Crystal Raypole/Insider
- ねこはからだがとても柔らかいので、人間からすると不思議に思える姿勢で心地良く眠ることができる。
- ぎゅっと丸まって寝ているねこは寒いのかもしれない。暖房を調整したり、温かいペット用のベッドを用意してあげよう。
- 壁に頭を押し付けるヘッドプレッシングは自然な姿勢ではない。重い病気にかかっている恐れがあるので、すぐに獣医に相談しよう。
ねこと一緒に暮らしている人なら、彼らがいかに独創的な姿勢で眠るか知っているだろう。空っぽの花瓶にからだをねじ込んだり、無防備にうたた寝をしたり、まさに自由だ。
「ねこはストレッチをしてからだの柔軟性を維持するのが好きですし、その生理学的特性から柔軟で多様な、快適な姿勢を取ることができます」と話すのは、ペットの行動学者でロサンゼルスでトレーナーとして活躍しているFun Paw Careの創業者ラッセル・ハートスタイン(Russell Hartstein)氏だ。
だからこそ、人間からすると痛そうに見える姿勢でも、ねこにとってはものすごく気持ちのいい姿勢なのかもしれない。ただ、中にはねこがストレスを感じていたり、病気にかかっている可能性を示す姿勢もある。ねこの眠る時の姿勢に隠された秘密を見ていこう。
1. アンモニャイト
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「アンモニャイト」は、「クレッセント(三日月)」や「ドーナツ」と呼ばれることもある、ねこが眠る時によく見せる姿勢だ。
ねこはしっぽをしまって、からだをキュッと丸めている。
Healthy Paws Pet Insuranceの顧問獣医ザック・ピロソフ(Zac Pilossoph)氏によると、ねこがアンモニャイトで眠る理由は2つあるという:
1. 体温を保とうとしている
2. 敵の攻撃から胸やおなかを守っている
「この姿勢は野生のねこが生き残るためには重要でした。今もそうです」とピロソフ氏は話している。家で飼われているねこはオオカミやクマに遭遇したことはなくても、眠っている時は自分の身を守らなければという本能が働く。
2. 香箱座り
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香箱座り —— からだを起こしたまま、手足としっぽをしまい込んだ状態 —— で眠るのも、よく見る寝姿だ。全体的に四角く、焼きたてのバナナブレッドのようだ。ただ、焼きたてのパンとは違って、ねこはすぐに起き上がって動くことができる。
アンモニャイト同様、ねこは体温を保つためにこの姿勢で眠ることが多い。寒さが増してくると、このコンパクトな姿勢で眠るねこを見かけることも増えるだろう。
参考:家で飼われているねこにとって理想的な室温は約18~24度だ。ねこが寒そうにしていたら、設定温度を上げるかペット用のホットカーペットの購入を検討しよう。
3. 何かにはまる
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靴箱から調理用ボウルやブーツまで、ねこはさまざまな形や大きさの入れ物の中で眠るのが大好きだ。自分たちが選んだ寝床の形に合わせて、液体のように「溶ける」ことができる。
知らないにおいを警戒していたり、他のねことケンカをしているなど、脅威を感じている時は、隠れた場所を探して眠る可能性が高い。
参考:飼い猫が隠れた場所で寝ている時は、そのまま放っておくのがいい。ねこにさらなるストレスを与えないよう、構い過ぎないようにしよう。
4. 横向きで手足を伸ばして寝る
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横向きで手足を伸ばし、おなかが半分見える状態で寝ている時は、リラックス状態で安心していることが多い。
とはいえ、季節や気温、時間帯といった要素もねこの寝姿に影響するとハートスタイン氏は話している。
例えば:
- 涼しい時は日光浴をしたり、毛布にくるまる
- 暑い時は日陰や浴室のタイルといったひんやりする場所で寝そべる
参考:ねこのひげや手足がピクピクしていても、全く問題はない。夢を見ているだけだ(ただし、邪魔はしないこと)。人間同様、深い眠りを邪魔されるとねこも怒ることがある。
5. へそ天
