「dotSwoosh」のスクリーンショット。
Courtesy Nike
- ナイキは11月14日、バーチャルグッズを販売するオンラインストア「スウッシュ(Swoosh)」のローンチを発表した。
- この発表は、メタバースの将来に対する疑念が残る中で行われた。
- メタバース技術への多額の投資をしているメタは、従業員を1万1000人削減することを11月9日に発表した。
ナイキ(Nike)はメタバースへの邁進を続けている。
同社は2022年11月14日、ナイキのバーチャルグッズを販売するオンラインストア「スウッシュ(Swoosh)」をローンチした。
メタバースの将来性が疑問視され、メタ(Meta)が何十億ドルもの投資に対するリターンを生み出せないという状況の中、それでもナイキがこの新たなマーケットプレイスを立ち上げるということは、バーチャル環境で消費者とつながっていくんだという同社の決意を表している。
スウッシュは「Web3対応のプラットフォーム」であり、そこではユーザーがナイキのデザイナーとバーチャル製品(バーチャルのシューズやジャージなど)を共同制作できるようになると、ナイキはニュースリリースで説明している。
最初のバーチャルコレクションはスウッシュのメンバーによって「形成」され、2023年に発表されるという。その後に開催される「コミュニティ・チャレンジ」に参加して勝ったメンバーには、ナイキとバーチャル製品を共同制作する機会が与えられ、その製品が販売された場合、ロイヤリティが支払われる可能性もある。しかし、メンバーが製品の制作をどの程度コントロールできるかは不明だ。
ユーザーはバーチャルグッズを、ビデオゲームやロブロックス(Roblox)などのオンライン環境で身につけることができるようになる。
ナイキはメタバース参入に向けて、アバターからバーチャル・スニーカーの「クリプトキック」に至るまで、あらゆるものをカバーする一連の特許を申請し、知的財産の基盤を慎重に構築してきた。2021年には、メタバース・スタジオを率いる上級管理職を任命したほか、話題のバーチャル・グッズ企業、RTFKT(アーティファクト)を買収した。2022年には、ナイキの大人気アプリSNKRS(スニーカーズ)の幹部を務めていたロン・ファリス(Ron Faris)を、バーチャルスタジオで制作される製品を監督する責任者に任命した。
ファリスはFast Companyのインタビューで、バーチャルスニーカーをデジタルとフィジカルの橋渡しをする方法だと説明した。これはナイキの幹部がよく話題にする論点だ。
「私はこれらのバーチャル製品を、単なる靴や大事な製品だとは見ていない。サービス付きの製品、つまり製品に一連の有用性が付随していると見ている」とファリスは述べた。
アナリストたちは、ナイキのメタバースへの野心とRTFKTの買収について概ね好意的だが、メタバースをめぐる見解はここ数カ月で変化している。
メタ(Meta)は今月、メタバース向けツールの開発に多額の支出をしたことがきっかけとなり、1万1000人をレイオフすることになったと発表した。The Informationは、そのメタバース・プロジェクトへの支出が5年間で1000億ドル(約14兆円)に達する可能性があると推計している。
調査会社のガートナー(Gartner)は、2026年までに25%の人が1日に1時間メタバースで過ごすようになると予測しているが、企業に対して技術が開発段階にある間は「過剰なコミットメント」をしないよう忠告している。
メタバースに対するナイキのアプローチは、積極的で揺るぎなく、かつ慎重に進められている。今のところ、スウッシュのプラットフォームはベータ版(テストモード)であり、2023年に本格的なローンチを予定している。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)