※本記事は、2022年5月5日に掲載した記事の再掲です
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- 約3800年前にマグニチュード9.5の地震がチリ北部で発生していたこと新たな研究で分かった。
- この地震によって巨大な津波が発生し、ニュージーランドに押し寄せたという。
- 津波に襲われた沿岸部は、その壊滅的な影響により、1000年にわたって人が住めない状態になったと考えられている。
「Science Advances」に掲載された新たな研究論文によると、人類史上最大の地震が約8000km離れた場所に巨大な津波をもたらし、1000年にわたり沿岸部を荒廃させた証拠が発見されたとLiveScienceが報じている。
そのマグニチュード9.5の地震は、チリ北部で約3800年前に発生したと、論文では結論づけられている。
この地震はメガトラスト地震と呼ばれ、あるプレートが別のプレートの下に押し込まれたときに発生するという。このような地震は、しばしば地震そのものよりも壊滅的な津波を引き起こす。
論文によると、この地震によって巨大な津波が発生し、高さ20mの津波がニュージーランドに到達したという。
サウサンプトン大学の声明によると、この津波で車ほど大きな巨石が、内陸に向かって最大1000kmほど押し流され、沿岸部は1000年にわたって人が住めなくなったという。
津波は、震源地から8000km(5000マイル)以上離れたニュージーランドまで到達したという。
Insider/Google Maps
論文の共同執筆者であるサウサンプトン大学のジェームズ・ゴフ(James Goff)教授は、海洋堆積物が「かなり内陸に入った高い位置」で発見されたと声明で述べている。
「それらが嵐で運ばれるはずがない」
また、チリ北部の沿岸部では、津波による堆積物の下から、人類が築いた古代の石造の建物の跡が発掘されたとLiveScienceが報じている。
チリのサパテロ遺跡で発見された石造の建物跡。
Gabriel Easton, University of Southampton
建物は海に向かって倒れた形跡があり、津波の引き潮で倒されたことを示唆している。「そこに住んでいた人々はすべてを失っただろう」とゴフは声明で述べている。
「我々の考古学的分析により、コミュニティは大きな社会的混乱の末、津波が及ばない内陸部へと移動したことが分かった」とゴフは続けた。
「人々が再び沿岸部に住むようになるまでには、1000年以上かかった。彼らが食料を海に頼っていたことを考えると、驚くほど長い期間だ」
ゴフらの研究チームは、ニュージーランドのチャタム島の内陸部で、車ほどの大きさの巨石を大量に発見し、津波がオーストララシアにまで到達したと結論付けた。この巨石は、地震とほぼ同時期のものであることが判明している。
ニュージーランドのチャタム島で見つかった巨石。
University of Southampton
「ニュージーランドでの調査で、これらの巨石は、チリ北部から到達した津波によって動かされたとしか考えられなかった。そしてその津波を発生させる地震には、マグニチュード9.5が必要だった」と、ゴフは声明で述べている。
「そして今、我々はその証拠を発見した」
この研究が発表されるまで、記録として残る最大の地震は、1960年にチリ南部で発生したマグニチュード9.4〜9.6のチリ(バルディビア)地震とされていた。ハワイまで到達する津波を引き起こし、その死者は最大6000人に上る。