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ESG経営を「見える化」する国内気候テックベンチャーが国際基準の「評価」サービスを開始

11月20日、エジプトで開催されていたCOP27が閉幕した。

11月20日、エジプトで開催されていたCOP27が閉幕した。

REUTERS/Mohamed Abd El Ghany

11月20日に閉幕した第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)をはじめ、世界では脱炭素に向けた取り組みに力が注がれている。

ただ、ビジネスの現場では「脱炭素」という環境面での取り組みはもちろんのこと、人権問題への配慮や、企業ガバナンスに関する取り組み、いわゆる「ESG経営」を求める声が年々大きくなっている。

ただ、取引先・投資先の企業がしっかりESG経営を実現できているのかどうかを判断するには、「ESGレポート」や「サステナビリティ統合報告書」などの膨大な資料をしっかりと読み込む必要がある。

もっと簡単に、ESGに対する取り組みを「見える化」できないか? その課題を解決する方法の一つとして、11月23日、気候テックベンチャーのアスエネが、企業のESGに対する取り組みを「見える化」する評価クラウドサービス発表した。

サプライチェーンから金融機関まで、国際基準でレーティング

ESG評価プラットフォームのサービス画面のイメージ。

ESG評価プラットフォームのサービス画面のイメージ。

画像:アスエネ

アスエネは、二酸化炭素(CO2)の排出量見える化サービス「アスゼロ」などを展開する気候テックベンチャーだ。

この9月にはシリーズBで新たに7億円の資金を調達。11月には、初の海外法人としてシンガポール法人を設立した。気候変動などに関する情報開示を推進する国際イニシアチブである、Carbon Disclosure Project(以下、CDP)から、「気候変動コンサルティングパートナー」と「気候変動スコアリングパートナー」としての認定も受けている、国内では注目の気候ベンチャーの一つだ。

今回開始したサービス「ESGクラウドレーティング(以下、ESR)」では、GRI(Global Reporting Initiative)や国連グローバル・コンパクト(UNGC)といった国際的基準に基づいて、企業の取り組みを評価する。

サプライヤーの企業などは、複数の質問に答えることで「AAA〜CCC」の7段階でのレーティングと、100点満点でのスコアが評価される。導入企業側は、自社のサプライチェーンの企業に回答してもらうことで、サプライチェーン全体でのESGスコアを算出できる。

ESGの各分野ごとに不足している取り組みも可視化されるため、企業がESG経営を進めていく上での客観的な指標として活用することができる。なにより、企業が取引先のESG経営度合いを評価する手間や労力を効率化できる。

サービスのターゲットとしては、金融機関も視野に入る。投資先のESGスコアを評価することで、サステナビリティファイナンスの実現を加速させることをサポートする狙いだ。

アスエネの広報は、Business Insider Japanの取材に対して、導入目標を「1年間で約1000社」と語る。

同社の既存サービスである、CO2排出量見える化サービスの「アスゼロ」の導入件数が約600社であることを考えると、目標が大き過ぎるようにも思える。ただ、CO2排出量見える化サービスはすでに多くの競合が存在する中でのサービス展開だった一方、ESG経営の見える化サービスのプレーヤーはまだ少ないことから、導入が伸びる期待感があるという。

サービスは1年間のサブスクリプション契約を結ぶSaasモデル。初期導入費用はかからず、「サプライヤーの場合、一番ミニマムなプランで数万円から導入可能」だとしている。

(文・三ツ村崇志

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