※本記事は、2021年12月24日に掲載した記事の再掲です
『ホーム・アローン』より。
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- 映画『ホーム・アローン』はアメリカで公開されてから31年、日本では30年が経つものの、今でも多くの人々に愛されているクリスマスの定番だ。
- 『ホーム・アローン』のファンでも、この映画の最も印象的なシーンの1つがマコーレ・カルキンのアドリブだったと知っている人は少ないかもしれない。
- 『ホーム・アローン』には、カルキンの実の弟も出演していた。
映画にぴったりな家を見つけるまでに時間がかかった
『ホーム・アローン』より。
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Entertainment Weeklyによると、クリス・コロンバス監督とそのクルーが『ホーム・アローン』でマカリスター家が住んでいた家を見つけるまでに数週間かかったという。
最終的に彼らはイリノイ州ウィネトカにある家を選んだ。温かみと不穏な雰囲気の両方があったからだという。
「何枚か写真を撮って、ジョンに送ったら『完璧だ。まさにぼくのイメージ通りだ』とジョンが言ったのを覚えている」とコロンバス監督は語っている。
脚本の権利はもともとワーナー・ブラザースが持っていた
『ホーム・アローン』より。
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映画は最終的にヒューズエンターテインメントが製作、20世紀フォックスが配給したが、プロジェクトの権利はもともとワーナー・ブラザースが持っていた。
Chicago magazineによると、『ホーム・アローン』の製作開始が予定されていた3週間前に予算をめぐる争いが起きたという。
「問題は『全員をレイオフしなくちゃいけないのか?』ということだった」とアソシエート・プロデューサーのマーク・ラドクリフ(Mark Radcliffe)氏は同誌に語った。
幸運にも20世紀フォックスが映画の権利を買い、製作は予定通り続けられた。
数年後、"ケビン"と"ママ"は心温まるひとときを過ごした
『ホーム・アローン』より。
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Us Weeklyによると、ケビンのママを演じたキャスリン・オハラは『Watch What Happens Live』の2015年のインタビューで、自身とカルキンがあるイベントで心温まるやりとりをしたことを明かしている。
「彼とはもう何年も会っていなかったんだけど、2年前… 1年半前かしら… にイベントのオープニングで再会したの。彼はこちらにやって来て、『ママー!』と言って、わたしも『ベイビー!』と答えたわ」とオハラは振り返った。
彼女の夫が2人の写真を撮ってくれたと言い、カルキンと再会できてうれしかったとオハラは話した。
30年近く映画界の記録を持っていた
『ホーム・アローン』より。
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アメリカでの興行収入が2億8570万ドルに達した『ホーム・アローン』は、2017年まで1つの国・地域で最も高い興行収入を記録した実写アクション・コメディだったと、フォーブスは報じている。
『ホーム・アローン』はこの記録を27年保持し続けたが、2017年に中国の映画『恥知らずの鉄拳』に追い越された(インフレ調整なし)。
それでも『ホーム・アローン』は、アメリカで興行的に大成功した実写アクション・コメディ映画の1つだ。
カルキンの弟も映画に登場す
『ホーム・アローン』より。
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カルキンの弟キーラン・カルキンは、ケビンの従弟フラー役で『ホーム・アローン』に出演している。
2人は『ホーム・アローン2』にも、ともに出演している。
脚本は10日弱で書かれた
『ホーム・アローン』より。
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『ブレックファスト・クラブ』や『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』『すてきな片想い』といった1980年代の大ヒット作の脚本も手掛けてきたジョン・ヒューズ氏は、『ホーム・アローン』の脚本の初稿をわずか9日で書き上げた。
ヒューズ氏の息子であるジェームズ・ヒューズ氏が書いたChicago magazineの記事によると、『ホーム・アローン』の脚本はヨーロッパへの家族旅行の後に書かれたという。
「旅行に出かける予定だった」とヒューズ氏は1990年、タイム誌に語った。
「それで、家に忘れて行きたくないものをリストにしていた時に『ああ、子どもたちを忘れちゃいけない』と思って、そこから『10歳の息子を自宅に置いてきぼりにしたらどうなる? 子どもはどうするだろう?』と考えたんだ」
カルキンは『ホーム・アローン』を観るのが難しいと話している
マコーレ・カルキン。
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2018年のインタビューで、カルキンは『ホーム・アローン』をさまざまな個人的な事情を思い出さずには観られないと話している。
