激動、そして悪夢のような株式市場の1年も終わりを迎えつつある。投資家も諦めムードだが、それでも期待できる厳選16銘柄を米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が選び抜いた。
Brendan McDermid/Reuters
かつてグロース(高成長)株として人気を博した銘柄の多くが、この1年ほどは凋落の一途をたどった。
米銀大手バンク・オブ・アメリカ(通称バンカメ、Bank of America)は、それらの銘柄の復活を待つのは無駄だと指摘する。
ただし、かつて傑出したパフォーマンスを見せたそれらの高成長株が、新たな状況における投資先としては全く相応しくない、という意味ではない。
バンカメ内部で投資テーマや即実行可能なアイデアについて議論する調査投資委員会(RIC)は、1960〜70年代に機関投資家の間で優良株として人気を集めながら、80年代に入って支持を失った一群の大型株を引き合いに出して説明する。
いわゆる「ニフティ・フィフティ(Nifty Fifty)」50銘柄がそれで、ブームの終えんに近づくにつれ評判を落としていったものの、一部の銘柄は熱狂が過ぎ去った後も極めて優秀なパフォーマンスを発揮し続けた。
バンカメRICのレポートにはこうある。
「弱気相場から抜け出した後、かつて高値で取引されていた銘柄は、バリュエーションがリセットされ、一方で投資家が株価回復を期待するので、魅力が高まる可能性があります。
ただし、あり得ないほどバリュエーションが高かった銘柄については、金融環境の引き締めが進むにつれ、投資家から厳しい審査の目を向けられることになるでしょう」
この指摘は、「あり得ないほどバリュエーションが高かった」ハイテク銘柄やインターネット関連の老舗人気銘柄にとってはバッドニュースに違いない。
とは言え、それら以外にも期待できる銘柄がいくつもある。
バンカメRICのストラテジストらはこう分析する。
「上場から年数の浅いグロース株は成熟してバリュー株に転じる可能性があります。
成長の初期段階にいる企業は、配当を手厚くするより収益の伸びを優先し、キャッシュフローが手薄になってでも将来の高いリターンを追求するものです。
それでも企業は最終的に成熟を遂げ、投資家のほうも健全なバランスシートがもたらす相対的な安心感を取るようになるのです」
バンカメRICは「どんな時でも、市場のどこかには強気相場があるものです」として、エネルギー関連株、小型株、バリュー株の評価をポジティブとする。
ただし、グロース株として人気のあった銘柄に投資してリターンを得るためには、世界水準の健全なバランスシートと堅固なビジネスモデルを擁する企業を探し出す必要がある。
そうした条件を満たす銘柄であれば、安定した配当が予見できるし、市場の見通しが改善した際には好業績も期待できる。
以下で紹介する16銘柄は、ここまで述べてきたようなテーマにチャレンジしたい投資家向けにバンカメRICが推奨するトップピックで、投資判断は「買い」もしくは「中立」のいずれかになっている。
バンカメによれば、調整済み株価純資産倍率(PBR)で見たとき、S&P500種構成銘柄の中で最も割安な100銘柄をスクリーニングし、そのうち過去5年間で最も高いリターンを記録している16銘柄を選んだ。
帳簿価額の調整に際しては、無形資産(のれんを除く)、研究開発費のうち資産として計上した部分、販売費および一般管理費に含まれる減価償却費を減算した。
バンカメはこれらの株価純資産倍率に基づく割安銘柄をインデックスにまとめ、四半期末ごとにリバランス(資産の再配分)している。
以下では、16銘柄をインデックスに占めるウェイトの大きさ順にランク付けして紹介する。ランキング首位のファイザーはバリューウェイトが9.5%で、1割近くを占める。
【14位】NXPセミコンダクターズ(NXP Semiconductors)
NXP Semiconductors
Markets Insider
[セクター]情報テクノロジー[バリューウェイト]1.5%
[投資判断]買い
【14位】バイオジェン(Biogen)
Biogen
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]1.5%
[投資判断]中立
【13位】クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)
Kraft Heinz
Markets Insider
[セクター]生活必需品[バリューウェイト]1.6%
[投資判断]買い
【12位】フォード(Ford)
Ford
Markets Insider
[セクター]一般消費財[バリューウェイト]1.8%
[投資判断]買い
【12位】モデルナ(Moderna)
Moderna
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]1.8%
[投資判断]中立
【11位】チャーター・コミュニケーションズ(Charter Communications)
Charter Communications
Markets Insider
[セクター]通信サービス[バリューウェイト]1.9%
[投資判断]中立
【10位】ゼネラル・エレクトリック(General Electric)
General Electric
Markets Insider
[セクター]資本財[バリューウェイト]2.6%
[投資判断]買い
【9位】ボーイング(Boeing)
Boeing
Markets Insider
[セクター]資本財[バリューウェイト]2.8%
[投資判断]中立
【8位】ギリアド・サイエンシズ(Amgen)
Gilead Sciences
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]3.0%
[投資判断]中立
【6位】アムジェン(Amgen)
Amgen
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]4.7%
[投資判断]中立
【6位】レイセオン・テクノロジーズ(Raytheon Technologies)
Raytheon
Markets Insider
[セクター]資本財[バリューウェイト]4.7%[投資判断]買い
【5位】コムキャスト(Comcast)
Comcast
Markets Insider
[セクター]通信サービス[バリューウェイト]5.0%[投資判断]中立
【4位】ブリストル・マイヤーズ スクイブ(Bristol-Myers Squibb)
Bristol-Myers
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]5.9%
[投資判断]買い
【3位】ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)
Verizon
Markets Insider
[セクター]通信サービス[バリューウェイト]6.2%
[投資判断]中立
【2位】メルク(Merck)
Merck
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]8.5%
[投資判断]中立
【1位】ファイザー(Pfizer)
Pfizer
Markets Insider
[セクター]ヘルスケア[バリューウェイト]9.5%
[投資判断]中立
(翻訳・編集:川村力)