アマゾンが7月に発表し、既に100以上の都市で稼働している新型EDV。
撮影:小林優多郎
アマゾンが11月10日(現地時間)に日本のメディア向けに初公開した研究・開発施設「Amazon Robotics BOS27」。
そこでは、まさに“未来感のかたまり”であるEVプロダクトが公開されたので触れておきたい。
ドライバーを補助する機能が満載の最新EDV
新型EDVの正面。グリル部分にAmazonロゴが光る。日本でもこんな車両が走る姿を見てみたいものだ。
撮影:小林優多郎
それはアマゾンが7月に発表したコネクテッド・ビークルこと、カスタム電気配送車(Electric Delivery Van=EDV)だ。
製造は2019年にアマゾンとのパートナシップを発表したアメリカのEV企業・リビアン(Rivian)が担当している。
運転席には、速度メーターなどを表示するディスプレイとは別に、庫内のエアコンの調整やルート指示、車体背後を映すカメラのチェックなどマルチに使えるディスプレイがある。
撮影:小林優多郎
電気自動車ということで、輸送に伴う二酸化炭素の排出を抑制できる(アマゾンは「年間数百トン規模」と説明)。
よくみると、正面のロゴの下にはセンサーがある(青い円は筆者による強調表現)。
撮影:小林優多郎
荷物を入れる荷台エリア。明るく、広々としている。
撮影:小林優多郎
「成功に不可欠」なラストワンマイル
Amazon RoboticsでVP Last Mile DeliveryのMai Le(マイ・リー)氏。
撮影:小林優多郎
Amazon Roboticsでラストマイルデリバリー担当バイスプレジデントを務めるMai Le(マイ・リー)氏は、このカスタム電気配送車が担う、倉庫からユーザーが指定した配送先まで届けるステップを「4つ目のバトン」と称し「私たちの成功に不可欠」としている。
そのため、ユーザーが商品を受け取るまでのラストワンマイルを担う配送ドライバーの配送効率の向上、労働環境の改善が施されている。
カスタム電気配送車の導入による安全効果。
撮影:小林優多郎
リー氏によると、リビアン製カスタム電気配送車の導入によって、以下のように安全性が上がっているという。
- 運転中の「気の散る行為」が8.7倍減少
- 速度超過した走行が5.9倍減少
- 追突事故が5.2倍減少
- ベルトの締め忘れが19.3倍減少
- 信号や標識の違反が13倍減少
アシスト機能の1つに、運転手が離れるか近づくかを自動で検知して荷台の鍵を開け閉めできる機能がある。業務効率化に加え、ドライバーの鍵の閉め忘れによる盗難防止に効果がある。
撮影:小林優多郎
2030年までに10万台の走行を目指す
BOS27の会場では、シミュレーターによる運転体験もできた。
撮影:小林優多郎
2022年11月現在、アマゾンは既に1000台のEDVを保有しており、アメリカの100以上の都市で実際の配送業務に使われている。
日本での導入についてアマゾン広報はコメントを控えたが、地理的な都合や物流における産業構造の違いから難しそうだとは筆者は予想している。
とはいえ、アマゾンは2022年末までに数千台、2030年までに10万台のEDVを走らせることを目指しており、もしかしたら旅先や出張先で見かけるようになるかもしれない。
(文、撮影・小林優多郎、取材協力・アマゾン)