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気候変動による干ばつで、3400年前の古代都市が再び出現…イラク、チグリス川で

※本記事は、2022年6月9日に掲載した記事の再掲です

水没していた青銅器時代の建造物が、干ばつにより川の水位が下がったことで姿を現した

水没していた青銅器時代の建造物が、干ばつにより川の水位が下がったことで姿を現した。

Universities of Freiburg and Tübingen, KAO

  • 極度の干ばつでチグリス川の水位が下がり、約3400年前の都市が出現した。
  • イラクはここ数カ月の間、気候変動による干ばつに見舞われている。
  • 考古学者たちは、気候変動によって露出したり破壊されたりした遺物の保存を急いでいる。

気候変動が引き起こした深刻な干ばつによってイラクの青銅器時代の古代都市が姿を現し、これによって調査する機会が得られたと研究者らが2022年5月30日に発表した。

イラクのクルディスタン地方では、2021年12月にこの地域を襲った干ばつから農作物を守るために、チグリス川の貯水場から大量の水が汲み上げられた。そのため水位が下がり、川沿いにある3400年前の古代都市の建造物が再び姿を現した。

国連によると、イラクは世界で5番目に気候変動の影響を受けやすい国だという。気温の上昇により乾燥し、干ばつになりやすく、農業とそこに住む人々の生活を脅かしている。イラク水資源省の上級顧問は4月、「水の蓄えは2021年の約50パーセントと、かなり少ない状況だ」とAFPに語り、この懸念される状況は「2020年、2021年、2022年と連続して発生した干ばつ」が原因だとしている。

水面下に都市の遺跡があることは以前から知られていたが、調査ができるのは、干ばつ時に姿を現すときだけだ。前回遺跡が出現したのは2018年の干ばつ時であり、次がいつになるのか、研究者にも分からない。

この古代都市から高さ6メートルの壁に囲まれ、いくつかの塔、高層の建物を含む宮殿が見つかったと、発掘チームは発表した

この古代都市から高さ6メートルの壁に囲まれ、いくつかの塔、高層の建物を含む宮殿が見つかったと、発掘チームは発表した。

Universities of Freiburg and Tübingen, KAO

2022年1月と2月、クルド人とドイツ人から成る考古学者チームは、「ケムネ」と呼ばれるこの遺跡に駆けつけ、高さ6メートルの壁、いくつかの塔、高層の建物などで構成される宮殿を含む古代都市の大部分を発掘し、地図を作成した。

考古学者によると、この都市は紀元前1550年から1350年にかけてメソポタミア北部とシリアの大部分を支配したミタンニ王国の時代にさかのぼるという。紀元前1350年頃、ミタンニの都市は大地震に見舞われ、壁の上部が崩れ落ち、建物が下敷きになった。そのおかげで、長年水面下にあっても、古代の建造物の保存状態がよかったのかもしれないと、研究者らは考えている。

「発掘調査の結果、この遺跡はミタンニ王国の重要な拠点だったことが明らかになった」と、発掘チームを率いる考古学者で、クルディスタン考古学機構の会長を務めるハサン・アフメド・カシム(Hasan Ahmed Qasim)は声明で述べている。

発掘現場からは、楔形文字が刻まれた100枚以上の粘土板が発見され、粘土製の封筒に入ったままのものもあった

発掘現場からは、楔形文字が刻まれた100枚以上の粘土板が発見され、粘土製の封筒に入ったままのものもあった。

Universities of Freiburg and Tübingen, KAO

5つの陶製の壷も発見されており、その中から楔形文字が刻まれた100枚以上の粘土板(青銅器時代初期に文字を記すために使われた)が発見され、粘土製の覆いに入ったままのものもあった。これらの粘土版は、地震によって都市が破壊される直前のものだとされる。

「未焼成の粘土板が水中でずっと保存されてきたことは奇跡に近い」と、発掘チームの一員であるドイツ、チュービンゲン大学のペーター・プファルツナー(Peter Pfälzner )は、声明で述べている。

発掘を終えたチームは、遺跡を保護するためにビニールシートで覆った

発掘を終えたチームは、遺跡を保護するためにビニールシートで覆った。

Universities of Freiburg and Tübingen, KAO

この古代都市は再び完全に水没している。声明によると、2月に発掘を終えた考古学者たちは、再び水没してもこれ以上劣化しないよう、遺跡をビニールシートで覆ったという。

気候変動の影響によって露出したり破壊されたりしている遺物の保存を急いでいるのは、この発掘チームだけではない。水位が下がり、氷河が溶け、海面が上昇することで、新たに発見されるもの、あるいは損傷を受けるものがある。例えば、ネバダ州のミード湖では、水位の低下により、長い間水没していた遺体が発見された。ハワイでは、伝統的に海岸沿いに祖先が埋葬されてきたが、海水面の上昇と海岸の浸食によってそれが危機にさらされている。

法人類学者のジェニファー・バーンズ(Jennifer Byrnes)は5月、「海水面の上昇により、遺骨が埋葬されていたところまで浸食されていく。遺骨はますます露出することになるだろう」とInsiderに語っている。

編集部より: イラクのクルディスタン地方での干ばつは2021年12月の誤りでした。お詫びして訂正します。2022年6月14日 13:40

[原文:Iraq's extreme drought reveals a 3,400-year-old city

(翻訳・仲田文子、編集・Toshihiko Inoue)

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