「映画を観ていると… 現場で撮影した日のことを思い出してしまう。カウチの後ろにぼくのペプシをどうやって隠していたか… みたいなことを、ね。他の人がこの映画を観るようには観られないんだ」
コロンバス監督は、ヒューズ氏が脚本を手掛けた別のクリスマス映画を監督するはずだった
クリス・コロンバス監督。
Slaven Vlasic/Getty
Chicago magazineによると、コロンバス監督はもともと『ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション』 —— これもヒューズ氏が脚本を書いた —— に取り掛かっていたものの、最終的に俳優チェビー・チェイスとは一緒に仕事はできないとヒューズ氏に連絡したという。
「ジョンは理解してくれた。それから2週間くらい経って、リバーフォレストにある親戚の家にいた時に、2つの台本を受け取ったんだ。そのうちの1つが『ホーム・アローン』で、監督をやらないかというジョンからのメモが添えられていた」とコロンバス監督は同誌に語った。
「ぼくは『ああ、この人はハリウッドの人間が誰もそうしようとはしない時に自分を本当にサポートしてくれている』と思った」
ジョン・キャンディは、ほとんどのシーンがアドリブ
『ホーム・アローン』より。
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コロンバス監督は2020年のInsiderの取材に、伝説的なコメディ俳優ジョン・キャンディは撮影現場にアドリブをするつもりでやって来たと語っている。
「彼はこの映画に1日しかいなかったけれど、素晴らしいアドリブを見せてくれた。脚本には一切なかったんだ」とコロンバス監督は語った。
「あの葬儀場の話は朝の4時半に全てアドリブで撮影された。ジョンの台詞を聞いているだけで、ぼくたちはセットにほとんど顔を向けられなかったよ」
ヒューズ氏は自分の脚本にこだわりがあったが、『ホーム・アローン』の感動的なシーンの1つはコロンバス監督が付け足したものだった
『ホーム・アローン』より。
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キャンディのカメオ出演を除いて、ヒューズ氏は大量のアドリブや自身が書いた脚本に手を入れることを良しとはしなかった。ただ、コロンバス監督は隣に住む老人マーリーの役に対してやさしいビジョンを持っていて、映画にそれを忍び込ませることができた。
教会のシーンはもともと脚本にあったものの、ケビンとマーリーの会話はコロンバス監督が追加したものだった。
「孫娘に会えないとマーリーが話すところはぼくが付け加えた。それから、映画の終わりの方でマーリーが孫娘と再会するのをケビンが見るところもぼくが追加したものだ」とコロンバス監督はInsiderに語った。
「ぼくが映画に加えた中で一番誇りに思っているところかもしれない」
ハリー役の候補にはロバート・デ・ニーロの名前も
ジョー・ペシの役をロバート・デ・ニーロがやっていた可能性も?
Toby Melville/Reuters; Fox
『ホーム・アローン』のハリー役にジョー・ペシが決まる前、製作チームはロバート・デ・ニーロを候補に考えていた。
しかし、コロンバス監督によると、デ・ニーロがこの役を演じることを真剣に考えたことはなかったようだ。
「内々には話されていたけれど、ペシがイエスと言った時は驚いた」とコロンバス監督はInsiderに語った。
カルキンは最も象徴的なシーンの1つをアドリブでやった
『ホーム・アローン』より。
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アフターシェーブ・ローションを塗ったケビンのリアクションは、恐らく『ホーム・アローン』の中でも最も有名なシーンの1つだろう。
ただ、カルキンはどうやらコロンバス監督が指示した通りにはやらなかったようだ。
「顔がヒリヒリするものを塗ったら、大半の人はすぐに手が動くでしょう。なので、ぼくの彼への指示は"顔を軽く叩いたら手を動かして叫んで"だった。そうしたら、あれは最初のテイクだったと思うんだけど、彼はほほに手を置いたままにしたんだ」と監督はInsiderに語った。
その上で、「『ホーム・アローン』の象徴的なシーンがアクシデントだったなんて面白いね」と付け加えた。
エアガンのエフェクトはアニメーション
『ホーム・アローン』より。
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1990年に『ホーム・アローン』が公開された時、CGI(コンピューター生成画像)は"当たり前"ではなかった。そして、『ホーム・アローン』はすでに予算ギリギリだったため、製作チームは特殊効果については創造力を働かせる必要があった。
ケビンがマーヴの頭をエアガンで撃つシーンのBB弾は、実はアニメーションだった。
「シカゴの母親の家の地下室で暮らしている男に600ドル払って、マーヴの頭に飛んでいくBB弾を手描きしてもらったんだ。だから、あれはアニメーション効果だった」とコロンバス監督はInsiderに語った。
「あれは1800万ドルの映画だったんだ。だから、ぼくたちの予算からしたら、ぼくはその出来に満足している」
『ホーム・アローン』は多くの人々に『Angels With Filthy Souls』が実在の映画だと信じ込ませた
『Angels With Filthy Souls』は『ホーム・アローン』のために作られたものだ。
