「その企画いいですね!」と言ったのになぜ部下は動かない? アイデアを実行に移す3つの方法【入山章栄・音声付】

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efks/Getty Images

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

「その企画いいですね、やりたいです!」と言っていたのに、いざ実行となると動いてくれない——マネジャーが出くわす“仕事あるある”です。やると言ったのになぜやらないんだ!と部下を責める前に、そもそもこの事象を2つに切り分けて考える必要がある、と入山先生は指摘します。今回の話は、かなり皆さんの仕事の進め方の参考になると思いますよ。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:12分21秒)※クリックすると音声が流れます


「やりたいです」と言っていたのは何だったのか

こんにちは、入山章栄です。

今回は、Business Insider Japan編集部の野田翔さんのお悩みについて考えてみましょう。


BIJ編集部・野田

BIJ編集部・野田

以前、ある組織でマネジャーをしていたときの悩みです。部下が「自分は仕事でこんなことをやりたい」と言ってくれますよね。ところがいざ「じゃあ、それやろうよ」となっても、そこからなかなか動いてくれないことが多かったんです。

動いてくれないということは何か問題があるのかと思って、スケジュールを一緒に立ててみたり、タスクを調整して仕事量を減らしたりしても、なかなか前に進まない。本当に頭を抱えて、ついに解決しないまま終わってしまいました。

僕はどう支援したらよかったのでしょうか?


なるほど。つまり、野田さんが部下と一緒に企画を考えると、部下が「こういう企画をやりたいです」とは言ってくれるんですね?


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BIJ編集部・野田

そうです。会議で「次はどんな企画をやってみたいですか?」という話になって、「最近こういうことに興味あります」と部下が言ってくれて。そこで僕が「こうふうにしたら面白い企画になるんじゃない?」と返したところ、「やってみたいです!」「じゃあさっそく進めて」と。

ところがいざとなると進まない。こういうことが男性の部下でも女性の部下でも起きました。


野田さんの部下ということは、29歳の野田さんよりさらに若い方なのでしょう。野田さんよりキャリアのある常盤亜由子さんは、こういう経験はありますか?


BIJ編集部・常盤

BIJ編集部・常盤

ありますよ。これはけっこう「マネジャーあるある」じゃないですか? 先生の周りにもこういう事例はあるのでは?


結論から言うと、僕はそのあるあるの部下みたいなことやっているかも(笑)。つまり、やると言ってやらないタイプかもしれません。


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BIJ編集部・常盤

まさかの(笑)。


それにしても、これは面白い問題ですね。

まず、この議論の根本のポイントは、「企画」と「プロジェクトマネジメント」は別物だ、ということだと思います。

つまり人というのは、新しいアイデアを思いついた瞬間は「やりたい!」と思っても、いざ実行段階になったらすでにテンションが下がっていることは珍しくないのです。

もちろん、企画したことはすべて実行する人もいるでしょう。でもそういう方はごく稀で、実際にはそうではないケースのほうが多いのではないかと思います。

ですから、この企画段階では「やりたい」といった部下が、実際には「やらない」というのは、かなりの人が共有する人間の根本の性格に根ざしているとも言えます。

実は、これを説明する心理学の理論があります。

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