※本記事は、2021年10月7日に掲載した記事の再掲です
Walmart Media Relations
- 大手小売業者は、一部の返品について顧客に新しい選択肢を提供している。返金するが商品は返送しなくてよいというものだ。
- 低価格商品の場合、物理的な返品処理をすることは大手小売業者にとって経済的に意味がない。
- ウォルマートとターゲットは2021年初めに、ウォール・ストリート・ジャーナルに対してこの事実を認めている。
アメリカの大手小売業者の中には、返品の際に、顧客に対して商品はそのまま持っていてほしいと伝え、返金処理だけを行っている企業がある。
ウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、アマゾン(Amazon)の3社はこのような処理を行っていると、2021年初めにウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal:WSJ)が報じている。
ただし、テレビやパソコンが無料になるというわけではない。このポリシーは、その商品を再販できる可能性が低く、返品処理にかかるコストが製品自体の価格と同等かそれ以上の場合に適用される。
これは低価格帯の商品を対象としたポリシーで、その業者で購入履歴のある顧客に適用されている。
ローカス・ロボティック(Locus Robotics)のCEO、リック・フォーク(Rick Faulk)は、返品処理に関連する最大のコストは配送料だとWSJに語っている。
「客が店舗へ返品してくれる場合はコストが圧倒的に低くなる。小売店は15%から20%のコストがかかる配送料を節約できるからだ」
さらに悪いことに、2020年から、商品が港や船に積まれたままの輸送用コンテナに滞留するなど物流は悪夢のような状況になっている。新型コロナウイルスによるパンデミック期間の工場の操業停止や消費者の爆発的な需要によって多くの消費財の供給が大幅に滞ってしまい、この問題が起こってしまったのだ。
また、2021年の新型コロナウイルスの流行でアメリカ人がほとんど家にこもっていたこともあり、返品のために店に行く人は以前より少なくなった。ネット通販の配送や返品をサポートする企業、ナーバー(Narvar)によると2020年はオンライン返品が70%も急増したと、WSJは報じている。
オンライン販売の急増に伴い、大手小売業者が送料のかかる返品処理の費用を見直すのは当然のことだ。
また、驚くことでもないが、客は代金を支払わなくてもいい商品を手に入れることを楽しんでいる。
フィラデルフィアに住むある女性は、小さすぎる猫用ハーネスをペット関連商品のオンラインショップであるチューイ(Chewy)に返品しようとしたところ、チューイはハーネスを送り返すのではなく寄付するようにと彼女に伝え、正しいサイズのハーネスを送ってくれたとWSJに語っている。
「すばらしいことね」と彼女は話している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)