※本記事は、2022年8月11日に掲載した記事の再掲です
イギリス・ケント州にある住宅の屋根裏部屋で発見された2000年前の古代エジプト人のミイラの頭。
Maidstone and Tunbridge Wells NHS Trust
- イギリス・ケント州にある住宅の屋根裏部屋で、古代エジプトのミイラの頭部が発見された。
- CTスキャンにより、この頭部は2000年前に生きていたと思われる女性のものであることが判明した。
- 研究者は、この頭部が19世紀にエジプト土産として持ち帰られたと考えている。
イギリス、ケント州にある住宅の屋根裏部屋で発見された古代エジプトのミイラの頭部がCTスキャンにかけられ、少なくとも2000年以上前に生きていた女性のものであることが明らかになった。
カンタベリー・クライスト・チャーチ大学の研究者によれば、この頭部は19世紀にエジプトから土産物として持ち帰られたものと考えられている。
同大学でまず最初にこの頭部をX線撮影したところ、成人女性のものであることが分かった。より詳細な情報を得るために、CTスキャンを行うことになった。
メイドストーン病院で行われたCTスキャンの予備的な結果によると、この女性の歯は粗食で磨り減っていたが、舌はよく保存されていたと研究者は述べている。
左の鼻の穴の中と、ミイラの脊柱管の中に未知の材料でできた管があるように見えるが、これが古代のものか近年のものかは不明だという。
脳はミイラ化の過程で取り除かれたようだ。
その起源についてまだ謎の残るこの頭部は、ガラスケースに入れてカンタベリー博物館・ギャラリーに寄贈された。
「ケント州にあった住宅が所有者の死後に解体される際、屋根裏部屋からこの頭部が発見された」とカンタベリー・クライスト・チャーチ大学の診断放射線学講師で、Maidstone and Tunbridge Wells NHS Trustの上級放射線技師であるジェームズ・エリオット(James Elliott)は述べている。
「ビクトリア時代には、このようなアイテムはお土産としてエジプトから持ち帰られていた。それが代々受け継がれてきたのだろう」
カンタベリー博物館でギャラリーコレクションと学びのマネージャーを務めるクレイグ・ボーエン(Craig Bowen)は「兄弟からそれらを継承した男性がこの頭部を発見した」とKent Onlineに語っている。
「その兄弟は20世紀初頭あるいは半ばごろ『コーツ博士』からそれを手に入れたと考えられているが、それ以上の詳細は分かっていない」
「スキャンすることで歯の状態や病理、保存方法など、膨大な情報を得ることができ、年齢や性別の推定にも役立てられる」とスキャンによる分析を率いたエリオットは述べた。
エリオットは、スキャンしたデータを使って頭部の3次元レプリカを作成し、顔の復元を行う予定だという。
CT技術の進歩により、研究者は古代エジプトの伝統についてより詳細に知ることができるようになったと彼は述べた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)