboticsでPrime Air担当バイスプレジデントを務めるDavid Carbon(デイビッド・カーボン)氏。

撮影:小林優多郎

MK30はMK27-2より軽く、航続距離も長く、小雨でも飛行できるように改良が加えられている。また、騒音レベルもMK30はMK27-2より25%の減少に成功しているという。

イベントに登壇したPrime Air担当バイスプレジデントのDavid Carbon(デイビッド・カーボン)氏はサービス開始にあたり「重視することはルール。開発を通じてアメリカのさまざまな規制当局と連携している」と、安全性を重視していることを強調した。

3要素のスライド

アマゾンはドローン配送を構成する3つの要素として「ルール」「安全管理システム」「飛行マシーン」を挙げている。

撮影:小林優多郎

具体的には、アメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)をはじめ各国の規制当局とコミュニケーションをとり、各国の規制要件を満たすよう開発しているという。

今回はあくまでアマゾンの本国であるアメリカでのサービス開始にとどまるため、日本をはじめとするグローバルに関する発表はなかった。

日本でも自治体や企業などが共同でドローン配送の実証実験を続けている例もあり、配送の巨人であるアマゾンも参入も期待したいところだ。

(文、撮影・小林優多郎、取材協力・アマゾン)

編集部より:初出時、5ポンド(約2.4kg)としておりましたが、正しくは5ポンド(約2.3kg)です。お詫びして訂正致します。また、BOS27の位置情報に関する記述も改めました。2022年11月11日 23:21

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