ウォーレン・バフェット。
REUTERS/Rick Wilking
- ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイは日本の5大商社への投資を拡大した。
- バークシャー・ハサウェイは各社の持ち株比率を6%以上まで引き上げ、保有総額を110億ドルまで引き上げた。
- バフェットと彼のチームは2022年、過去最高の660億ドル(純額490億ドル)を株式につぎ込んでいる。
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)率いるアメリカの投資・保険会社、バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は日本の5大商社への出資を強化するなど歴史的な支出を続けており、その勢いはとどまる気配がない。
2020年8月、この有名な投資家の会社は伊藤忠商事、丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事の5%の株式、合計して60億ドル(約8518億円)相当を保有していることを明らかにした。東京証券取引所に提出された書類によると、バークシャー・ハサウェイは現在、各商社の株式の保有比率を6.2%から6.8%にまで上げたという。
バークシャーによる日本の商社5社への出資拡大は約110億ドル(約1兆5617億円)と評価されている。5大商社の株価は、2020年8月にバークシャーが大量保有を公表してから平均99%上昇している。ただし同期間に円はドルに対して20%以上下落しており、ドルベースの上昇幅は大きくはない。
バークシャーは円建て債の発行に向け準備しており、仮目論見書を提出したという。同社は過去にも円建て債を発行し、円がドルに対して弱くなり、日本での投資の価値が減少することをヘッジしてきた。
この日本の5つの会社は「総合商社」として知られており、鉱業、エネルギー、金融、不動産など幅広い事業を展開する巨大な持株会社だ。特に石油や天然ガスの部門は、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされている2022年のエネルギー価格の高騰の恩恵を受けている。
バークシャー・ハサウェイの日本株購入は2022年の大きな買い物の中の最新の支出に過ぎない。バークシャーは2022年の第1四半期から第3四半期にかけ、前代未聞の660億ドル(9兆3530億円)を株式に投入したが、160億ドル(約2兆2670億円)相当を売却しただけで、約490億ドル(約6兆9440億円)近い株式を買い越したこととなる。また、50億ドル(7086億円)以上の株式を買い戻し、第2四半期には、バフェットの後継者に指名されたグレッグ・アベル(Greg Abel)が保有していたバークシャー・ハサウェイ・エナジー(BHE)の1%の株式を8億7000万ドル(約120億円)で買い戻している。
バフェットは、彼のキャリアを通じてアメリカ国内への投資にこだわってきた。バークシャーはアップル(Apple)やコカコーラ(Coca-Cola)などの大株主であり、他にもシーズ・キャンディ(See's Candies)や自動車保険のガイコ(Geico)を含む数多くのアメリカ企業株を所有している。しかし、バークシャーは日本への投資を拡大し続けており、最近では台湾の半導体製造会社TSMCに40億ドルの出資をしており、この状況は変わり始めているのかもしれない。
一方、バークシャーは2008年からテスラ(Tesla)のライバルである中国の電気自動車メーカーBYDへの投資には触れていなかったが、2022年7月以降、約9億ドル(約127億円)相当のBYD株を売却している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)