コンサルから電通へ。なぜ異業種からの採用を進めるのか

電通が中期ビジョン「Integrated Growth Partner」の実現に向け、キャリア採用に力を入れている。新卒採用中心の印象が強いが、他業界や他社から転職して、それまで積み上げてきた経験やスキルを発揮して活躍している社員も多いという。実際にどのようなキャリアを持つ人材が転職して、入社後にどのようなサポートを受けているのか。経験者のリアルな声を聞いてみよう。

いまやキャリア採用は経営上の重要施策

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これまで日本の伝統的大企業は、新卒採用で鍛えて育てるという人材戦略が一般的だった。電通に対しても同様のイメージを抱いている人が多いかもしれないが、その認識は改めたほうがいい。

電通は中期ビジョン「Integrated Growth Partner(以下IGP)」の実現に向け、それを担う職種「統合グロースプランナー(IGプランナー)」のキャリア採用を強化しているからだ。電通社員の育成・成長支援領域を担当する電通コーポレートワンの人事センター育成部部長、和田有子氏は狙いを次のように明かす。

「人が財産である電通において、採用の重要性は増しています。とくにキャリア採用は、IGPを実現するための重要なファクターです。複雑化する社会やクライアントの課題に対して統合的にソリューションを提供するには、これまでの電通では得にくかった多様な経験やスキルを持つ方にジョインしていただくことが欠かせません。いまやキャリア採用は経営上の重点施策の一つです」(和田氏)

実際にどのような経験を持つ人がジョインして統合グロースプランナーとなっているのか。2014年に電通に転職し、現在、第1統合ソリョーション局ソリューションプランナーとして活躍する林将宏氏は、コンサルティングファームで事業戦略や財務/ファイナンスに関連したプロジェクトに関わっていた。コンサルファームは転職志向を持つ人が多い中、林自身も外資系コンサルティングファームなどいくつかの企業と新たな進路を検討したが、電通を選択した。

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林将宏(はやし・まさひろ)氏/第1統合ソリューション局・ソリューションプランナー。コンサルティングファームを経て2014年に電通入社。戦略コンサルティングとマーケティングコミュニケーションの経験を融合させ、独自の事業コンサルティングサービスを提供。事業全体の視点からコミュニケーションまでワンストップで対応、スポーツやエンターテイメントコンテンツ領域でも実績多数。

「たとえば新商品開発なら、コンサルファームではどのような商品をつくるのかというところまでが守備範囲。社会により大きなインパクトを与えたいなら、その後の世の中と接着点、つまりコミュニケーションという人を実際に動かすところまで手がけたほうがいいと考えました。そして、コミュニケーションをやる会社の中でも電通が魅力だったのは、スポーツやエンタメの領域に強かったから。私自身、昔からサッカーをやっていて、子どもの頃からやりたかった領域に携われる可能性があることも最終的に背中を押しました」(林氏)

前職の経験が強みを活かして、新たな付加価値を提供

入社後は多様な業種業態のクライアントに対してプランニングを行った。念願だったスポーツ領域の案件にも関わった。実際に電通で仕事をしてみて意外だったのは、業務がコミュニケーションにとどまらなかったことだ。

「スポーツ領域でいえば、電通はテレビで見てもらったり、スタジアムに来てもらったりするためのコミュニケーションの仕事が中心なのかと思っていました。

しかし、今や企業の課題を広告を中心にしたコミュニケーションだけで解決することは困難な時代。実際、業務ではコミュニケーションのみならず、企業としての戦略的なスポーツを活用したブランディングのご支援はもちろん、スポーツを活用した事業戦略やコンテンツ開発なども含めた統合的な支援が求められました。たとえばアリーナやスタジアム建設のファイナンス戦略はどうするのかといったところも守備範囲。

そういった領域は私がコンサル時代に培ってきたスキルが活きる領域であり、大きく付加価値を出せるところ。これまで培ったスキルを活かせたことは、いい意味で驚きでした」(林氏)

忘れられない仕事がある。日本中が熱狂した、あるスポーツの国際大会のプランニングだ。林氏は、気運を盛り上げるコミュニケーションの他、需要予測のシミュレーション、企業の戦略的な競技の活用のご支援など様々な領域の仕事に携わった。それがうまくいったことは観客動員数など定量的な数値にも表れた。しかし、それ以上に胸を打ったことがあったという。

「そのスポーツは競技人口が多くありませんでした。でも、大会が終了して数週間後、ある公園にいったら子どもたちがそのスポーツで遊んでいた。その様子を見て、自分たちの仕事が社会にインパクトを与えたことを実感。心が震えましたね」(林氏)

