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出費のかさむホリデーシーズン、「お金には限りがある」ことを子供にどう伝える?

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monzenmachi/Getty Images

  • ただでさえ、ホリデーシーズンには何かと出費がかさむ。インフレがさらに、それに拍車をかけている。
  • 一方、子育て世代にとってホリデーシーズンは、子供とお金の話をするチャンスだ。しかし、多くの親はそれを避けている。
  • 子供に「お金には限りがある」ことを伝えるには、まず身近な食費について意識させることからはじめるといい。

この夏、フランシスちゃん(プライバシー保護のため仮名)という8歳の女の子が、クラスメートの間で人気のサマーキャンプに行かせて欲しいと母親を説得していた。母親のジェニファーさんが「ダメだ」と言うと、フランシスちゃんは「なぜウチはこんなに貧乏なの?」と大泣きしてしまった。

自身はシングルマザーに慎ましく育てられ、現在トロントで2人の子供を育てているジェニファーさんにはショックだった。なぜフランシスちゃんは自分の家庭が貧乏だと思ったのだろうか? 彼らの家は持ち家だし、食事も不自由させてはいない。クリスマスには、パンデミック以降に人気となったドライブスルー型のイルミネーションを見に、子供たちを連れて行く予定さえ立てていたのに。

フランシスちゃんが号泣したサマーキャンプの参加費は1週間で4000ドル(約55万円)もする。フランシスちゃんの通う学校はフランス語圏の公立学校だが、トロントの裕福な地域にあり、ジェニファーさんによると娘の同級生の半分の家には乳母がいるそうだ。

ジェニファーさんの一家は、この裕福な地域に住んでいないものの、その学校の学区内だったのだ。ジェニファーさんは学校専属の牧師をしているが、彼女のパートナーはコロナ禍で失業したまま、安定した仕事はまだ見つかっていない。

「乳母がいないからと言って貧乏というわけではない。うちは金持ちと貧乏の中間。フランシスは同級生たちの家と我が家で、手に入れられるものに格差があることに、ある程度気づいている」と、ジェニファーさんは言う。

フランシスちゃんはまだ8歳だが、そろそろお金と階級について娘と話さないといけないとジェニファーさんは感じている。

スーパーでお金の話をする

アメリカ人の83%が子供にお金の話をするのは親の責任だと考えているものの、その31%は全く話をしていない

金融リテラシーや起業、職業訓練などを若者に教える団体、ジュニア・アチーブメントUSA(Junior Achievement USA)のチーフマーケティングオフィサー、エド・グロコルスキ氏は、多くの親が子供とお金の話をすることについて「気まずい」「怖い」「子供には話題が大人向け過ぎる」と感じていると指摘する。そして、それは特に小学生の親に多いという。しかし、必ずしも子供も同じように感じているわけではない。

グロコルスキ氏の団体が行った調査では、「インフレで、多くの子どもたちが物価の上昇を深刻に受け止めている」ということが分かった。

子供とお金の話をし始めるタイミングについてグロコルスキ氏は、子供がお金の話題を出した時がチャンスだと指摘する。4000ドルもするキャンプに行かせて欲しいという話は極端だけれども、 スーパーで買い物をしている時 やクリスマスプレゼントのショッピングをしている時などに、自然とお金の話ができるのではないだろうか。

ジェニファーさんはまさにそれを実行している。彼女はフランシスちゃんにスーパーのレシートを毎週見せて、何にいくらかかっているかを教え始めたところだ。135ドル(約1万8500円)のレシートを見た時フランシスちゃんは、金額の高さにとても驚いた。

一方、筆者はその金額の低さに驚いた。同じカナダに住む4人家族の私は、1週間の食費に通常287ドル(約3万9700円)かかっている。

ジェニファーさんはまめにクーポンを使い、他店より高い商品は同額まで値引きしてもらえるサービスを利用するほどの倹約家だから食費をそこまで抑えることができるのだ。彼女はフランシスちゃんの算数の勉強も兼ねて、クーポンでどう得したかまで教えている。

「私は貧乏を自覚して育ったが、娘にはそう感じて欲しくない。ただ、こういう習慣を通してお金には限りがあるということを学んで欲しい」

家計を圧迫する体験型イベント

コロナ禍の最中は、18歳以下の子供のいる親の23%が、子供たちのために最高のクリスマスにしてあげようと、今までよりお金をかけなければいけないと感じていた。

ジェニファーさんによれば、この風潮はまだ変わっていない。

最近のクリスマスは、もはやプレゼントを贈ったりサンタクロースの膝の上で記念写真を撮るだけではなくなり、体験型のイベントが増えたとジェニファーさんは言う。最近はイルミネーションをドライブスルーで楽しむイベントが流行っている。それには、車1台につき30ドル(約4150円)の入場料がかかる。

トロントのモールでは「サンタ・エクスペリエンス(Santa experiences)」という特別企画が人気だ。子供たちは昔のようにサンタクロースと写真を撮ることができるだけでなく、さらにクリスマスの定番のジンジャーブレッドの家を作ったり、北極のサンタクロース宛てに手紙を書いたりすることができる。入場料は20〜45ドル(約2700〜6200円)だ。

家計のための節約が、子供から『経験する機会』を奪っているという後ろめたさも親にはある」と、ジェニファーさんは吐露する。

ボランティア体験で浪費を回避

クリスマスプレゼントに加え、体験型のイベントの流行で出費がかさむばかりで、多くの親がもう限界だと感じている。

ジェニファーさんは、この半年で親同士がオープンにお金の話をするようになったと感じている。ほとんど面識のない親が学校の駐車場や学校行事で話しかけてきて、子供の行事や習い事にお金がかかることをぼやいてくるそうだ。

ファミリー・プロミス・オブ・ユニオン・カントリー(Family Promise of Union County)のエグゼクティブ・ディレクター、ジリーン・ドノヴァン氏は、習い事やイベントの代わりにボランティアに参加させることを推奨している。彼女の団体はホームレスの撲滅を使命に、多くのボランティアと共に貧しい家族を支援しており、ボランティアを始めたことで視野が大きく広がる子供たちを彼女はたくさん見てきたのだ。

「ボランティア活動はお金が一切かからないし、大きなやりがいがある。とても良い代替策だと思う」

何一つ除外することなく、全てのものに思いやりの心を寄せる「ラディカル・コンパッション(radical compassion)」という考え方を信奉するドノヴァン氏は、クリスマスのさまざまなアクティビティーに参加する経済的な余裕がなかったとしても、ボランティアに参加することで、大人も子供も自分が本当はどれだけ恵まれているかに気付くことができると語る。

ジェニファーさんは同様の経験を娘にさせている。学校専属の牧師として、クリスマスにむけて40世帯の低所得家庭にギフトカードを贈るための資金集めを行っているジェニファーさんは、自分の家の食費に毎週いくらかかっているかすでに把握している娘のフランシスちゃんに、40世帯の食費にいくら必要か見積もる手伝いをさせているのだ。

大人数の食費には何千ドルもかかるということにフランシスちゃんはまたしても愕然としている。彼女はお金の概念と、自分がいかに恵まれているかが分かってきたようだ。そのため、母親である自分も助かっているとジェニファーさんは言う。

「ジンジャーブレッドの家を作ったり、サンタクロースと写真が撮れなくても、実際のところ子供にとっては大したことではないのだと、親自身が自分に言い聞かせよう」

[原文:How to tell your kids you can't — or won't — afford everything they want

(翻訳・小森谷美江子、編集・長田真)

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