連邦議会議事堂の前に集まったトランプ大統領の支持者ら(2021年1月6日、ワシントンD.C.)。
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- 社会学者でアクティビストのフランシス・フォックス・ ピヴェン (Frances Fox Piven)氏は、中間選挙を終えたアメリカが現状に満足しつつあると警鐘を鳴らしている。
- 「基本的な民主主義をめぐるこの戦いが終わったとは、わたしは全く考えていない」とピヴェン氏はガーディアンに語った。
- ピヴェン氏は、アメリカが「ファシスト国家」になる可能性は依然として残っていると付け加えた。
経験豊かな社会学者は、アメリカが依然としてファシスト国家への道を歩んでいると警鐘を鳴らしている。
11月24日付けのガーディアンのインタビューで、フランシス・フォックス・ピヴェン氏 —— 極右勢力の標的にされ、脅迫されたこともある研究者 —— は、中間選挙で期待されたような「赤い波」が起きなかったからと言って、アメリカ人は将来を楽観視すべきではないと警鐘を鳴らした。共和党は中間選挙で下院の多数派を奪還した。
「基本的な民主主義をめぐるこの戦いが終わったとは、わたしは全く考えていない」とピヴェン氏はガーディアンに語った。
「アメリカはファシスト国家への道を歩んでいたし、今もファシスト国家になる可能性は残っている」
アメリカがファシズムに支配されるかもしれないという考えは、時にトランプ前大統領を引き合いに出して議論されてきた。例えば、前大統領の顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏は10月、トランプ前大統領は「腐敗した独裁者気取りの旗手」で「ファシズムの広告塔」だと警告していた。
アメリカ政治が今後、ファシズムに傾くことを予想する研究者はピヴェン氏だけではない。
1月には政治学者のトーマス・ホーマー・ディクソン(Thomas Homer-Dixon)氏が、2024年の大統領選でトランプ前大統領が勝利すれば、アメリカの民主主義は崩壊する恐れがあると指摘した。自らを「暴力的紛争の研究者」と称するホーマー・ディクソン氏はグローブ・アンド・メール紙に寄せた論説で、アメリカが「ますます統治できない」状態になっていると警鐘を鳴らした。同氏はこの傾向が続くようなら「内戦に陥る」可能性があるとも指摘している。
11月の中間選挙で民主党は上院の多数派を維持したものの、ピヴェン氏はアメリカをファシズムの道へと導く可能性のあるものがまだいくつも残っていると戒めた。
「常軌を逸した暴徒、MAGA(トランプ前大統領が掲げる「アメリカを再び偉大に」を信奉する人々)、政治的安定に何が必要かを忘れたエリート層、かっぱらい精神… これらは非常に強く、非常に危険だ」とピヴェン氏はガーディアンに語った。
「中間選挙で何が起こるか、とても怖かったし、それはこれからも起こり得ることだ」と同氏は付け加えた。
今後も「報復政治」は続くし、バイデン大統領への右派からの攻撃も続くだろうと、ピヴェン氏は話している。共和党が多数派を占める下院ではなおさらだ。
「MAGAの暴徒はどう考えてもアメリカ人の大多数ではないが、民主主義をつぶすような政策を実行するのにファシストの暴徒が大多数である必要はない」とピヴェン氏は語った。