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ケビンはウェット強盗から身を守るために『Angels With Filthy Souls(汚れた魂の天使)』という白黒映画を使ったが、多くの人々 —— セス・ローゲンやクリス・エバンスも —— はこれが実在する映画ではないと知って衝撃を受けた。
この白黒映画は『ホーム・アローン』のために作られたものだった。ただ、本物に見える理由があった。
「『ホーム・アローン』は1940年代から1960年代にかけてテクニカラー映画でよく使われていた古いカーボンアークの照明装置を使って撮影された最後の映画の1つだった」とコロンバス監督はInsiderに語っている。
そして、同じ手法を『Angels With Filthy Souls』にも使ったと説明した。
「あの白黒の豊かさがその時代の映画っぽく見せていたんだ。だからあれが本物の映画だと思った人がいたんだとぼくは考えている」
『ホーム・アローン』はヒューズ氏が手掛けた別のヒット作の後、カルキンを念頭に書かれた
『おじさんに気をつけろ!』より。
Universal
『ホーム・アローン』の1年前、カルキンはヒューズ氏が監督、脚本、製作を務めた『おじさんに気をつけろ!』にキャンディとともに出演していた。
ネットフリックス(Netflix)の『ボクらを作った映画たち』の『ホーム・アローン』の回によると、ヒューズ氏はマイルズ・ラッセルを演じるカルキンを観て、少年を主人公にした映画を書こうと考えたという。
アイデアが形になり始めると、ヒューズ氏はカルキンにぴったりだと考えた。
撮影はシカゴの郊外にある、ありふれた高校で行われた
『フェリスはある朝突然に』は、ニュー・トライアー・タウンシップ高校で撮影された。
Paramount Pictures
『ボクらを作った映画たち』の同じ回で、製作チームはイリノイ州ウィネトカにあるニュー・トライアー・タウンシップ高校(New Trier Township High School)での撮影を振り返っている。
ヒューズ氏は自分の映画をシカゴ都市圏で作るのが好きだったので、チームは『フェリスはある朝突然に』や『おじさんに気をつけろ!』といったヒューズ氏の作品が撮影されたのと同じ建物の中に彼らの製作部を置いた。
結局、彼らはマカリスター家の室内セットを学校の体育館に作り、マーフィーの家のセットをプールの中に作った。
キャンディのギャラはピザ屋の配達員役よりも少なかったと言われている
Fox
キャンディは自身が出演するシーンの全てを1日(23時間)で撮り切ったものの、ギャラという意味ではあまり見返りを受けていない。
『ボクらを作った映画たち』によると、キャンディはヒューズ氏の頼みでカメオ出演し、スタジオが同意した「最低賃金」を受け取ったという。
結局、キャンディはピザ屋の配達員を演じたダン・チャールズ・ズコスキーよりも出演料が少なかった。
撮影2日目、クルーは全てを捨てて雪の中で最後のシーンを撮影した
『ホーム・アローン』より。
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『ボクらを作った映画たち』によると、『ホーム・アローン』は2月にシカゴで撮影され、クルーは雪が降るのを願っていたという。
フェイクの雪はお金がかかるので、撮影2日目に吹雪になると、クリスマスの日の朝にケビンが目覚めて、家族と再会する「決定的瞬間」を撮ろうと、全員がこのチャンスに飛びついた。
自然の雪を生かしつつ、吹雪いているように見せるため、クルーはポテトフレークを使った —— これは効果的だったと言われているが、数日後に雪が解けると、あたりには大量の腐ったでんぷんが残っていたという。
スタントは本物だった —— ある"落ち方"は「ホーム・アローン」と名付けられたほど
『ホーム・アローン』より。
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カルキン、ペシ、ダニエル・スターンが彼らの演じた役の全ての"落下"や"衝突"をやったわけではないが、それぞれのスタントダブルが実際にやっている。
『ボクらを作った映画たち』によると、『ホーム・アローン』では特殊効果を一切使っておらず、地面にパッドを埋めたりもしていなかった。そのため、クルーは最初のテイクできちんと撮影しなければならないというプレッシャーがすごかったという。
ペシのスタントダブルを務めたトロイ・ブラウンは、凍った階段から初めて落ちた時は「できるだけ遠く、高く飛んだ」と話している
『ホーム・アローン』の 激しいスタントは、長期にわたって影響を与えた。
「今では、滞空時間の長い、背中で落ちる落下をやる時にそれが『ホーム・アローン』と呼ばれることもあるんです」と撮影監督のジュリオ・マカット氏は話している。
コロンバス監督はもう1つ、クリスマス映画をヒットさせた
『クリスマス・クロニクル PART2』より。
Netflix
『ホーム・アローン』はコロンバス氏にとって監督を務める3度目の長編映画だったが、その後、『ミセス・ダウト』や『ハリー・ポッターと賢者の石』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』といった人気作品を手掛けている。
そして、2020年にはネットフリックスの『クリスマス・クロニクル PART2』でクリスマス映画に戻って来た。