ツイッターで話題になった、ねこの「フィッシュトファー」。
Courtest of Laura Folts
- 「悲しそうなねこ」のフィッシュトファー(Fishtopher)がツイッターで大きな話題になっている。
- アメリカのメリーランド州ボルチモア在住のカップルは車を2時間運転し、寒い中、行列に並んでフィッシュトファーを家族に迎えたとInsiderに語った。
- 2人はフィッシュトファーのような保護動物への支援を呼びかけている。
ねこのフィッシュトファーの"旅"は、あるツイートから始まった。
ツイッターユーザーの@MollyClarkeさんは11月25日、アメリカのニュージャージー州ブラックウッドにある動物保護施設Homeward Bound Pet Adoption Centerの里親募集リストをシェアした。その中には「とても悲しげで落ち込んでいる」「元気がない」ある大きなねこの写真が含まれていた。
この投稿はサンクスギビング(感謝祭)の連休に大きな話題となり、11月28日の時点で16万8000以上の「いいね」を集め、2万1000回以上リツイートされている。ユーザーたちは励ましの言葉や自分たちが飼っている保護猫の写真をリプライするなどして、フィッシュトファーを引き取ってくれる人が現れることを願っていた。
メリーランド州ボルチモア在住のローラ・フォルツさん(22)もこの投稿を見た1人だ。以前から保護動物を迎えたいと交際相手のタナー・キャラハンさん(24)と話していたフォルツさんは、何の気なしにこのツイートを彼に送ったとInsiderに語った。すると、キャラハンさんはフォルツさんが知らぬ間にすぐに里親申請をし、保護施設から連絡をもらっていた。
11月26日、2人は車でブラックウッドへと向かった。朝8時頃にボルチモアを出発し、保護施設が開く1時間前の10時頃に到着した。自分たち以外にもフィッシュトファーに会いに来る人がいるだろうと考えた2人は寒い中、列の先頭に並んで待った。
「(フィッシュトファーに)会いたい人がたくさん来るだろうと思っていました。施設が開いた時点で並んでいた最初の10組のうち8組か9組がフィッシュトファーを見に来ていました。全員が対面できましたが、幸運にも家に連れ帰ることができたのはわたしたちでした」
フォルツさんとキャラハンさんは、施設側からフィッシュトファーに関する問い合わせが数百件あったと聞いたと話している。カリフォルニア州やアラブ首長国連邦(UAE)から会いに来た人もいたという。
帰り道、最初はおどおどしていたものの、しばらくするとフィッシュトファーは2人にスリスリしてきたという。
Courtesy of Laura Folts
キャットフードやねこ用のベッドなどを買うために店に寄った後、フィッシュトファーはキャラハンさんの家に落ち着いた。"隠れ家"をいくつか作りながら、フィッシュトファーは新しい家に上手くなじんでいるという。
2人によると、フィッシュトファーは猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染している。猫の免疫系を攻撃するこの感染症は、よくある病気だとコーネル大学猫健康センター(Cornell Feline Health Center)は説明している。
こうした病気を抱えてはいるものの、フィッシュトファーは心優しい、人間のことが大好きなねこだと、2人は話している。
フォルツさんは自身のツイッターで、フィッシュトファーの新しい生活を写真とともに紹介しているが、フィッシュトファーの名前でツイッターとインスタグラムの専用アカウントも立ち上げた。28日の時点でツイッターは2万5000人以上、インスタグラムは1万5000人以上のフォロワーがすでについていて、フォルツさんは衝撃を受けたという。
「たくさんの人たちが『幸せそうな様子が伝わってくる』などと言ってくれて、本当に心が温かくなります」
フィッシュトファーのプラットフォームを立ち上げた2人は、助けを必要としている他の動物にも関心を持ってもらいたいと考えている。フォルツさんは保護動物の写真や里親募集リストを頻繁にリツイートしていて、フィッシュトファーに関心を持ち続けてくれている人たちにこうした情報が届いてほしいと願っている。
フィッシュトファーはクローゼットの中の枕でお昼寝をするのが好きだという。
Courtesy of Laura Folts
「この子はとても個性的な見た目ですが、皆さんには他のねこたちにも同じくらいのエネルギーを注いでもらえたらと願っています」とフォルツさんは語った。
「家やお金を必要としている、この子と同じくらい個性的で特別なねこが他にもたくさんいます。(フィッシュトファーを)家族に迎えたことで、わたしたちにキャットフード代を送りたい、お金をあげたいと言ってくれる人たちもいますが、わたしたちからすると『それは今、家がない他のねこたちにしてあげて』という気持ちです」
Homeward Bound Pet Adoption Centerの責任者ライサ・ボストンさんは、施設は現在、定員オーバーの状態で、フィッシュトファーの物語をきっかけに保護動物を家族に迎え入れようと考えてくれる人が増えてほしいとInsiderに話している。
「フィッシュトファーにこれだけの注目が集まったのは素晴らしいことだと思っていますし、これをきっかけに、見落とされがちですが、里親を待つ素晴らしいねこや犬がたくさんいることに気付いてもらいたいです」
(翻訳、編集:山口佳美)