無印良品が衣服のイメージ刷新に向けて、今後の戦略を発表しました。
撮影:竹下郁子
無印良品を展開する良品計画は15日、2023年春夏の展示会を開いた。
「ジェンダーレス」な男女兼用の商品に傾倒したことで衣服の販売に苦戦していた同社が、少なくとも1年ぶりにスカートの発売を再開する。
大切なものを削っていた
今シーズンから復活したスカートたち。
出典:無印良品ホームページ
「ここ数年はテイストが偏り、一部の人にしか買ってもらえないものが多かった。一方で本当はカットしちゃいけないものをたくさんカットしていたんです。例えば、昨年の秋冬と今年の春夏はスカートがありませんでした」
そう語るのは取締役兼執行役員の岡崎令氏だ。
パンツはハンパ丈が多く、シャツといえばスタンドカラーで、ビジネスシーンに適したものが全体的に少なかった。女性向けのワンピースもゆったりとしたデザインのものばかりだったと振り返る。
またジェンダーレスで男女兼用のものを増やしたため、サイズ展開が「S〜M」「L〜XL」など幅広いものになり、混乱した客から「自分に合うサイズが分からない」という問い合わせが多数あったそうだ。
天然素材の呪縛を解いて
23年の春夏に向けた商品。確かにカラフルだ。
撮影:竹下郁子
無印良品はこの秋冬から改革を進めてきた。サイズを抜本的に見直し「XS」〜「XXL」まで幅広く取り揃えたのに加え、普通丈のパンツなど定番デザインに回帰。色展開もカラフルなものを増やした。
「フォーマル以外は全て用意しました。『買ってもいいかな』と思ってもらえる商品が必ずあるはずです」(岡崎さん)
素材もテコ入れする。
「『無印良品といえば天然素材でなくちゃ』という呪縛があり、これまで合成繊維をあまり使ってきませんでした。でも、この秋冬からは活用しています。洗濯後シワになりにくいとか撥水とか、合成繊維は合理的ですから」(岡崎さん)
一部の商品では、素材は環境負荷の少ない再生ポリエステルなどを使用する。
「『無印に私の服はない、サイズも色も』と思われてしまっている。一度離れた客を取り戻すのは大変です」(岡崎さん)
(文・竹下郁子)