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へそ天は名前の通り、背中をつけておなかを完全に出した姿勢で眠っている状態だ。足はピンと伸びていたり、横にだらんとしているかもしれない。
へそ天で寝るということは、大切な臓器を世界にさらしているということだ。飼い猫が完全におなかを出した状態で寝ている時は、ねこがあなたのそばでものすごく寛いでいるサインだとピロソフ氏は言う。
へそ天はねこの体温調整にも役立つ。
「暑い時は背中を下にして、おなかを出して眠ると、クールダウンできます」とFloofy Doodlesのシニアライターで獣医のソフィー・ウォリンスキー(Sophie Whoriskey)氏は話している。
6. モノレール
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多くのねこは高い場所から自分の縄張りを監視するのが好きだ。棚などの上に乗ることで、子どものべたべたした手や大嫌いな掃除機から離れていられる。獲物も見つけやすい。
ただ、ずっと監視をしているのは疲れるため、中には眠ってしまうねこもいる。それが「モノレール」だ。足やしっぽはどちらかにブラブラさせていることもある。
重要:飼い猫がドアの上で眠っている時は、ドアを動かさないこと。手足やしっぽをはさんでしまう恐れがある。
7. プレッツェル
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ねこは頭と手足を四方八方に向けて寝ることもある。「プレッツェル」や「曲芸師」などと呼ばれる姿勢だ。
「変わった姿勢で眠っていると、敵はねこが次にどう動くのか予想するのが難しくなります。また、こうした姿勢はねこが警戒を怠らず、周囲に意識を向ける役にも立ちます」とウォリンスキー氏は話している。
人間が同じような姿勢で眠るのは無理かもしれないが、ねこは気持ち良く眠っているかもしれない。目覚めた時にねこが自分でからだをほどける限り、基本的にこの姿勢に問題はない。
重要:獣医でTrending Breedsの創設者でもあるアマンダ・タキグチ(Amanda Takiguchi)氏によると、ねこはからだの痛いところに体重をかけないよう、こうした姿勢で眠ることもあるという。眠っている時でも起きている時でも、ねこがどこかを痛そうにしていないか、よく観察しよう。
8. ごめん寝
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顔を下の方に押し付けて眠る姿勢が「ごめん寝」だ。
ねこがこの姿勢で眠るのには、いくつかの理由が考えられるとウォリンスキー氏は話している:
- 頭と首を低くして、敵に見つからないようにしている
- 暖かく過ごすため
- 放っておいてほしい時のシグナル
部屋が明る過ぎて目を覆っている可能性もあるので、その場合は照明を少し落としたり、カーテンを閉めてあげるとねこは気持ち良くお昼寝できるかもしれない。
9. くっつき寝
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添い寝をしてくれるほど、寛大なねこもいる。飼い主の腕をハグしながら眠るねこもいれば、飼い主の首や枕の間に潜り込んで眠るねこもいる。
ねこが2匹以上いれば、くっついて一緒に眠る"仲良し"もいるだろう。
くっつき寝は信頼と愛情のサインだ。体温を共有し、リラックスする良い方法でもある。
ただ、くっつき寝をねこに強制することはできない —— そして、くっつき寝を含め、ねこは自分から人間と接触しにいった時の方が幸せを感じると研究は示唆している。つまり飼い主がねこをひざの上に座らせようとするより、ねこが飼い主のところに来るのを待つ方がいいということだ。
10. ヘッドプレッシング
ヘッドプレッシングは、ねこが自分の頭を壁や硬い家具などに強く押し付けた姿勢のことだ。自分のにおいをこすりつけているわけではなく、ただ頭を押し付けたままでいる。
これまで見てきた他の姿勢とは異なり、ヘッドプレッシングはほとんどの場合、深刻な健康問題を示唆している。中でも肝機能障害によって引き起こされる神経疾患の1つ、肝性脳症のサインであることが多い。
肝性脳症の原因として考えられるものは:
- 頭部外傷
- 鉛中毒
- 真菌感染症
- 腫瘍
起きている時でも眠っている時でも、飼い猫がヘッドプレッシングをしているのに気付いたら、できるだけ早く獣医に相談しよう。