メルカリが発行を始めた「メルカード」。すっきりとしたデザインが特徴的だ。
撮影:小林優多郎
「意外と初心者にオススメしやすいカード」
メルカリが新参入したクレジットカード事業「メルカード」を数回使ってみて感じたポイントだ。
申し込みはメルカリアプリ内で受け付けており、年会費は無料。通常のショッピングでは1%(100円[税込]につき1ポイント=1円相当)のメルカリポイントが貯まる。
メルカリでの買い物なら、最大4%還元される(詳細は後述)。そのお得さの仕組みと使いやすさについてレポートする。
メルカードの3つのポイントを1分動画でチェック。
撮影:小林優多郎、編集:渡慶次法子
普通郵便で届き、初期設定が必要
筆者がメルカードを申し込んだのは11月10日頃だが、11月16日にはカードが手元に届いた。
メルカードの入った封筒は普通郵便としてポストに投函されていた。往来のクレジットカードだと、配達業者による本人確認などが必要になるケースもあるが、メルカードの場合は利用開始まで「初期設定」で代替している。
筆者の手元に届いたメルカード。
撮影:小林優多郎
初期設定の手順も簡単で、申し込んだメルカリのアカウントでアプリにログインしているスマートフォンをカードにかざすだけだ。感覚としてはマイナンバーカードでの認証に似ている。
少し気になったのが、申請から発送までに「審査結果」が届かなかった点だ。
基本的にメルカードを使い始めるには初期設定が必要。
撮影:小林優多郎
メルペイ(メルカリの決済事業会社)や申し込み時の説明によると、「審査結果には最大2日かかる」「メールやアプリでの通知またはお知らせにて案内」するそうだ。
筆者の場合は、メールにもアプリ内のお知らせにも特に審査結果を知らせるメッセージはなく、現物到着の1日ほど前に「発送した」と連絡があっただけだ。
番号も署名欄もないシンプルなデザイン
メルカードの裏面。署名欄もない。
撮影:小林優多郎
メルカードとして使える実店舗は「磁気テープ」「ICチップ」「タッチ決済」のいずれかに対応したJCB加盟店だ。
流行りの「ナンバーレス」かつ「サインパネルレス」仕様なので、クレジットカード番号も署名欄もセキュリティーコードがどこにも印字されていない。
アメリカなど海外では基本的にユーザーが自ら決済端末を操作することが多い。一方で、日本では店舗のスタッフにカードを渡す機会が多く、その中で悪意ある人の手に渡ったとしても悪用される可能性は少なくなる……といった具合だ。
個人的には、白が基調と相まってデザイン的にもすっきりしていて、正面のメルカリロゴの色彩が非常に印象的だった。メルカードを見せた複数の人から「Apple Cardみたい」と言われることもあった。
メルカリ独自ポイントだが使い勝手はいい
メルカードの還元率(筆者の場合)。
撮影:小林優多郎
さて、肝心の還元内容だが1ポイント=1円相当のメルカリのポイントが100円(税込)の利用ごとに貯まる。
さらに、メルカリでの買い物の場合は、還元率が1〜4%でメルカリやメルペイの利用実績に応じて変化する。
発行開始当初だからというもあるのが、キャンペーンも積極的に行っていく方針のようだ。
- 毎月8日に、一般的なショッピング、メルカリでの買い物の場合ともに+8%還元額が増量(増量分は最大300ポイント)
- 11月30日まで、ローソンや対象のドラッグストアなどの利用で+2%(増量分は最大200ポイント、要申し込み)
- 11月30日まで、ココスやビッグボーイなどの飲食店で+4%還元(増量分最大300ポイント、要申し込み)
- 11月30日まで、アルペングループなどのスポーツ用品店で+4%還元(増量分最大500ポイント、要申し込み)
メルカード対象のキャンペーンはメルカリアプリの「支払い」タブから「還元率」が書かれた四角いエリアをタップすると確認できる。
画像:筆者によるスクリーンショット
なお、貯まるポイントはメルカリやメルペイで利用でき、他社の共通ポイントやマイレージへの変換はできない。
ただし、メルカリでの買い物やメルペイの決済もすべて一括あと払いの「メルペイスマート払い」にすれば、メルカードの利用分とも統合される。
すなわち、翌月の精算時にメルカリの売上や銀行チャージ分だけではなく、ポイントも充てられるため無駄はあまり起きにくい。
ただ、当月利用の還元分は翌月の清算時に付与されるため、当月還元分のポイントを当月利用分の清算を充てることは時系列的にできない。
お得の度合いはメルカリ・メルペイでの利用実績による
今後も毎回というわけではないのだろうが、筆者の場合3回決済してそれぞれ0.1%ずつメルカリでの買い物時の還元率が上がった。
画像:筆者によるスクリーンショット
気になるのは、メルカリでの還元率だろう。このあたりは、メルカリ独自のアルゴリズムのために「人による」というのが正直なところだ。
筆者の場合は、最初2%だった。その後、コンビニなどで100〜600円程度の決済を3回したところ、それぞれの決済ごとに0.1%ずつ増加した。
この増加分は決済通知と同時に来たため、還元率は上がった時はすぐにわかる。
また、還元率が実績に応じて上がるということは下がることもあるわけだが、メルペイ公式サイトによると「年2回、4月1日と10月1日に見直し」ただし「入会から半年〜1年は上がるだけ」「ただし、(メルカリの)取引をキャンセルした際は上昇分が無効になる」としている。
メルカリアプリ中心の体験は安心感につながる
初期設定時にも指定された利用枠内で利用上限額を設定できる。変更もいつでもできる。
撮影:小林優多郎
還元の仕組みもさることながら、個人的には「スマホアプリ中心の決済体験」が非常に気に入った。
それを感じたシーンは以下の通りだ。
- 決済完了時、還元率アップ時にほぼリアルタイムで金額等が通知(タイミングは加盟店による)される。
- 利用一時停止・再開をアプリでいつでも変更できる。
- 利用限度額をいつでも設定できる(最大限度額はメルペイが算定)。
特に利用限度額の設定は、使いすぎを気にするクレジットカード初心者にはうれしい機能だ。現実的に使えるレベルまで引き下げておけば、不正利用への自衛策にもなるだろう。
メルカリユーザー向けと当初は思われていた「メルカード」だが、非メルカリユーザーかつクレジットカードを今まで持ったことがない人にも案外オススメできると感じた。
(文、撮影・小林優多郎)