スピーチするサム・バンクマン-フリード。2022年6月23日撮影。
Craig Barritt/Getty Images for CARE For Special Children
- 破産申請書類によると、FTXが保有する暗号資産の価値は65万9000ドルだった。
- これは、サム・バンクマン-フリード前CEOの「流動性の低い」暗号トークンを約55億ドル分保有しているという主張に比べるとずいぶんと少ない。
- 「私のキャリアの中で、これほど完全な企業統制の失敗を見たことはない」と、FTXの新CEO、ジョン・レイ3世は述べた。
FTXの連邦破産法第11条の適用申請により、華々しく崩壊したこの仮想通貨取引所の内部統制がいかに最悪だったかが新たに明らかになった。
特に衝撃的だったのは、FTXインターナショナルが保有する暗号資産の価値が、9月末時点でわずか65万9000ドルだったことだ。これに対し、同社の創設者であるサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)は、同社が 「流動性の低い」 暗号トークンを55億ドル分保有していると主張していた。
会社の破綻処理を監督しているFTXの新CEO、ジョン・レイ3世(John Ray III)は、「私のキャリアの中で、今回ほど企業統制が完全に失敗し、信頼できる財務情報が完全に欠如しているのを見たことはない」と述べた。
レイは2001年にエンロンが600億ドル以上の負債を抱えて倒産した際に、エンロンの破綻処理を監督した人物だ。
FTXの創業者、サム・バンクマン-フリードがFTXの財務状況について 「おおよそ」 「私の知る限り」 「これらの数字はすべて概算として扱ってほしい」 と何度もツイートしていたことから、内部の数字がひどいものになるだろうと考えられていた。
破産申請書によると、9月30日現在のFTXの総資産は約22億ドルだが、最近の取引所の経営悪化や先週発生したハッキングを考えると、この数字が今日どうなっているかはわからない。
この状況がいかに前例のないものであるかを示すもう1つの例として、FTXの顧客資金を流用して赤字の穴を塞いだバンクマン-フリードの暗号ヘッジファンド、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)が、倒産する前にバンクマン-フリードに10億ドルの融資を行っていたという事実が挙げられる。
レイは、「海外におけるシステムの完全性の危うさや規制監督の欠陥から、経験不足で洗練されておらず潜在的に危険な少人数の手に支配権が集中していることまで、この状況は前例がない」と述べている。
(翻訳・編集:Toshihiko Inoue)