ディズニーCEOにアイガーが復帰。なぜ企業は一度退いたトップの“出戻り”を望むのか

ボブ・アイガー

ディズニーのCEOに返り咲いたボブ・アイガー(2018年撮影)。

REUTERS/Mario Anzuoni

米メディア・エンターテインメント界の大手、ウォルト・ディズニーのCEO職にふさわしい候補者なら、おそらく何百人も存在するだろう。であれば、同社はなぜCEO退任から3年にも満たないボブ・アイガーを復帰させるのだろう?

復帰するCEOたちは、やはり良し悪し入り混じった実績を残している。2020年にMITスローンマネジメントレビューに掲載されて頻繁に引用されているワーキングペーパーによれば、復帰したCEOが経営を差配する企業の株価業績は、初めて組織のトップに立ったCEOのいる企業に比べて、10.1%下回るという。

しかし、かつての幹部を復帰させて成功を見た企業もある。ハワード・シュルツは、スターバックスのCEOに返り咲いて財政再建を果たした。スティーブ・ジョブズはアップルから一度は追われたものの、その後舞い戻って倒産しかけていた同社を立て直し、世界でも屈指の時価総額を誇る企業に生まれ変わらせた。マイケル・デルは自身の名前を冠した企業でCEO職を再開し、テクノロジー業界で再びその存在を確立させた(彼は現在もその座にいる)。

結局、かつてのCEOを呼び戻すことには何らかの意義深い利点があるわけで、危機的な状況であればすでに実績のある実力者に白羽の矢を立てたくなることもあるだろう。

今のディズニーは、まさにその状況なのだ。同社は11月20日、2年契約でボブ・アイガーをCEOとして呼び戻すことを発表し、アイガーが後継者として自ら選任したボブ・チャペックと交代した。

難問に直面するディズニー

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