30代での早期リタイアを目指しているアリとジョシュのルポ夫妻。
Ali and Josh Lupo
The FI Coupleの創業者であるアリとジョシュのルポ夫妻は、40歳になる前にリタイアすることを目指している。
彼らは最初から経済的自由への道を歩んできたわけではない。夫妻は合計10万2000ドル(約1430万円、1ドル=140円換算)の学生ローンを抱えて卒業し、時給12ドル(約1700円)のソーシャルワーカーとしてキャリアをスタートした。何年もの間、ローンの利息を支払うだけで手一杯で、元本を返済する余裕はなかったという。
そうした状況は、夫妻が2017年に「ハウスハック」に出会ったことで一変した。彼らは本格的に借金を返済し始め、投資用の不動産物件を2棟購入することもできた。この数年で7万4000ドル(約1000万円)の学生ローンを返済し、まもなく完済の予定だ。Insiderでは、彼らの収支を示す住宅ローンの記録や学生ローン残高の写しを確認している。
「給料がものすごく高額でなくても、多額の借金を抱えていても、経済的な過ちを犯していても、大きな目標に到達することができます。私たちはそのすべてに当てはまっていました。そんな状況だったのです」
以降で、彼らが経済的自由を得るためにとった戦略のトップ3を紹介しよう。
1. 住居費を削減する「ハウスハック」
ハウスハックとは、自宅の一部を貸し出し、その収入で住居費の一部(または全額)を賄うという戦略だ。
ジョシュがハウスハックについて初めて知ったのは2017年のことだ。当時、彼はアリと一緒に1300ドル(約18万2000円)の家賃を払っていた。彼は二世帯住宅を購入して一世帯分を貸し出せば、毎月の住居費を大幅に削減できることに気がついた。
夫妻は2017年末から物件を探し始め、2018年12月に15万5000ドル(約2200万円)の二世帯住宅を購入した。彼らは1階部分に入居し、2階を月725ドル(約10万円)で貸し出すことで、月々1384ドル(約19万円)の住宅ローンの支払いを約660ドル(約9万2000円)に抑えることができた。1年後、若干の改装を施して家賃を上げると住居費はさらに下がり、支出を月460ドル(約6万4000円)にまで抑えることができたという。
アリとジョシュは、家賃を上げるために二世帯住宅を改装した。
Ali and Josh Lupo
2020年9月、アリとジョシュは不動産ポートフォリオを拡大し、2棟目の二世帯住宅を購入したので、3つの物件から家賃が入ることになった。これらの家賃収入で2棟分の住宅ローンを支払えるようになり、実質的には住居費を一切払うことがなくなった。その上、毎月150ドル(約2万1000円)ほどの利益も得られるようになったのだ。
ハウスハックによって多額の現金を自由に使えるようになったので、彼らは借金を繰上返済し、将来のための投資に充てた。とはいえ、物件の維持管理には相応の労力が必要だ。「ハウスハックを行うに当たっては、ビジネスとして管理することが非常に大切なポイントになります」とアリは語る。
「なぜなら、ハウスハックは実際にビジネスだからです。入居者は顧客です。入居者から依頼があった場合には、素早く対応する必要があります。例えば何かが故障した場合は、オーナーであるあなた自身が対応しなければならないのです」
不動産に投資する際はランニングコストにも注意すべきだ。公共料金、電気料金、そして修繕費がかさむことがある。さらに、入居者の退去時には、家賃収入が1、2カ月は途絶える可能性があることに加えて、普通は次の入居者が見つかるまでに時間とお金をかけてユニットを修繕しなければならないと彼らは述べている。
「私たちは、毎月の住宅ローン支払額の少なくとも3カ月分を蓄えておくことにしています。今日、明日、来月には何も起こらなかったとしても、いつか何かが起こることは避けられないからです」
2. お金に働いてもらう
アリとジョシュは、出費を抑え、複数の収入源を作ることで、本職で得た収入の100%を貯蓄に回すことができている。とはいえ、預金口座にただ預けているのではない。お金を働かせているのだ。
彼らは、不動産投資のほかにも、受け取りが非課税の年金制度であるRoth IRAや証券口座を使って、インデックスファンドや上場投資信託(ETF)に資金を投資しているという。
アリとジョシュは、9時から5時まで働いて得た収入を100%貯金している。
Courtesy of Ali and Josh Lupo
彼らの目標は、保有する不動産や証券口座からの投資収入で、生活資金の全額を賄うことだ。現在は、「50パーセントほど」だと彼らは語る。目標の100パーセントに到達したら、本職を辞め、それ以外の収入だけで暮らしていくのもいいと彼らは考えている。
3. 収入と支出のギャップを広げる
アリとジョシュの経済的成功の鍵は、貯蓄と収入を同じように重視してきたことにある。「優れたチームは、攻めと守りのどちらかだけに偏ることはありません」とジョシュは語る。
「両方をうまく行い、どちらかを優先するタイミングをよく理解しています」
経済的自立に向けたスタート地点では「私たちは収入を劇的に増やせる立場にはなかったので、生活費を下げることに注力するしか手段がありませんでした」と彼は付け加えた。複数の収入源を生み出すことができるようになったのは、ここ数年のことだという。
今日、彼らは本業の給与、不動産収入、そしてThe FI CoupleのSNSを通じて収入を得ている。彼らは会社からの収入を開示していないが、ジョシュによると「生活費を十分に賄え、その上でかなりの余剰がある」と述べている。
「最終的に、私たちが目指しているのは、収入と支出のギャップをさらに広げることです」と彼は語る。
「人それぞれ状況が違いますが、攻めと守りのプレーを同時に行うことで、そのギャップを広げていくことが可能です」