映画『プラダを着た悪魔』で、あなたが見逃しているかもしれない20のディテール

※本記事は、2021年6月4日に掲載された記事の再掲です。

映画の場面写真

『プラダを着た悪魔』より。

20th Century Fox

2006年に公開された映画『プラダを着た悪魔』。

ファンでも気付いていないかもしれない、興味深い事実をいくつか紹介しよう。


アンディのスケジュール帳は、彼女がいかに短期間でミランダの第1アシスタントになったかを示している。

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アンディが面接を受けたのは3月13日。

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面接の準備をしていた時、アンディは3月13日の予定に「午前8時 イライアス・クラーク人事部」と書かれているのを確認している。

映画を通じて、アンディは1年間ここで働いてから別の会社に移りたいと考えていることが示唆されていたが、アンディにそれほど長い時間は必要なかったようだ。

映画の終盤で、アンディはミランダとともにパリ・ファッションウィークへ行く。このイベントは年に2回開催されているが、2人が出席したのは9月または10月頃に開催されたものだ。

つまり、アンディは7カ月弱で自分の能力を証明し、ミランダの第1アシスタントに昇進したということだ。


アンディは大学新聞でさまざまなテーマの記事を書いていた。

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アンディが書いた記事。

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映画では、アンディが大学時代に書いた記事が何度か登場する。

アンディはミランダに『Garbage piles grow as negotiations crumble』というタイトルの用務員の労働組合に関する記事で、賞を獲ったと伝えている。

他にも、バス停に関する記事や、ノースウェスタン大学のTake Back the Nightという性的暴力を終わらせることを目指すイベントについての記事が登場する。


アンディはミランダ・プリーストリーが何者か、知っておくべきだった。

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面接の準備が全くできていなかった?

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面談を受けに来た時、アンディは自分がどんなポジションを獲得しようとしているのか分かっていなかった。

人事部のシェリーという人物にはすでに会ったと言っていたのに、自分が就こうとしている仕事についてほとんど知らないのはややおかしい。

そして、大きな出版社の中で、自分が面接を受けている仕事が具体的にどのようなものか分かっていなかったとしても、アンディがさまざまな雑誌の主な編集者について多少なりとも調べていないというのは、筋が通っていない。

ランウェイのオフィスに来た時、アンディはミランダ・プリーストリーの名前も知らなかったのだ。


タイトルに合わせて、ミランダ・プリーストリーは最初のシーンでプラダのバッグを持っている。

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プラダのバッグと「ブック」。

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ミランダの最初のシーンは、全スタッフが彼女のために全てを完璧に整えようとあたふたする中、ランウェイのオフィスにやってくるところだ。

視聴者にその顔が見える前に、カメラはグレーのプラダのバッグを含めたミランダの服装を映し、彼女が映画のタイトルにある「悪魔」なのだと示している。

この時、ミランダは「ブック」も持っている。これはランウェイの次の号の見本のことで、毎晩ミランダの家に届けられ、ミランダがコメントをするものだと、のちにエミリーがアンディに説明している。


『ランウェイ』は架空の雑誌だが、映画には実在する出版物がいくつも登場する。

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『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』はもう新聞ではない。

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雑誌『ランウェイ』は実在しない。

映画『プラダを着た悪魔』はローレン・ワイズバーガーの同名小説をもとにしていて、小説は筆者の雑誌『ヴォーグ』でのアシスタント時代の経験からアイデアを得たものだ。

ただ、映画には実在の出版物が数多く登場する。

例えば、アンディが面接を受けに来た時、ミランダは『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』を読んでいた。

同紙は2013年に発行を停止したが、2006年に映画が作られた時にはまだ流通していた。


ナイジェルは、のちに自身がアンディのイメージチェンジを手伝うことを予兆する発言をしている。

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ナイジェルを演じたスタンリー・トゥッチ。

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アンディの面接の後、ナイジェルはミランダに「ビフォーアフターの企画でもやるの?」と聞いている。

その後、ナイジェルは新しい服でアンディのイメージチェンジを手伝っている。


オフィスにあるガラスのドアは、表示が間違っているようだ。

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ドアには「PUSH(押す)」と書かれているが、アンディは反対側からドアを押している。

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ミランダの用事でアンディが紙袋とコーヒーを腕いっぱいに抱えてランウェイのオフィスに戻ってきた時、アンディはガラスのドアをオフィスの内側に向かって押している。

しかし、反対側のドアハンドルには「PUSH(押す)」と書かれているので、普通に考えれば、アンディのいた側のドアハンドルには「PULL(引く)」と書かれているはずだ。

ところが、別のシーンでもエミリーと同僚が「PUSH」と書かれた側のドアを手前に引いて、外へ出ている。


ランチを食べに来たランウェイのスタッフはアンディ以外、全員サラダを選んでいる。

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アンディのランチだけ…。

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ランウェイで働き始めた最初の日、昼ごはんにコーンチャウダーを選んだアンディに、ナイジェルはコーンチャウダーの主な材料の1つは「セルライト」だと言った。

この発言は"痩せ"への不健全な執着を表したもので、こうした発言は映画の中で何度も出てくる。アンディものちにサイズが落ちたことを褒められ、エミリーは自身のスレンダーな体型を維持するために、気絶するくらいひもじい思いをしていると話している。

ランチの列に並んでいるトレーを見る限り、ランウェイのスタッフはほぼ全員がこうした不健全な美の理想に従っているようだ。アンディ以外の全員のトレーにサラダが乗っている。


