Grace Dean
- 操業停止から約40年、ロンドンのバタシー発電所が巨大複合施設として2022年10月にグランドオープンした。
- 再開発はまだ終わっていないが、約90億ドル(約1兆2500億円)の費用がかかった。
- 広さ42エーカー(約17万平方メートル)のこのアーバンビレッジには、小売店やレストラン、住宅、オフィス、娯楽施設などが揃っている。
2022年10月、イギリスのロンドンで"最も費用のかかった歴史的再開発"として期待された最新のアーバンビレッジが公開された。バタシー発電所だ。
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Source: The Evening Standard
レストラン、映画館、劇場、たくさんの店が並ぶこの最新施設は、ショッピング、エンタメ、娯楽の一大拠点だ。操業停止から約40年、発電所の再開発がようやく実現した。
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テムズ川のすぐ南にあるこの石炭火力発電所の建設は1929年に始まったものの、完成までには約26年かかった。最盛期にはロンドンの電力の20%を供給していた。
Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images
Source: Battersea Power Station
著名建築家ジャイルズ・スコット氏が設計したこの建物は4本の煙突が印象的で、ロンドンのランドマークの1つとなった。ピンク・フロイドの1977年のアルバム『アニマルズ』のジャケットにも登場する。
30th August 1978: The gothic-style towers of Battersea Power Station
発電所は1983年に操業を停止し、閉鎖された。2012年に現在のオーナーが入手するまで複数の人の手に渡り、何十年もの間、テーマパークやチェルシーFCのサッカースタジアムなど、さまざまな再開発事業が検討されてきた。
Ian Tyas/Keystone Features/Getty Images
Source: Battersea Power Station
広さ42エーカーのこのアーバンビレッジは、複合施設として段階的にオープンする。2017年には宿泊施設、バー、レストラン、映画館や劇場といった娯楽施設からなる第1部がまずオープンした。
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Source: Battersea Power Station
2021年の終わりには地下鉄の新駅も開業した。
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そして2022年10月、発電所が実際に建っていた場所が第2部としてオープンした。
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ここは主にショッピング、娯楽、エンタメの場になっている。住宅も254戸あって、2021年に最初の居住者が入居した。
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ユニクロ、スーパードライ(Superdry)、リーバイス、アディダス、ナイキ、スウェッティ・ベティ(Sweaty Betty)、ルルレモンといった店が並んでいる。
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他にも、電気自動車のポールスター(Polestar)や電動バイクのメービング(Maeving)のショールームなど、さまざまな店がある。多くの店はラルフローレンやロレックス、ボスといった高級店だ。ゴードン・ラムゼイのレストランもある。ディスカウント・ストアは見当たらず、一番大きな食料品店としては中間層向けのマークス&スペンサーが入っている。
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ただ、まだオープンしていない店が意外と多いことに筆者は驚いた。
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地元の商品を扱う店も入っているが…
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全体に占める割合としては、とても少ない。
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建物のデザインは、発電所としての過去をフィーチャーしている。
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「コントロールルーム(制御室)」という名前のバーもあって…
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古い機械も所々に残されている。写真のこちらは1955年頃のサーキット・ブレーカーだ。
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発電所の歴史や再開発に関する情報を集めた展示スペースもある。
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将来的には、煙突の上にエレベーターでのぼって街の景色を見渡せるようになるという。
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建物の中は全体的に明るくて、広々としている。
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古いものと新しいものがうまく融合しているように見える。
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バタシー発電所はイギリス登録建造物2級に指定されていて、イギリスの歴史環境保全機関ヒストリック・イングランドは「当時を代表する建築家が設計した大戦間の公共施設の記念すべき例として、建築学的に極めて興味深い」と評している。
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Source: Historic England
この建物の外は、さまざまな階層に分かれている。
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このエリアは「エレクトリック・ブールバード」として知られていて…
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ZARAなどの店舗の上に高級マンションがある。地下には駐車場もある。
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家賃は安くない。小売店や中庭が見下ろせる、寝室とバスルームが2つずつあるこのマンションの一室は、年に4万5000ポンド(約750万円)以上する。寝室が3つある広さ約180平方メートルの部屋なら、ひと月あたり1万5145ポンドだ。ただ、もう少し手頃な住宅も敷地内にはある。
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Source: Battersea Power Station
スティングやベア・グリルス、ゴードン・ラムゼイといった人々がこの再開発エリアにすでに物件を所有していると、『イブニング・スタンダード』は報じている。
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Source: The Evening Standard
アップルと1400人のスタッフも2023年に移ってくる予定だ。かつてのボイラールーム6フロアを使った、約4万6000平方メートルの新しいロンドンキャンパスができる。
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Source: Insider
ディベロッパーによると、プロジェクト全てが完成すれば2万5000人あまりが暮らし働く、ロンドン最大のオフィス、ショッピング、娯楽、文化エリアになるという。
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Source: Battersea Power Station
10月半ばのグランドオープンの週末には25万人以上が訪れ、1つのバーだけで7000杯以上のカクテルが売れたという。
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Source: Battersea Power Station
(翻訳、編集:山口佳美)