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純資産とは? 絶対に理解しておきたい「経済」の健康バロメーター

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純資産を知れば、自分が経済的にどれぐらい健康なのかがわかる。

Oscar Wong/Getty Images

  • 純資産とは、個人もしくは企業の総資産から、あらゆる負債や借金を引いた額を指す。
  • 純資産は個人もしくは企業の経済状況を測る簡単な方法となる。
  • 自らの純資産を監視することで、負債を展望したり、将来の計画を立てたりしやすくなるのだ。

自分の経済的な健康度を知りたいなら、絶対に純資産を理解しておいたほうがいい。

ファイナンシャルアドバイザーは、あなたが何をうまくやっていて、どこに改善点があるかを判断するのに純資産を用いる。だが、必ずしも純資産が万能なわけでもない。以下、純資産について知っておくべきことを紹介しよう。

純資産とは?

純資産とはあなたの金銭的な資産の総額から、負債や借金を差し引いたものだ。

  • 資産:資産とは、銀行口座にある現金、貯蓄、退職金なども含めて、所有する財産のこと。投資、自動車、不動産なども含まれる。
  • 負債:支払い義務を負う金銭のすべてを負債とみなす。返済の済んでいない学生ローン、クレジットカードの請求、住宅ローンの支払いなどが含まれる。

純資産は個人もしくは企業の経済状況を測る簡単な方法となる。

資産から負債を引くだけなので、計算自体はとても単純なのだが、実際には資産と負債を構成する項目をすべて集計するのが面倒だ。

純資産を知る

個人の、企業の、あるいは業界全体の純資産を割り出すことができる。専門家は「現状分析」を行うために純資産を用いることも、誰かがエクイティを有しているか、あるいはそのエクイティがどれほどの価値なのかを知るために利用することもある。

また、年次報告書を前年と比較することで、財務状況の進展を追跡するためにも使われる。純資産が前年よりも増えていれば、事業そのものが成長していると言える。この点では、資産や負債を個別に見るだけでは全体像が把握できないため、純資産が特に有益だ。

個人ベースでは、純資産はいくつかの使用目的に役立つ。

  • 財政的な立ち位置の評価:自分の純資産を知ることで、退職後のために十分な貯金ができているか、どんな借金が残っているか、緊急時のための現金を十分確保できているか、などといった疑問に答えやすくなる。
  • 問題の特定:純資産を計算すると、借金の返済、あるいはほかの分野での浪費傾向など、自分の問題点を正確に特定できる。
  • 経済的な目標の達成:経済的な目標をしっかりと立てることは重要だが、立てた目標に近づいているか定期的に確かめるのも、それと同じぐらい重要だ。退職後のための貯蓄目標にどれだけ近づいているかを知り、必要なら今の貯蓄方法を見直すのに、純資産の理解が役に立つ。

金融の専門家は、純資産とキャッシュフローの両方を見て、総合的な視点を得ることが多い。個人のバランスシートの最後の行が純資産を表すことになる。わかりやすい数値ではあるが、すべてを包括しているわけではない。

「特定期間のスナップショットでしかない」と認定ファイナンシャルプランナーのウラジミール・ニキテンコ氏は言う。

ニキテンコ氏はこう言う。

「バランスシート上には各種資産と負債が並んでいて、クライアントの経済的な健全さを測るのに都合がいいため、クライアントや企業の立ち位置を手軽に知りたいとき、いちばん簡単な方法として彼らのバランスシートとキャッシュフローを見ることにしている」

しかし、純資産は必ずしもキャッシュフローと相関しているわけではない。そのため、両者を区別することが重要だ。顕著なキャッシュフローがなくても、支出を抑えるだけで、純資産が年々増加することもある。

したがって、経済的な健全さを測る際には、個人が常時利用できる現金の量、いわゆる流動性が重要な要素になる。紙の上では大きな純資産を有していても、それを利用できないのであれば、富を示す手段として純資産が最適だとは言えない。

「確定拠出年金に相当な額を拠出していても、緊急時に1万ドル(100万円程度)を支払えないのであれば、それは大きな問題であって、そこが純資産の最大の弱点なのだ」とニキテンコ氏は説明する。

純資産と収入

純資産は収入とは違う。収入が多いからといって、純資産も大きくなるとは限らないし、その逆も真ではない。

高収入でもどんどんお金を使う人は、純資産が少なくなる。逆に、収入は少なくても、その大半を貯蓄や投資に回す人は、純資産を迅速かつ効果的に増やせる。

結局のところ、純資産とは資産と負債のことで、一方の収入は仕事や投資から得る報酬でしかない。

年齢別の平均純資産額

アメリカ人はその年齢層に応じて純資産が異なっている。連邦準備制度の最新の調査によると、アメリカの世帯別平均純資産は74万8000ドル(約1億420万円)である。

下は、2019年時点における世帯主の純資産の平均値と中央値を年齢別に示したものである。

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純資産の計算方法

純資産は3つのステップで計算できる。

  1. 現金や貯金などといった流動資産のすべてと、土地や自動車など簡単には現金化できない資産、つまり非流動資産を合計する。
  2. 借金に加え、学生ローンや医療費など、まだ支払いの済んでいない債務のすべてを合計する。
  3. 資産から負債を差し引く。

純資産はプラスかマイナスになる。資産が負債より多ければプラス、その逆がマイナスだ。プラスの純資産は経済状況が堅固であることを示す一方で、マイナスの純資産は経済的な危険信号だと考えられる。

純資産を増やすには、資産を維持もしくは拡大しながら、負債を減らさなければならない。あるいはその逆で、負債を維持あるいは縮小しながら、資産を増やす必要がある。

どこからが「高い純資産」?

金融サービス業界では、一定額を超える富を有する人物を、「高い純資産をもつ人」などと呼ぶ。しかし実際のところ、「高い純資産」はとても相対的な意味で使われている。

「普通の文脈で私たちが高純資産のクライアントと言うとき、500万ドル(約7億円)以上の資産をもつ人を指す」としたうえで、ニキテンコ氏はこう続けた。「だが、フォーブスについて話していて、フォーブスの資産家リストに載っている人のことが話題になっているときは、数十億ドル(数千億円)規模の資産で初めて高純資産と呼ばれる。つまり、本当にかなり相対的な言葉なのだ」

どこからが高純資産かという問いには、年齢層も関係してくる。通常、純資産は年齢とともに増加する。例外は高齢者で、退職により増加は止まり、退職金を切り崩していくことになる。

たとえば定職に就いている若い人の場合、資産が50万ドル(約7000万円)を超えれば、高純資産と呼べるだろう。一方、退職者の場合は、それまでの年月と経験に応じて資産も増えていると予想できるため、高純資産と呼べる額が変わる。

まとめ

純資産は、個人や企業の経済的な状況を大ざっぱに示す指標となるが、財産をより正確に知るには、キャッシュフローと組み合わせて考えたほうがいい。誰かがエクイティを有しているか、あるいはそのエクイティがどれほどの価値なのかを知るために利用でき、総資産から負債総額を引くことで算出できる。

純資産を計算することで、今の経済状況とそこにいたるまでの経緯を理解し、さらには富を築いて維持するためにどのような投資をすべきかが理解しやすくなる。

[原文:What is net worth? How it can be important indicator of your financial well-being

(翻訳・長谷川圭/LIBER、編集・長田真)

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