アンディは、ネイトが作るグリルチーズサンドが恋しくなると言っていたが、映画の中でネイトが作ったグリルチーズサンドはあまり美味しくなさそうだった。

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焦げすぎているような…。

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プロのシェフであるにもかかわらず、ネイトの料理スキルはレベルが低いように見える。

あるシーンでは、アンディのために作ったグリルチーズサンドをネイトは焦がしてしまったように見える。ネイトは「8ドルもするヤールスバーグ・チーズ」を使ったと言っていた。

2人の最後のシーンではアンディが、ネイトが仕事の都合で引っ越してしまったら彼の作るグリルチーズサンドが恋しくなると言っていたが、アンディはその前にネイトの作った焦げたグリルチーズサンドすら食べていない。


アン・ハサウェイの本物の母親がちらっと映画に出演している。

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家族写真の中の父親は俳優だが、母親は本物だ。

20th Century Fox; Jemal Countess/WireImage/Getty Images

昔の写真を眺めていた時、アンディは自分と両親が写っている1枚の写真に手を止めた。

アン・ハサウェイ演じるアンディが真ん中で、デビッド・マーシャル・グラント演じるアンディの父がその右に写っている。ところが、アンディの左には、母親役の女優ではなく、ハサウェイの実の母親で女優のケイト・マッコーレー・ハサウェイが写っている。


劇場の看板は『シカゴ』に出演していた女優を正確に表示している。

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アンディの父親が訪ねて来た時、2人は『シカゴ』を一緒に見ようとした。ところが、アンディはこの日の夜の大半を、ハリケーンの中、ミランダが自宅に戻れるようフライトの手配をすることに費やさなければならなかった。

2人が劇場に入っていった時、頭上の看板には「ブルック・シールズ主演」と書かれていた。

映画が公開された2006年のショーにシールズは出演していなかったが、映画のこのシーンが撮られたであろう2005年後半にはロキシー・ハートを演じていた。


オフィスには額に入ったランウェイの表紙がいくつも飾られている。

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ただ、表紙に文字は一切入っていない。

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額に入ったランウェイの表紙は、ロビーや会議室、ミランダのオフィスなどに飾られていた。

ただ、表紙は画像のみで、大半の実在する雑誌に見られるような日付や記事の紹介といった文字は含まれていない。


ミランダのステーキはニューヨークの有名店のもの。

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ステーキハウス「Smith and Wollensky」は実在するレストランだ。

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ミランダのステーキを手に入れるために、アンディはSmith and Wollenskyへ行った。

Smith and Wollenskyは、ニューヨークに実在する高級ステーキハウスだ。


ミランダの双子は、タイトルの付いていない『ハリー・ポッター』の7作目を読んでいる。

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タイトルは実際、まだ発表されていなかった。

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ミランダの双子のために、アンディはなんとか出版前の『ハリー・ポッター』最終作の原稿を手に入れた。

電車の中で双子が読んでいたコピーの表紙には『Harry Potter Book 7』とだけ書かれている。

シリーズ7作目の『ハリー・ポッターと死の秘宝』が発売されたのは2007年7月だ。つまり『プラダを着た悪魔』が作られた時には、まだタイトルは公になっていなかった。


ネイトは実在する高級食料品店の価格に不満を漏らしていた。

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ディーン・アンド・デルーカは確かに高かった。

20th Century Fox20th Century Fox

買い物から帰ってきたネイトは、ディーン・アンド・デルーカでいちごを買ったら5ドル(約560円)もしたとぼやいていた。

ディーン・アンド・デルーカは2019年にニューヨーク店を閉めた。目が飛び出るほどではなかったが、高級店として知られていた。


映画を通じて、アンディの母校は頻繁に出てきた。

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映画では、アンディはノースウェスタン大学の卒業だ。

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ミランダの面接で最初に触れられているように、アンディはノースウェスタン大学を卒業した。在学中は大学新聞『Daily Northwestern』の編集者だった。

ノースウェスタン大学はジャーナリズム・スクールで知られていて、アンディのキャリア志向を考えると、彼女がノースウェスタン大学に進学したのも納得だ。

映画の中では他にも、アンディが大学のパーカーを着ていたり、冷蔵庫に大学のマグネットを付けていたりする。


ミランダは最高裁判事の入れ替わりを微妙にほのめかしている。

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映画が公開された時、アメリカの最高裁判事に女性は1人しかいなかった。

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ミランダはミーティングで、最高裁の女性たちの記事を止めたいと言った。

そして、すぐに「女性」と自分で言い直している。

アメリカの最高裁では2006年1月、サンドラ・デイ・オコナー判事が引退しルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が唯一の女性判事となった。


チャリティーイベントのバナーは巨大なハンガーにかけられていた。

映画の場面写真

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ランウェイが主催したチャリティーイベントの会場の外には、巨大なバナーが巨大な白いハンガーにかけられていた。


アンディの携帯電話の日付がおかしい。

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「12月3日」になっているけれど…。

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映画の終盤でアンディたちが出席したパリ・ファッションウィークは、9月か10月頃に開催されている。

ところが、ミランダがアンディに電話をかけた時、アンディの携帯電話の日付は「12月3日」だった。


アンディが面接を受けた新聞社は、1960年代以来、新聞を発行していない。

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『ニューヨーク・ミラー』の面接を受けていたけれど…。

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映画の最後で、アンディは『ニューヨーク・ミラー』の面接を受けている。

しかし、アメリカ議会図書館によると、ニューヨーク・ミラーは1963年に発行を止めている。


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