「入ってみたら、体育会系カルチャーじゃなかった」

電通データマーケティングセンターのプランナー、鏡味史子氏は、学生時代は電通に対して、CMをつくってタレントさんの撮影を立ち会って、というキラキラしたイメージを持っていたが、いまはクライアントの課題を解決するためにデータの力も活用しながら、必要なことは泥臭くすべてやる、寄り添っていくのが電通なんだと気づいたという。

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鏡味史子(かがみ・ふみこ)氏/電通 データマーケティングセンター プランナー。2018年デジタル広告会社に新卒入社後、2021年電通入社。ターゲットインサイトを導きクリエイティブへ繋げる右脳的な領域から、高度で大規模なデータを活用した顧客接点創出・PDCA基盤構築などの左脳的な領域まで、一気通貫で行えるのが強み。自動車・日用品・製薬など、幅広い商品・業界での担当経験に加え、官公庁関連事業、放送局のデータ活用、大手メディアの新サービス開発事業など、大型プロジェクトにも多数参加。

「クライアントさんのデータ基盤にまつわる戦略提案や、PDCAの設計もしますし、一方で解析のためのパラメータを一つひとつ細かく設定するところまで管理するなど、本当に描いた戦略が実行されるところまで担保する、ということを心がけています」(鏡味氏)

電通に転職して気づいたことがもう一つある。それは、「案外、体育会系じゃなかった(笑)」ということ。

「働く前は、年次優先で、若手は雑用から始める、という文化を想像していました。でも、いざ入ってみると、いい意味で実力主義で、1年目から企画書を書いて、提案するところまで任せてもらえました」(鏡味氏)

異業者からの転職者も手厚くサポート

即戦力になることを期待されているキャリア採用では、すぐに仕事を任されることが珍しくない。ただ、異業種からの転職の場合、初めて経験することも多い。キャリア採用者のオンボーディングについて、和田氏は次のように解説する。

「全社施策として、『INPUT! 365』というプログラムを提供して、世の中の最新潮流やデジタル、グローバル、リーダーシップなどさまざまな知識やスキル・マインドの体得、キャリア自律をサポートしています。各部門単位でも、プランニングに役立つ個別の研修や、社外セミナー参加のサポートを実施しています」(和田氏)

さらに見逃せないのが「リーダー制度」だ。電通では以前から、新入社員で6人前後の班をつくり、先輩社員をリーダー・サブリーダーにアサインして相談相手になる制度を新卒社員向けに提供してきたが、それをキャリア採用にも展開。2021年7月からプログラム内容を一部リニューアルして強化している。コロナ禍の最中に転職した鏡味氏は、リーダー制度に助けられたという。

「毎月オンラインで班の懇親会がありました。同じ時期に入社した人とつながれることは心強かったし、リーダーが『困ったことがあったら何でも相談して』と言ってくれて、職場で直接聞きづらい手続きのことなどを教えてもらうこともできました。とても心強かったです」(鏡味氏)

統合グロースプランナーとしてキャリアを磨く

電通に転職して8年経過した林氏と、転職して間もない鏡味氏。歩んできたキャリアや転職の経緯は異なる二人だが、今後のキャリア展望を聞くと、似た答えが返ってきた。

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「ものを売るときはコンタクトポイントが広告以外にも増え、電通の事業領域も広がってきました。クライアントの“Integrated Growth Partner”になるには、コミュニケーションだけでなく、事業やデータについても深く理解する必要があります。会社は今その方向で動いていますし、私自身、それらのファンクションをすべて備えたプランナーに成長して、会社の戦略を引っ張っていける旗印的存在になりたいですね」(林氏)


「最近は単発のキャンペーンだけではなく、クライアントとの中長期的なお付き合いで成長をご支援するケースが増えてきました。私はデータマーケティングセンターに属していますが、クライアントの課題にきちんと向き合うと、当然データだけではなく事業全体の話になっていき、提案の幅も広がってきます。これから事業戦略やコミュニケーションのスキルをさらに高めて、統合グロースプランナーとして一人前になりたい。それが当面の目標です」(鏡味氏)

二人とも、より広い領域でクライアントの成長を支援する統合グロースプランナーに魅力を感じていた。電通には、統合グロースプランナーとして活躍できる機会とサポート体制がある。興味のある人は、ぜひキャリア採用に挑戦してもらいたい。


電通のキャリア採用の詳細についてはこちら

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