Photography by ZhangXun/Getty
最新の調査で、港区や渋谷区の広めのマンションは中古でも「1億円」間近であることがわかった。
都内でも「超都心」とそれ以外の格差が鮮明になる一方、「上昇率」では神奈川、埼玉など周辺都市にも注目すべき動きがある。
東京カンテイが11月24日に公表した10月の首都圏中古マンション価格データは、資産としての首都圏の不動産事情が垣間見える興味深いものになっている。
中古でも一部の富裕層のものになりつつある「超都心の広め物件」
直近3カ月の価格推移。港区などを含む都心6区の70平米中古マンション価格は10月、1億円目前の9950万円になった。
出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」
グラフの価格は1月・7月の価格推移になっている。
出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」
マンション価格が高値安定の都市圏中心部のなかでも、東京の中心部にあたる6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の価格は別格だ。
10月の調査では都心6区の70平米換算価格は9950万円(前月比+0.8%)と、平均1億円の大台まであと50万円に迫る状況にあることがわかった。レポートによると都心6区の上昇は13カ月連続。
都内でも、城南・城西6区(品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区)は6762万円(同+0.3%)、城北・城東11区(上記以外の区)は5348万円(同+0.4%)と、相当な価格差があることがわかる。
上昇率では「都の隣接県」に勢いがある
一方、前月比の上昇率でみると、必ずしも「超都心」が優勢なわけではない。
同調査によると、東京都に隣接する神奈川県(同+1.2%、3625万円)、埼玉県(同+1.4%、2977万円)、千葉県(同+1.8%、2685万円)がそれぞれ1%以上の上昇率となっていて、「引き続き東京都に比べて強さが見られる」(東京カンテイ)とまとめている。
出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」
これらの隣接県は、前年同月比で見ても東京都全体の8.3%に対して二桁%の上昇率となっている。
東京都以外の地域も含めた「首都圏」では、直近10月でも4809万円。それでも、3000万円を超えない近畿圏・中部圏と比べると首都圏一極集中という構図は変わらない。
出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」
日本の平均給与
出典:国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年分)」
国税庁の民間給与実態統計調査(令和3年分)によると、日本の給与所得者5270万人の平均給与は男性545万円、女性302万円。母数全体に占める1000万円超の給与所得者は5%に満たない。男性だけに絞った場合でも、7.6%にとどまる。
(文・伊藤有)