無料のメールマガジンに登録

平日17時にBusiness Insider Japanのメルマガをお届け。利用規約を確認


中間選挙で名を上げたデサンティスとは何者か。カリスマ備える知的エリート、だが中身は「トランプ2.0」

おとぎの国のニッポン

REUTERS/Marco Bello

11月8日の米国中間選挙から1週間経った16日、連邦下院で共和党が多数派(218席)を制したことが報じられた。この原稿の執筆時点(アメリカ11月24日夜)では民主党213・共和党220となっており(総議席数435)、まだ下院における両党の議席が最終的にどういう数字に落ち着くかは分かっていないものの、かなり拮抗したものになることは見えてきている。

上院では民主党が多数派を維持することが確実であり、12月6日に行われるジョージア州の決選投票の結果次第では、むしろ議席を1つ増やすことになるかもしれない。これらの結果は、選挙前に広く予想されていた「赤い波(共和党圧勝の意)」とは程遠いものだった。共和党のリーダーたちもそう認めている。

中間選挙は、現職大統領の評価を問うレファレンダム(国民投票)とみなされており、歴史的に、与党が負けるのがデフォルトとされている。特に、経済がうまくいっていない時の中間選挙では、大負けすると言われている。例えば1994年のクリントン(下院で52席、上院で8席失った)、2010年のオバマ(下院で63席、上院で6席失った)などがそうだ。

現在アメリカで起きている歴史的インフレーション、大幅利上げ、経済の見通しに対する悲観的なムード、バイデン大統領の支持率の低さ(40%台)、上下院で両党が占める席数の僅差ぶりを鑑みて、選挙前には専門家たちの多くが「これほど共和党にとって条件の揃った中間選挙も珍しい」「共和党の赤い波が起き、上下院ともに多数派を奪還するだろう」と予測していた。

だが蓋を開けてみれば、そうはならなかった。選挙後、さまざまなメディアや専門家たちが結果を分析しているが、このたび共和党が当初目指していたほどに勝てなかった主な理由は、無党派、女性、若者の票がとれなかったことが大きかったとされている。

彼らは、経済だけではなく、民主主義の方向性、女性が中絶を決める権利、気候変動といったことについても懸念しており、それが民主党を支持する投票につながったと見られる。 特に無党派は、通常の中間選挙では野党に流れやすいといわれているので、これは興味深い現象だった。

「Trump Fatigue」(トランプ疲れ)という言葉も聞かれるようになってきた。2015年からの「トランプ劇場」に、世の中が疲れてきているという雰囲気は2020年の選挙の際にも始まっていたと思うが、この選挙でその色が一層濃くなった。「トランプ」というリアリティTVにはもう飽きたので、次の番組を見たいというような。

保守的なウォール・ストリート・ジャーナルは選挙翌日の社説で、「トランプは共和党の最大の敗者」とし、今回、本来ならば勝てたはずのレースでこれほどまでに共和党候補者が負けたのは、トランプのせいであったと述べている。さらに、「トランプのおかげで共和党は2018年の中間選挙で下院を失い、2020年の大統領選で負け、2021年1月のジョージア州での上院決選投票でも負け、2022年の中間選挙で上院の民主党支配継続を許してしまったのだ」と一刀両断にしている。

その意味では、今回の中間選挙は(選挙に直接出馬はしていない)トランプについての評価を問う国民投票という側面もあったと思う。トランプに対する「ノー」が、民主党を利したのだ。

トランプから主役奪った44歳の新星

失望感が共和党を支配する中、スポットライトを独占し、急激に注目を集めている人物がいる。フロリダ州知事として再選されたロン・デサンティスだ。44歳と若く、イエールとハーバード法科大学院を卒業したピカピカのエリート、大学時代は野球部で大活躍した。大学院時代には海軍の「シールズ」と呼ばれる精鋭部隊に所属し、イラクでの勤務も経験している。

日本でもこのたびの選挙を機に彼の名前を聞くことが増えたと思われるが、その人となり、政治的信条などについては、まだ広く知られていないのではないだろうか。アメリカでも、デサンティスは中間選挙の前から2024年大統領選の有力候補の一人と目されてはいたが、全国的に知名度の高いNational nameではなかった。それがこの11月8日を境にガラッと変わった。ステージの中央に躍り出てきたという感じだ。

ただ、デサンティスは昨日今日に出てきたわけではない。彼は今回の再選、そしておそらく2024年の大統領選を視野に入れて、この2年ちょっとの間、周到に準備を重ね、政治的資本を積み上げてきた。

仮に彼が大統領選に出ることになり(まだ出馬を表明してはいない)、勝利した場合、それが共和党、アメリカそして世界にとってどういう意味を持つのだろうか。彼は、トランプによる共和党の独占支配を終わらせ、新しい方向にアメリカを引っ張っていけるような政治家なのだろうか?

デサンティスとトランプ

2018年のフロリダ州知事選では、デサンティス(左)はトランプへの忠誠心をアピールして当選を勝ち取った(2018年7月31日撮影)。

REUTERS/Carlos Barria

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み