ヘルソンを訪れるウクライナのゼレンスキー大統領(2022年11月14日)。
Volodymyr Zelenskyy/Telegram
- ウクライナは先週、南部ヘルソン州の州都ヘルソン市を奪還した。これはウクライナにとって大きな勝利となった。
- ウクライナのゼレンスキー大統領は11月14日、ヘルソン市を訪れた。これまでにロシア軍による数多くの戦争犯罪の証拠が見つかっているという。
- ゼレンスキー大統領のヘルソン訪問を受け、ロシアは同市をロシアの一部だと改めて主張した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11月14日、先週奪還した南部ヘルソン州の州都ヘルソン市を電撃訪問し、ウクライナの勝利を祝った。
ゼレンスキー大統領やウクライナ政府高官がヘルソンを訪問した際の写真を公開した。
2月にウクライナ侵攻を始めて以来、ロシア軍が唯一占領していた州都ヘルソンをゼレンスキー大統領が訪問したことを受け、ロシアは同市をロシアの一部だと改めて主張した。
国営通信社RIAノーボスチによると、ロシア大統領府は14日、「(ヘルソンは)ロシア連邦の領土だ」とコメントした。
ロシアは9月にヘルソン州の他、ウクライナ東部や南部の3州を併合し、これら4州はロシアの一部になったと宣言していた。
ロシアのこうした動きは広く非難され、国際社会からも承認されなかった。そして、当時ですらロシアは4州全ての領土を掌握していなかった。
ウクライナ軍が迫ると、ロシア軍は先週ヘルソンから撤退した。これはつまり、ロシアのプーチン大統領はヘルソンに対して物理的にも政治的にも支配力を持っていないということだ。
「戦争犯罪」
ウクライナ軍が11日にヘルソンに入ると、住民は奪還を祝った。ただ、ロシア軍の支配下では拷問などがあったとも話している。
日曜日の夜に定期的に行っている演説の中でゼレンスキー大統領は、ヘルソンで発覚したことは国内の他の地域で発覚した惨状によく似ていると語った。
「調査団はすでにロシアによる400件以上の戦争犯罪を記録している。市民や兵士の遺体も見つかっている。ヘルソン州で ロシア軍は占領した他の地域と同様の残忍行為を行った」
ロシア兵が自身の工場からトラックを盗むのを止めようとして投獄されたバレリーさんという男性をSky Newsが取材している。
ウクライナ兵にキスをするヘルソンの住民(2022年11月13日)。
AP Photo/Efrem Lukatsky
「20の監房に180人以上が収容されていました。毎日拷問されていました」とバレリーさんは話している。
「ひどい拷問を受けていました。電気椅子で処刑される人もいました。水責めにあう人などもいました。人として想像できないようなことをやっていたんです。ウクライナ軍が1日も早く戻ってきてくれることを祈っていました」
別の男性はロシア兵がヘルソンの少女をレイプしたり、成人男性を殴ったり殺害したりしていたとSky Newsに話している。
ロシアが占領し、その後奪還されたウクライナの多くの地域で、ロシア軍による虐待、拷問、殺人があったと現地の人々は説明している。
集団埋葬地も複数の地域で見つかっていて、東部イジュムでは400体以上の遺体が見つかったと報じられている。
ウクライナ人を拷問したり、殺害していることを自慢げに話すロシア兵の通話も傍聴されている。
一方、へルソンではロシア軍の撤退後、ロシアの協力者と疑われた数人が街灯に縛り付けられたとAP通信は報じている。
ゼレンスキー大統領は13日、ヘルソンはまだ「非常に危険」で、地雷が散乱していると警鐘を鳴らした。
(翻訳、編集:山口佳美)