起業するZ世代は、企業経営の現実を知ることが大切だ。
Halfpoint Images/Getty Images
- ある調査によると、事業を立ち上げたいというZ世代は45%に上り、彼らが起業の主役になる時が近づいている。
- ブルームバーグによると、Z世代の若者は自分が自分のボスになることのリスクに直面している。
- Z世代の創業者たちが孤独、経済的ストレス、メンタルヘルスをいかにして管理しているのか紹介する。
新型コロナのパンデミックで何十万人もの人が仕事を失い、勤務時間の短縮やリモートで働くことを余儀なくされた人もいる。それ以来、起業が増加傾向にある。実際、2020年に入ってから1000万以上の新しいビジネスが誕生している。
自分自身がボスになることへの関心は、特にZ世代で高まるばかりだ。
若い創業者たちは、起業のムーブメントで大きな役割を担っている。アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)が2021年にアメリカで1509人のZ世代を対象に行った調査によると、「創業者になりたいか」との問いに、「そう思う」「とてもそう思う」との回答が45%に上った。しかし、起業の現実は必ずしも見た通りではない。
自分で何かを立ち上げるのはエキサイティングなことかもしれないが、ブルームバーグのコラムニストであるエリン・ロウリー(Erin Lowry)は「自らが自分のボスになるのは難しい」ため、Z世代に対して主な収入源となる仕事を続けるように警告している。
確かに、税金や保険料の支払い、コミュニティーの欠如といったビジネスの難しい側面は見落とされがちだ。しかし、起業につきものの落とし穴があっても、成功を収めている若い創業者もいる。
ここでは、Z世代の創業者3人が、コミュニティーを見つけることの難しさ、経験不足、メンタルヘルスが保てないといったストレス要因にどのように対処しているのかを紹介する。
コミュニティーの形成が孤独の緩和につながる
ソーシャルメディア用のコンテンツを撮影するアリッサ・グエン。
Courtesy of Alyssa Nguyen
孤独は、多くの創業者、特に単独、あるいは在宅で仕事をする人たちにとっての現実だ。
「自分が自分のボスであるということは、長時間、何日も、人との交流なしに仕事をすることを意味する」とロウリーは記事で述べている。
そうした孤独を経験する創業者がいる一方、解決策を見い出す人もいる。例えば、ソーシャルメディアは顧客や求職者、創業者仲間とつながるためのすばらしい手段になる。グラフィックデザインを手掛けるATNN designを創業したアリッサ・グエン(Alyssa Nguyen)(23)は、創業者としての孤独感を軽減するために、オンラインコミュニティーに大きく依存しているという。
「インスタグラム(Instagram)をうまく使いこなせることは、ビジネスオーナーのスキルとしてはあまりにも過小評価されている」と、グエンは以前Insiderに語っている。
「私はインスタグラムをマーケティングだけに使っているわけではない。ここには私のクリエイティブなコミュニティーのすべてがあり、私が友人を作る場所でもある」
必要なときに助けを見つけることが、失敗を防ぐ
Lauriel Arkeah Co.の創設者、ロリエル・マティス。
Courtesy Mathis
若い創業者にとって、成長に向けた投資の判断をするのは難しいことだとロウリーは記している。
「外注して人を育てるだけの資金力、時間、忍耐力、経営力があるのか」と彼女は問いかける。
インポスター症候群(仕事で成功しても、自分を過小評価してしまう心理傾向)になったり経験不足であったりすることは、多くのZ世代にとって避けられないことだが、必要に応じて学び、誰かに任せる方法もある。バーチャルアシスタントとコーチングのビジネスを手掛けるLauriel Arkeahの創設者、ロリエル・マティス(Lauriel Mathis)(23)は、ビジネスをする上でどの側面を、チームメイトや同僚に任せたほうがよいのかを考えることは重要だと述べている。
そのため、彼女は会計士とファイナンシャル・アドバイザーを雇い、ビジネスで最も苦手とする分野である「資金」について支援を受けている。
彼女のアドバイザーは彼女の給与や将来に向けての投資額を決定し、税金の申告を手伝っている。
メンタルヘルスをケアすることが会社の成功を支える
Simplifyの共同創業者、マイケル・ヤン。
courtesy of Yan
Z世代はメンタルヘルスを向上させる習慣を取り入れようとしているが、創業者の役割は依然として負担の大きい仕事であり、しばしば長時間の変則的な労働を強いられる。そのため、ロウリーが記事で指摘した「メンターシップのように、職場の一員であるという関係性によってもたらされる感情的なメリット」が欠如していれば、それを再構築することが重要になってくる。
求人検索プラットフォームSimplifyの共同創業者であるマイケル・ヤン(Michael Yan)(22)は、ストレスや燃え尽き症候群、ビジネス上の困難な交渉などにうまく対処するために、エグゼクティブ・コーチの助けを借りることで創業者としての自身のバランスを保ってきたという。
「自分自身の健康を優先しなければ、会社を成功に導くことは困難だ」と彼は述べ、最も有益な仕事は何か、健康管理や睡眠のスケジュール設定、自分より年上のチームを監督する方法について、コーチと一緒に考えてきたと付け加えた。
「結局、多くのことが結びついている。精神的にも肉体的にも健康でいることで、フィードバック・ループを確実なものにすることが重要だ」